37 居住・移転及び職業選択の自由は、最低限度の生活を営む社会権にかかわる権利である。
- ✕ あくまで自由権で、経済活動の自由
39 経済活動の自由については、公共政策上または安全・秩序の維持のため、やむを得ない場合に限り、精神の自由よりも広く公共の福祉による制限を受けるとされる。
- 〇 この違いを「二重の基準論」と言う。●2021現代社会第2日程 「財産権は、公共の福祉による制限を受けない権利である。」は✕。制限を受ける。
40 私有財産は、正当な保障の下に、これを公共のために用いることができる。
- ✕ このような誤字の問題は出ないが、言葉の違いは知っておこう。ここでは「補償 」が正しい。 保障は「守る」、補償は「償う、」保証は「請け合う」 security compensation warranty
41 経済活動の自由が制限される例として、独占禁止法がある。
- 〇 独占禁止法は、略称なら、an antitrust law アンチ・トラストということ
42 共有林の分割請求に制限を設けいてる森林法は、共有林という特殊な空間であり、公共の福祉の観点から、分割制限は違法ではないと判断された。
- ✕ 「財産権」に反するとし違憲判決が出た。「共有林分割の制限」は、森林細分化の防止により森林経営の安定化を目指すものであり、「目的」としては「公共の福祉」に適合するため合理性がある・・・しかし、共有物分割の自由を封じられると、共有者間が不和対立を生じても共有関係を解消するすべがないことになる。このことの合理的理由は到底見出し難く・・・立法目的を達成するための「手段」として著しく不合理で立法府の裁量権を逸脱したことが明白であるといわざるをえない・・・といった論法で違憲判決がくだされた。今後、判例の問題が出てきたら、「目的」と「手段」といった言葉に注意すると、解法に役立つかも知れないので、意識しておこう。なお、共通テストでは判例の文章の並べ替え等、読解力・思考力を求める問題が出される可能性がある。◎「フクフクちゃんの深める」を参考にするとよい。
43 コロナ禍の緊急事態宣言に際し、休業要請、時短要請がなされ、これに従わない場合は刑事罰としての科料が科せられることとされた。
- ✕ 「行政罰」としての「過料」(行政上の罰)。刑事上の罰は「科料」で「前科〇犯」となる
45 生存権、教育を受ける権利、財産権が社会権である。
- ✕ 財産権ではなく、「労働基本権」が社会権
46 生存権をめぐる朝日訴訟は、国を訴えた行政訴訟である。
- 〇 国に改善を求めて起こしたもので行政訴訟に該当する
47 朝日訴訟では、最高裁は、生存権の規定は国民に対する具体的な権利を定めたものであり、国が生活扶助を打ち切ったことは違法であるという判断を下した。
48 障害福祉年金と児童扶養手当の併給を禁止する法律をめぐって争われた堀木訴訟では、最高裁はこの規定は違法ではないと判断した。
- 〇 現在でも併給自体は認められていない
49 堀木訴訟では、最高裁は、生存権にかかわる立法措置は立法府の裁量に委ねられており、その裁量の範囲を明らかに逸脱した場合を除いては、司法審査の対象にはならないとした。
- 〇 逆に言えば、「逸脱すれば司法権の対象となり得るという意味でもある」。その点では司法の気概が示された判決だと思う。
50 日本国憲法で規定された生存権は、国民に対する具体的な権利を定めたものではないとされるが、生存権を保障している法律が存在していれば、国はその法律の範囲内で法的義務が生じると考えられている。
- 〇 かつてはプログラム規定説(具体的な権利ではなく、国の努力義務を宣言したものという捉え方)であったが、現在はこの「抽象的権利説」が有力な説になっている。これが大学入試で問われるかと言うと、NOと言わざるを得ないが、君たちにはこうした次元まで知っておいてもらいたい。生活保護法などの法律違反がある場合に限って、その法律違反に基づいて訴訟提起できるという立場であるが、ただし、そのような訴訟は今のところなされていないようだ。
51 憲法では、教育を受ける権利を保障するとともに、国に普通教育を受けさせる義務があることが規定されている。
- ✕ 国ではなく、国民が「その保護する子女に普通教育を受けさせる」義務を負う。また次の文章も判断してみよう。「憲法は、すべての国民に普通教育を受ける義務を課すことを規定するとともに、義務教育を無償としている。」これも✕。ここは義務ではなく「権利」。いい問題ではないが、実際に出題された問題である。
52 労働基本権は、生存権を実質的に保障するためのものと言われる。
- 〇 何のことないが、一方で判断しにくい文。だが正しい。
53 平等権は社会権を保障するための権利として広く保障されるようになった。
- ✕ 逆である。社会権は「実質的な平等を実現するための権利」である。
55 日本国憲法では、国籍による差別が禁止されている。
57 日本国憲法の下で、栄典に伴う特権は廃止された
58 国籍法が改正され、父であろうと母であろうとどちらかが日本人であれば日本国籍を取得できるようになった。
59 日本人と外国人との間に生まれた子どもについて、親が結婚しているかどうかや認知されているかどうかで日本国籍の付与に違いがあった国籍法が、不合理であると判断され、改正された。
- 〇 2008の判断 ●2021現代社会第2日程で出題。
60 婚外子法定相続分差別訴訟において、最高裁は、法律上の結婚をしていない婚外子には、配偶者と同様に、遺産相続の権利はないと判断した。
61 女性に6か月間の再婚禁止期間を設けることは、100日を超える期間については不当な制約で平等や自由を侵害し、違憲であると判断した。
- 〇 現社でこれまで数回出題されているが、以前は、6ヶ月の再婚禁止期間を設けることは「違法ではない」と判断されていた。ところが、2015年の最高裁では、その期間が6ヶ月であったことは不合理であり、「違憲である」とされ、100日に短縮された。このことは承知かと思うが、昔の過去問では「違憲と判断しなかった」といったニュアンスで正文として捉えられているので、過去問に当たった場合は注意が必要。ところが、ナント、今日、これがまた改正されそうなのだ。再婚禁止期間そのものを廃止する民法改正案が国会に出される見込みだという。そうすると、問題文をまた変更しないといけなくなる・・・。そうした変化があった場合は速やかにこのプリントも修正するつもりなので、時々ブログを覗いてほしい。●2021現代社会第2日程で出題。