【今日の時事問題】日本の「円安」が止まらない。その1(円高・円安 ・金利・インフレの基本)
日本の「円安」が止まらない。
受験生にとっては円高・円安はあまり関心がないかも知れないが、円の為替相場の変動は経済活動にはとても大きな影響を与える。今、過去最大レヴェルまで円安が進んできたという。
何故なのか?そして円安にはどんなメリットとデメリットがあるのか?
経済学習がまだの受験生にとっては、一気には理解できないので、まずは、簡単な正誤問題から取り組んでみよう。
- A 1ドル=100円が、1ドル=90円になることを円安と言う。○か✕か。
- B 外国為替市場において円が少なくなると円安になる。○か✕か。
- C 日本の輸出が好調だと円安になる。○か✕か。
- D アメリカの金利が上がると円安になる。○か✕か。
A 1ドル=100円が、1ドル=90円になることを円安と言う。○か✕か。
そもそも円安とは、たとえばドルに対して円の価値が「下がることである」。Aの場合、100円で1ドルと両替していたのが、90円で両替できるということは、円の価値が上がったということ。従ってAは✕。円安は、例えば100円で1ドルと両替していたのが、110円出さないと両替できないという状況。
B 外国為替市場において円が少なくなると円安になる。○か✕か。
Bについて、外国為替市場では、円やドル、その他の通貨を扱うが、市場では「レアものが人気がある」が鉄則。レアだと価値があがる=円高になると考えよう。そうすると市場で円が少なくなるというのは人気があるということだから、円高になる=価値が上がるということ。従ってこれも✕。
C 日本の輸出が好調だと円安になる。○か✕か。
で、外国為替市場で円がレアになる場合はどんなケースがあるかという、その一つが貿易。では、どんな場合に円が少なくなるかというと、例えばアメリカが日本車を買うということになると、日本に円で払わなくてはならない。そうするドルを出して円に替えて支払う。となると円がレアになり、円高となる。つまり、輸出が増えると円高になるということ。従ってCも✕。
D アメリカの金利が上がると円安になる。○か✕か。
Dについて、アメリカの金利が日本よりかなり高かったとしよう。どちらに預けたほうが得か。当然アメリカの方が高い利子がつく。となると円をドルに替えて貯金した方が得。となると外国為替市場に円が増えると・・・レアでなくなるから、円安になる。となるとDは○。
ということで、円高・円安の問題は、「覚える」というより「考えてみる」ことで対応できる。ただし、時に混乱することもあるので、若干覚えておくと楽な場合がある。この点はまた別の機会に教授する。
で・・・問題は、現在の円安はではどんなことが要因なのか?ということであるが、直接的な要因は、アメリカが「インフレ」を抑えるため「金利」をあげたこと。上記のDに該当する。
金融緩和を続ける日本との金利差の拡大が見込まれ、より高い運用益が期待できるドルを買って円を売る動きが広がったためだと言われる。この点は理解できるのでは・・・。
ただし、なぜ「インフレ」を抑えるため「金利」をあげるのか?は、改めて説明しなくてはならないが・・・
しかし、問題は、実は、実際は他にもいくつか理由があるということ。けれど、それを一気に説明してしまうとオーバー・フローしてしまいかねないので、これも今回はここでストップしておく。
このように経済の理解は、様々な要因が複雑に絡み合っているため、少しずつ理解を深めていかないと、こんがらがってしまうというところがある。
今日はとりあえず、出発点として、円安の意味と、アメリカが金利をあげてきたことがその要因の一つであったことが理解できればOKとしておこう。次回もう少し掘り下げる。