【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【今日の時事問題】社会保障費について その6

ジニ係数

所得格差を示す「ジニ係数」、2021年度の「当初所得」のジニ係数が、東日本大震災による経済的停滞を余儀なくされていた2014年とほぼ同じ水準まで悪化したそうだ。

一般にジニ係数0.5を超えると社会不安や不公平感が高まると言われるが、今回も0.5700と、一線を超えてしまっている。

当初所得」は、税や社会保険料を支払う前の所得のことで、前回調査の2017年が0.5594で、今回は、コロナ禍による経済的低迷と、高齢者世帯が増え続けていることなどが重なって格差が拡大したものと推察される。

このジニ係数については、「深める」の「格差に関する指標について」で、かなり詳しく触れているので、ぜひ、読み込んでほしい。ローレンツ曲線、相対的貧困率とともに、来春の共通テストに必ずや出題されるはず。

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で、一方で、年金などの社会保障サービス分を加えた再分配後のジニ係数0.3813で、再分配により格差がかなり改善されたとのこと。
厚労省は「再分配機能に一定の効果がある結果となった」と強調しているそうだ。

所得の再配分によるジニ係数の改善度を見たい場合は

( 当初所得ジニ係数再分配所得ジニ係数)÷当初所得ジニ係数を算出して、100をかけて割合を出す。

前回調査の2017年のジニ係数の改善度は33.5%、今回は33.1%の改善だったので、改善度は17年の前回調査より0.4ポイント下がったようだ。

www.mhlw.go.jp

 

ただし、上記に参照した厚生労働省のデータで過去の推移を見てみると、1990年あたりが15.9%程度の改善度なので、それと比較すると確かに改善度自体は高くなっているが、そもそも1990年の「当初所得」のジニ係数自体が低い。0.4334。従って、この時は格差自体が少ないので再分配機能はそこまで求められない。ところが、現在は格差が進み、そのため、「失業保険」や「生活保護費」が増えたり、高齢者世帯の増加によって年金支出が増えたり、「再分配機能」が拡大、と言うより「社会保障費が肥大化してしまっている」というのが実情ではなかろうか。改善度が高いこと自体を喜んでいても意味はない。

 受験生は、「ビルトイン・スタビライザー」については承知のことと思うが、景気が悪い時は、社会保障費が拡大して景気を自動的に安定させようとする。同様に、格差が拡大した場合も財政が自動的に格差の縮小を図ろうとする訳だ。

 

 なお、「再分配後のジニ係数」は、アメリカ、イギリスより低いが、フランス、ドイツより高く、喜んではいられない。

 

 従って、格差を是正するためには、景気を回復させること等によって、「当初所得」の格差そのものを改善していくことが求められているということになろう。

 そのためには、「労働環境の抜本的な改革」が必要である。次回からは、労働問題にも視野を広げていくこととする。

 

なお、以下、9月2日朝までのところで■追記を掲載していましたが、内容に誤りがあったため削除しました。■追記を読んで頭が混乱した受験生もいたかも知れません。お詫びします。