【共通テスト対策】フクフクちゃんの公共(現代社会)・倫理・政治・経済

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「政治・経済」試作問題(2021年3月発表)を解いてみる その1の(2)

第3問目の後半

 

fukuchanstudy.hatenablog.com

 

問4 戦後の国際紛争の知識問題

「国連安全保障理事会での拒否権行使の状況に関する資料の読み取りを通じて,拒否権行使の理由を東西冷戦の影響や結果と関連付けて考察できるかを問う。」という趣旨の問題。

常任理事国が拒否権を行使した回数」の表を基に、正誤を判断させようとしているが、要は「朝鮮戦争」、「ベトナム戦争」、「キューバ危機」、「湾岸戦争」がそれぞれどの時期のことかを知らないと解けない問題であった。

②だけ明らかな資料の読取りミスを入れているが、
③のキューバ危機は1962年のこと。
④の湾岸戦争は冷戦終結後の1990年のこと。
①の朝鮮戦争は時期的に該当し、これが正しいもの。

しっかりと戦後の流れをインプットしておく学習が必要。

問5 読解力問題

「日本の司法権に関する知識を踏まえて,裁判所法の条文から最高裁判所違憲審査権の行使について読み取ることができるかを問う。」という趣旨の問題。

「小法廷で裁判ができないケース」を規定した裁判所法第10条の条文を読み判断する問題。第一号「当事者の主張に基づき法律が違憲か合憲か判断するとき」、第二号「法律が「憲法」に適合しないと認めるとき」、第三号「憲法その他の法令の解釈適用について,意見が前に最高裁判所のした裁判に反するとき」といった条文を受け、以下の各分の正誤を問うている。

①    法律が憲法に適合しないとの裁判は,最高裁判所の定めるところに反しない限り,小法廷において行うことができる。

②    法律が憲法に適合しないとの裁判は,それが当事者の主張に基くか否かにかかわらず,小法廷において行うことはできない。

③    法律が憲法に適合するとの裁判は,その意見が前に大法廷で行った裁判と異なるときであっても,小法廷において行うことができる。 

④    法律が憲法に適合するとの裁判は,その意見が前に大法廷で行った裁判と同一である場合には,大法廷において行うことはできない。

まさに、「読解力」問題である。論理の世界である。
まず①については、× → これは第二号に抵触する。
③も× → これは第三号に抵触する。
④も× → 「大法廷」についてはどこにも書かれていない。

で、消去法で②ということになるが、確かに、第一号で「当事者の主張に基づいた場合」違憲か合憲か判断できないと言っている。

他方で、第二号では「法律が「憲法」に適合しないと認めるとき」、
これは言い換えれば違憲」判決はできないが「合憲判断ならできる」と言っているということになる。

これが読み取れたかどうかがカギ。

となると、法律が憲法に適合しないとの裁判、つまり違憲判断は、第一号の「当事者の主張に基づいた場合」だけでなく、第二号によって全面的に否定されている、と言うことは、
まさしく「法律が憲法に適合しないとの裁判は,それが当事者の主張に基くか否かにかかわらず,小法廷において行うことはできない。」ということになる。

何ともまどろっこしいが、以前も裁判所の文章を使った読解問題が出題されたことがある。差がつく問題であろう。

時間のある夏休みあたり、フクフクちゃんの「深める」コーナーの「判決文を用いた問題」に取り組んでみてほしい。

問6

「「人間の安全保障」の概念の理解を踏まえて,日本国憲法の前文に掲げられている理念について考察できるかを問う。」という趣旨の問題。

日本国憲法の前文のうち、「一国の国防というよりも,世界中の人々がそれぞれの暮らしの中で直面する問題に焦点を当てている」「人間の安全保障」と通底している箇所を選ぶ問題。

これは「全世界の国民が,ひとしく恐怖と欠乏から免かれ,平和のうちに生存する権利を有する」だと判断できるはず。いわゆる平和的生存権である。

「人間の安全保障」という考え方はインドの経済学者アマルティア・セン緒方貞子元国連難民高等弁務官などが協働して推進したもの。
そうか、「平和的生存権」と通底していたのかと、新たな気づきをもらった問題であった。

なお、「恐怖と欠乏から免かれ」あたりは、ローズベルトの4つの自由から来ている。

①「言論・表現の自由」、②「信教の自由」、そして③「欠乏からの自由」と④「恐怖からの自由」。

こういうバトンがパスされていることを若者たちは知っておいてほしい。先人からの贈物なのだ。

しかし、ウクライナやガザなど、まさに今もなお、「恐怖と欠乏」の只中に苦しんでいる人々がいる。
我々に何ができるのか、何をすべきなのか、学びつつ、小さなことでもよい、できることを実践していこう。