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【今日の時事問題】日本の「円安」が止まらない。その4(円高円安 ・対外・投資・内外価格差)

 

図解:円高円安の関係

3回に渡って円高・円安について触れてきたが、長々とした文章をもう一度読もうとは思わないはず。でも、繰り返し学習しないとすぐ忘れてしまう。そんな時に便利なのが、図でビジュアルに捉えること。下に円高・円安にかかわる図を掲載しておく。この図で、これまで文章で理解していたことを再確認しておきたい。

円高円安の要因

円高円安のメリット・デメリット

上記のうち、「対外投資」や「内外価格差」については、これまでの解説では触れなかったことであるが、これも受験生として理解しておかなくてはならないもの。長くなるが、少しだけ補足しておく(別の機会にもっと掘り下げることにし、ここでは簡単に。

この他、表には「経常収支」もあるが、今回は割愛。

 

「対外投資」

国外で事業活動を行うために「企業を買収」したり、「生産設備などに投資」したりする直接投資と、「利子・配当収入」などを目的として行われる間接投資 (証券投資 ) があるが、円高だと「円の購買力が高い」ことになるので、投資のチャンスである。日本が「貿易立国」から「投資立国」になってきたと言われているが、それも、長らく続いた「円高」がその背景にある。

なお、この対外投資の結果として、「海外に工場を移転」したため、「国内産業の空洞化」という現象も生じた。従って、「円高により、国内産業の空洞化が進んだ」は○ということになる。

現在は円安なので、「対外投資」の動きは基本的には小休止ということになろうが、一方で、間接投資については、円安であろうとも、例えばアメリカの株価が好調だったり、金利が高かったりすれば活発に行われる可能性はある。その場合は、円を売ってドルを買い投資するので円安に振れる。

 

「内外価格差」

国によって「物価」が違うが、日本は一般的に物価が高いと言われてきた。日本で生活の豊かさを実感できない一因は、この、日本の物価水準の高さにもあると言われてきた。

ではそもそも、物価は何故異なるのか?その一因は、国内外での流通機構の違い。流通機構が整っていなければ、当然高くなる。この他、国内外で自由競争の状況の有無にも起因する。同一の商品やサービスであっても競争が少ない場合は価格が高止まりしやすい。

このように、国によって物価が違う訳だが、その違いを表す指標が「内外価格差」と呼ばれる数値である。これは、同じ商品、サービスの日本での価格と円換算した海外での価格の比率で、

その計算式は、  購買力平価 ÷ 実際の為替レート

 

ここでは購買力平価なども含めて深入りを避け、内外価格差がとりあえず「為替レート」と連動するということだけ確認するに留めておくとし、では、円高・円安になった場合どう変化するか簡単に理解しておきたい。

ここでもまず、共通テスト的な正誤問題にチャレンジしてみよう。

 

 

同じ財・サービスでも海外より国内の方が高い場合、円高が進行すると、内外価格差は縮小しやすくなる。○かか。

 

おそらく多くの受験生はちんぷんかんぷん・・・だったはず。

こういう場合の鉄則は・・・そう、具体的な数値を当てはめて考えてやること。

ここでは円高という設定になっているので、為替レートが変化するというところを基軸にして、「例えば1ドル=100円の時」と「1ドル=50円の時」と場合分けして考えてやるという設定さえ思い浮かべることができると何とかなる。

 

そしてもう一つの設定が、日本のほうが物価が高いということ。この二つを踏まえなくてはならない。

具体的には、以下のように考えてみよう。

①「例えば1ドル=100円の時」、同じ商品のジュースが、日本で100円、アメリカで1ドルだったら内外価格差はないということになる。しかし、日本のほうが高いという設定なので、日本では200円で、アメリカは1ドルで買えたとしよう。この場合、日本ではドルで買うとすると2ドルととても高いことになる。内外価格差は日本がアメリカの2倍ということになる。

②ところがレートが1ドル=50円になった。日本では何と4ドルも出さないといけない・・・ということで内外価格差は2倍から4倍へと拡大してしまう。 

③と言うことは、問題文「同じ財・サービスでも海外より国内の方が高い場合、円高が進行すると、内外価格差は縮小しやすくなる」は、✕。円高になると輸入品は安くなるが、内外価格差という観点からみると、むしろ差は広がると考えるべき。そうなると、外国人旅行者は購買意欲が弱まる・・・ということで、円高の時は日本人の海外旅行は追い風、逆に円安の時は外国人旅行者に追い風、といった知識とも合致。

 

しかし、それにしてもなかなか厄介だね。受験生が敬遠するのもよく分かる。でも、一度こうして頭を使って理解してしまえば、こういった問題が出題されても何とか食い下がることができるのでは?

 

でも、時が経つと忘れてしまって「どうだったかな???」と頭を抱える可能性もある。

今回、購買力平価については不問に付したが、例えば、それを勉強したら、以下のような整理を自分で付箋に書き込んで作ってみるとよい。

 

・内外価格差=購買力平価/為替レート(円/ドル)

        購買力平価 : 国内物価上昇 → 内外価格差は拡大

                                国内物価下落 → 内外価格差は縮小

        為替レート : 円高 → 内外価格差は拡大

                                円安 → 内外価格差は縮小

         ※上・高 → 格差拡大

 

これが頭に入っていると

・同じ財・サービスでも海外より国内の方が高い場合、円高が進行すると、内外価格差は縮小しやすくなる。○かか。

 →簡単に✕と判断できる。

 

こうしたコンパクトにまとめた要点整理を、繰り返し、学習すると有効。既に「政治編」についてはこのサイトに公開してきたが、経済編はまだ加筆修正ができていないので、もう少し時間がほしい。けれど、円高・円安については、カードにまとめておいたので、参考にしてほしい。