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【速修・過去問/創作問題】⑩国際社会と国際法・国際連合(2)国連・国際裁判所

22 国連憲章は、加盟国の個別的自衛権を認めているが、集団的自衛権は認めていない。
  • ✕既にこの問題については触れたが、「集団的自衛権」も認めている。ただし、あくまで例外的、緊急措置として。なお、「国連憲章は、加盟国による武力行使を一般的に禁止しているが、加盟国独自の判断に基づく人道的介入の場合をその例外として明文で認めている。」これはどうだろうか?「人道的介入」という言葉に引き込まれ○と判断しては駄目。独自の判断で「介入」は本来できない。「介入」というのは、内政不干渉の原則の例外として「軍事力を用いて対処すること」であって支援ではないからである。ただし、アメリカでは、人道的立場からの問題の早期解決に指導力を発揮すべしという国内世論に押され、1995年NATO軍によるセルビア攻撃に踏み切った。さらに、1999年にはNATO軍のユーゴ空爆も開始、この空爆は、国連安保理決議を経ていないだけでなく、NATO域外の国家に対する攻撃であったため、論議を呼んだ。このあたりのアメリカの動きが、ある意味で現在の「反アメリカ」陣営の論拠となっていると言えるかも。

 

23 国際連合が行う武力制裁(軍事的強制措置)は、集団的自衛権に該当する。
  • ✕国連の場合は「集団安全保障」に該当する。「集団的自衛権」の例として、湾岸危機の時にクウェートの要請に基づきアメリカが部隊を派遣したケースなどがある。なお、その後、安保理多国籍軍の派遣が決議されたが、これは「集団安全保障」による軍事的強制措置である。区別がつきにくいが、センター政経問題でこの「集団安全保障」と「集団的自衛権」の区別にかかわる問題が出たことがあるので一応違うものとして理解しておこう。「集団安全保障は、同盟関係にある国が同盟の外部の国から攻撃を受けた場合、他の同盟国がこれを助けて防衛にあたるという概念である」「集団安全保障は、国家が同盟を結び、敵対陣営との軍事バランスをとることによって自国の安全を確保する仕組みである。」→これらはいずれも✕ 前者は、主語が「集団的自衛権」なら正しい、後者は「勢力均衡」なら正しい。

 

24 国連総会において全会一致で採択された決議は、そのまま拘束力を持つ国際法として国際社会で通用している。
  • ✕総会での「平和のための結集決議」という重要なものもあるが、「決議に拘束力はない」。

 

25 国際連合に加盟している国家は、自国の利益に反する内容であっても、国連安全保障理事会の決定に従う義務がある。
  • ○国連安全保障理事会の決議には加盟国を従わせる力がある。しかし、その安保理間に対立があり、機能不全に陥っていることが大問題。安保理については後にもっと詳しく触れる。

 

26 国際連合は、第二次世界大戦中に制度の構想については合意ができたが、後に冷戦が本格化すると集団安全保障については構想どおりの活動が難しくなった。
  • ○「括弧つけ問題」で微妙な文章であるが、間違いではない。このあたりの俯瞰的な曖昧な文章を○と判断できると本物。後に触れ直すが、残念ながら国連は、こと安全保障の面では、機能不全の状態に陥っている  in a state of dysfunction・・・。

 

27 国際法は主権国家の個別の利益を守ることを主たる目的としていたが、現代では国際社会の共通利益を確保することも目的とするようになり、地球環境問題や宇宙利用に関してもルールが作られている。
  • ○現社らしい俯瞰的問題。宇宙については、自由利用・平和利用・領有禁止などのルールがある

 

28 国連海洋法条約では、沿岸沖の天然資源をめぐり、沿岸国の権利を認めて資源の最適利用を推進するため、排他的経済水域制度が設定された。
  • ○1982採択 1994発効

 

29 生物多様性条約では、生物の多様性の保全と持続可能な利用、遺伝資源をめぐる利益の公平配分を実現するため、国際的な法的枠組みが設定された。

 

30 今日の国際社会において、ある国が条約上負っている義務を履行しないことがあれば、直ちに国際連合により制裁が行われることになっている。
  • ✕常識的に考えても、「直ちに・・・制裁」とはいかない。また、例えば、人権規約では、自由権規約は、加入している国に対して即時の実施義務を課しているが、社会権規約は、少しずつ順に実施すればいいことになっている。努力義務であるケースもある。

 

31 核拡散防止条約によって、核兵器の保有が限定されたが、非締約国による核兵器保有や開発の疑惑が跡を絶たない。

 

32 国際司法裁判所(ICJ)は国際社会で初めて成立した司法機関である。

 

33 国際司法裁判所の前身である常設国際司法裁判所は第一次世界大戦後に設立された。

 

34 国際司法裁判所の裁判では、個人や国際機構ではなく、国家のみが提訴を行うことができる。

 

35 この裁判所における裁判は、国内の裁判と同じように、紛争当事者の一方が提訴することで開始されることになっている。
  • ✕「両当事国の合意」が必要 これは繰り返し出題されている。「国際司法裁判所(ICJ)に国際法違反を提訴することができるのは国家のみであり、訴えられた国家は原則として裁判に応じる義務を負う。」は✕。応じる義務はない。 

