【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【速修】⑤基本的人権の尊重(5)新しい人権・プライバシー

88 生存権や幸福追求権を根拠に環境権が主張されているが、最高裁判所によっては認められていない。
  • 〇ここで、環境や平和的生存権の根拠とされる「幸福追求権」について言及しておく。幸福追求権は、個別の基本権を包括する基本権とされているが、 学説上は、あらゆる生活領域に関する行為の自由と解するのではなく、個人の人格的生存に不可欠な利益を内容とする権利の「総体」と解するのが通説的見解である。「「幸福追求権」に基づいて認められる権利の例として最も適当なものを選べ」という現社の問題では、「本人の同意なしに、みだりにその容貌や姿態を撮影されない権利」という「肖像権」を選ばせるものであった。この他、「忘れられる権利」や「自己決定権」あたりも、幸福追求権に基づいてもの。なお、似たようなものに「人格権」もあるが、これも憲法上にはない言葉ではあれ、「幸福追求権」から保障されると考えられているもの。人格権は本来、私法上の権利であり私人間に適用され、 民法、刑法で名誉毀損行為が法的責任の対象となる実質的根拠は人格権に求められるそうだ。いずれにせよ、このあたりはかなり込み入っているので、問題としては出しにくいかも。

 

89 大阪国際空港公害訴訟では、夜間飛行の差し止め請求に関しては民事訴訟になじまないと却下された。
  • 〇過去の「損害の賠償」は認めるも、「航空行政権」という文言を出して民事訴訟による救済が不適当であるとし、二審で認められた21時以降7時までの航空機の発着取りやめは破棄された。しかし、この判決には批判が強く、また、実際上は夜間の飛行制限は維持された。なお、原告は、人格権を基に「侵害行為」の差止めを請求できるものとして「環境権」を根拠としたが、訴訟では、教科書にある通り「環境権については一貫とし認められていない」。

 

90 大規模な公共事業等については、事前に環境への影響を予測・評価することによって環境破壊を未然に防止する環境アセスメントが法制化された。
  • 〇国が制度化したのは1997年と随分遅かった。行政だけでなく、風力発電などの分野では「民間企業も対象」となる。

 

91 鞆の浦景観訴訟において、裁判所は、歴史的・文化的価値のある景勝地の景観について、法的な保護に値する利益であることを認めた。
  • 〇現社の問題。教科書では大きく取り上げられているが、参考書ではほとんど扱われていない。いかに教科書に依拠して作問されているかが如実に分かる問題。

 

92 知る権利が新しい人権として主張されているが、最高裁によっては認められていない。
  • 〇かといって「知る権利」が否定されているという訳でもないと思われる。「日本国憲法」や「情報公開法」には明記されていないが、自治体の情報公開条例では「知る権利の保障」など目的に規定する例がある.今回、共通テストで「新しい人権」がここのところ出ていないので出るかも知れないと言ったが、残念ながら2022年も出題されなかった。定まったところがないところもあり出題しにくいのかも。でも君たちは、新しい人権について判断する世代なので、いろいろと考えておいてほしい。

 

93 マスメディアの報道・取材の自由は、最高裁で認められている。
  • 〇これについては判例がある。ただし、外務省公電漏洩事件の場合、無制限ではないとされた しかし、報道・取材の自由がないと、まだ権利として確認されていないものの、国民の「知る権利」が損なわれるおそれがあるので、重要な権利保障の一つである。

 

94 マスメディアによる人権侵害が問題とされ、名誉を侵害されない権利が主張される場合がある。
  • 〇自分の情報をコントールする権利としてのプライバシーの権利や、被害回復のために反論をする権利も主張されている。

 

95 知る権利は、情報の収集を公権力によって妨げられないことを保障する権利であるから、自由権の側面を持つ。
  • 〇センター現代社会の問題 また同様に、「知る権利は、情報を公開するよう公権力に対し要求する権利であるから、請求権の側面を持つ」という選択肢も〇として併置されていた。なお、「知る権利」が憲法21条の「表現の自由」として保障されるように解釈されていることも知っておきたい。つまり、我々が自由に表現するために、いろいろと調べたりすることが必要であり、そのつながりで、「知る権利」は保障されるべきではないかという考え方である。さらに、知る権利を支える価値としては、国民が広く公共的事項についての情報を受け、求めることにより、政治的な意思を形成し、民主的な政治過程への参加を確保するという参政権的性格に求められ、他方で、国民がさまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取する機会を持つことにより、その者が個人としてその思想・人格を発展させるという個人権的性格をも有する、という見解もある。ここまで深く問われることはなかろうが、複合的な権利とし主張されていることは知っておこう。

 

96 政府がマスメディアを通じて意見を広く表明することは、アクセス権の行使として位置づけられる。
  • ✕アクセス権とは、マスメディアに対して個人が意見発表の場を提供することを求める権利。 反論記事の掲載要求や紙面・番組への参加などがこれにあたるので、これには該当しない。

 

97 情報公開法が制定され、中央省庁の行政文書が公開の対象となった。
  • 〇「国会」「裁判所」は対象外ということになる。これも問われる可能性あり。

 

98 情報公開法によると、情報公開は、日本国民のみが請求できるとされている。
  • ×外国人も可

 

99 情報公開法によると、外交・安全保障・個人情報に関する情報公開は対象外とされている。
  • 〇正しい。従って、「情報公開法の下では、開示請求を受けた行政機関が開示を拒否することはできない。」は✕

 

100 情報公開制度は、国民の知る権利を根拠に始められた制度である。
  • ×「説明責任アカンタビリティaccountability」の観点からと言われている。知る権利はあくまで認められていない。account ac~に  count カウントする  何かに対して、「1、2、3…」と数え上げていくといった感じ

 

101 プライバシーの権利にかかわる最初の訴訟は、外務省公電漏洩事件である。

 

102 プライバシーの権利は、私生活をみだりに公開されない権利に限られるものとして認められている。
  • ×「自己情報コントロール権」として捉えられだしている

 

103 通信傍受法は、プライバシーのみならず表現の自由を委縮させるものとして違憲判決が下った。
  • ×違憲判決は下っていないが批判はある

 

104 個人情報保護関連法が制定され、自分に関する情報の開示・訂正・利用停止などを事業者にもとめることができるようになった。
  • 〇訂正・利用停止あたりが大事

 

105 氏名・生年月日・性別・住所を一括管理しようとする住基ネットに関して、プライバシーを侵害し違憲だと訴訟が起こされたが、最高裁判所は憲法13条で保障されている権利を侵害するものではないとし、合憲と判断した。
  • 〇しかし結局、普及定着せず、マイナンバー制度に移行することとなった

 

106 マイナンバー制度は、社会保障や税に関する情報も含めた個人情報の管理を厳格に行うとともに、国民の利便性の向上、行政の効率化を目指して導入されたものである。
  • 〇4情報(氏名、性別、住所、生年月日)だけでなく、「社会保障」と「税」も含めた個人情報を管理

 

107 マイナンバー制度は、一人一人に12けたの番号を付与し、カードは身分証明書等にも使用できるが、外国人には付与されない。
  • ×住民登録してある外国人にも付与。マイナンバーカードは15歳から自分で申請できる。15歳未満は親の責任ということになる。試験に出ることではないが、20歳未満の場合は、発行から5回目の誕生日までにマイナンバーカードの更新手続きを行い、その時に顔写真も変更するそうだ。