【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【今日の時事問題】日本の「円安」が止まらない。その2(円高・円安の要因と物価・金利・株価)

前回、現在の円安が、アメリカが金利をあげてきたことに起因することに触れた。ただし、理由はそれだけではないとも言及しておいた。

今回は、「物価」、「金利」、「株価」などとの関係について触れておく。

 

まずは、簡単な正誤問題から取り組んでみよう。

 

A  物価が上がると、それと連動するように、円の価値も上がる。○か✕か。

A こういう場合は、具体的に考えてみよう。物価が上がるということは「100円で買えていたものが、110円出さないといけなくなった」という状態・・・となると、貨幣価値は・・・下がったことになる。この貨幣価値の下落のことを「インフレ」と呼ぶ訳だが、となると、物価が上がると「円安」ということで、Aは✕。現在、ウクライナ戦争の影響もあり、いくつかの要因で原油高も含めて物価が上がってきたが、実はこれがもう一つの大きな円安要因ということだ。その際、所得が増えて国内の購買力が上がったため物価が上昇したのであればまだいいが、輸入原材料の値上がりによる「輸入インフレ」の感が強く、これは消費生活に打撃を与える。なお、「景気が悪いのに物価が上がる」という現象を「スタグフレーション」と呼ぶということは知っていると思うが、現在はそのような様相を呈してきたようだ。

 

B 物価があまりにも上がると、それを抑えるために、政策としては金利も上げる場合がある。○かか。

Bは前回不問に付してきたものであるが、Aで見たように物価が上がりすぎると消費生活が厳しくなる。また、景気が過熱しすぎるとそれを抑制したほうがよいケースもある。そうした時に政府・日銀がとる政策が「金融政策」と呼ばれるものである・・・これは承知かと思う。そしてその政策の一つが「金利」の操作である。もっとも、現在の日本はこの金利の操作ではない違う手法をとっているのだが・・・それはここでは深入りしないことにして・・・、物価が上がり過熱の心配が出てくる場合は、金利は「上げる」。従って、Bは○。

 

C 日本の投資家が海外の株や国債,不動産などを積極的に買うと円高になる。○かか。

Cについては、海外の株が上がり、今後も期待できそうなら、海外株を購入するという投資の仕方もある。その場合、外国為替市場で円・ドルがどのように動くかを考えてやればよい。アメリカの株を買うためにはドルで支払う必要があるから、円を売りドルを買うことになる。とすると市場に円が増えることになるから「円安」に動く。従ってCは✕。ここのところアメリカの株価が好調らしく、この動きも現在の円安の一因になっていると考えられる。

 

D 日本製品の海外からの買付が増加すると円高になる。○かか。

Dの「日本製品の海外からの買付」というのは、日本から言うと「輸出」。「輸出」が好調の場合、相手国は円で支払わなくてはならないから、円がレアになり、「円高」になる。従ってDは○。なお、現在は「円安」だから、輸出が不調で、一方で「輸入インフレ」で物価が上がり円安になっているとも言える。

 

以上、グタグタと説明してきたが理解できたであろうか?もっとうまく説明できたかも知れないが、逆に言うと、「共通テスト」では、こうしたグタグタとした説明を理解する「読解力」が求められるようになった。無論、そういう意味でわざとグタグタの文を作ったわけではないが、諦めず、投げ出さず、文意を汲み取ろうとする力をぜひ養ってほしい。

 

しかし、それにしても、経済は様々な要素が絡み合って複雑だよね。そこで、これを「スッキリ」と図解しておいて、それで頭にインプットしてやるという勉強方法もある。

そこで次回、その図解を提示するとともに、では、円安・円高になったら、どんな「影響」が出てくるのかについても言及する。