 

36 日本は、国際司法裁判所で裁判の当事国となったことがない。
  • 捕鯨に対してオーストラリアに提訴され、日本が敗訴。未だ出題されていないかと思われるが、現社あたりは可能性大。なお、国際司法裁判所の判決は、国家間の紛争に対しては、関係各国を「法的に拘束する」。判決は終結とし、上訴は原則として許されない。

 

37 日本は韓国との間の竹島問題で、国際司法裁判所への紛争付託を提案したが、韓国の同意が得られず実現していない。
  • ○2012年にもその動きがあったが・・・韓国が応じず。そこで「常設仲裁裁判所」という方法も検討はされているが実効性には課題があるとのこと。その背景となっているのが、2016年にフィリピンが、中国の南シナ海における南沙諸島での人工島造成に対して、国連海洋法条約に基づいて常設仲裁裁判所に提訴したこと。この裁判では中国の主張を斥ける判決を下したが、中国は、無効で拘束力のない判決には従わないという姿勢をとり続けているとのこと。なお、常設仲裁裁判所は、当事国双方の同意は必要とせず、どちらかだけでも提訴できる。この点が国際司法裁判所と違う点で、国際司法裁判所を補完するものとして、現在でも存続している背景である。

 

38 国際司法裁判所は、法的拘束力のない勧告的意見を出すことがある。
  • ○国連総会等の要請に基づいて「勧告」を出すことがある。「勧告」は法的拘束力自体はないが、「核兵器による威嚇または使用は、武力紛争に適用される国際法特に人道法の原則と規則に一般的に反する」と違法性を指摘した勧告が最も有名。

 

39 諸国は、国際裁判で直接取り上げられない事案においても、国際法規則の解釈にあたって、国際司法裁判所の判決を参照している
  • ○●2021現社第2日程では、正誤問題ではないが、「国際裁判が法の発展を促進させる機能をもっている」という文脈に適合したものとして、この文章を選択させようとしている。教科書では触れられることのない視点だが、事案を判断する場合、国内の判例だけでなく、国際司法裁判所判例も、当然参照されることはあるはず。そういう「想像力」が問われている。

 

40 国際司法裁判所の判決に従わないと、他国から政治的・道徳的な非難を受けるが、いかなる国家も判決に従う義務は課せられていない
  • ✕●2021現社第2日程の問題。前に出た勧告的意見が法的な拘束力がないということからミスリードされ、これも○と判断してしまった受験生もいるのでは。前段にもっともらしい文章をつけてミスリードを誘うような形式にもしてあるし。しかし、✕。でないと意味はないよね。なお、次のような出題もある。「国際司法裁判所(ICJ)は、国際法にのっとって裁判し、判決を強制執行する。」どうだろうか?実は✕。「判決は拘束力を有するが、強制執行はできない」とのこと。教科書では「強制力が弱いなどの問題点をもっている」としか書かれていないので、行間に「強制執行はできない」と書き込んでおくと良い。ちなみに、では、当事国がこれを履行しないときは、どうなるのか?と言うと、何と安全保障理事会が適当な措置をとることができるんだそうだ。ここでも安保理・・・。ところで、現在ウクライナ国際司法裁判所に提訴、ロシアに軍事作戦を中断することを命令する臨時的措置をとってほしいと求め、国際司法裁判所はこれに応じてロシアに軍事作戦の中断を求める判決を下したとのこと。しかし、ロシアはそもそもICJには管轄権がないと主張しており、武力行使をやめる可能性は乏しいとのこと。既にみたように、国際司法裁判所の訴訟には当事国の同意が必要で、今回ロシアはその意思を示していないが、裁判所は「暫定的な命令」にはしかし「法的拘束力がある」としている。

 

41 旧ユーゴスラビアの紛争に関して、残虐行為を行った責任者を処罰するために、特別の国際刑事裁判所が設置された。

 

42 国際刑事裁判所(ICC)が2003年に紛争時における重大な犯罪に対応すべく、国際連合の一機関として発足した。
  • ✕国連組織ではない 条約によって設立。国家間の条約により設立される国際機関は、国連の下部組織とは別。細かいが政経の問題。略称は ICC。「国家間の条約により設立される国際機関は、すべて国連の下部組織として位置づけられる。」は✕となる。これは、国際刑事裁判所という具体例が想起できるかどうかが分かれ目。 現社の問題で「国連安全保障理事会の決議に基づき設立され、侵略戦争に関与した政治指導者などを裁く、常設でない裁判所である。」という出題もあり。✕。条約によって設立、常設である。やはりオランダのハーグにある。

 

43 国際刑事裁判所は、人道に対する犯罪などの処罰をめぐる国家間の紛争を裁判する機関であって、個人を裁くための裁判所ではない。
  • ✕むしろ「個人に限定」。スーダンでの紛争に際して大統領に逮捕状を発布。

 

44 特定民族のジェノサイド(集団殺害)を行った個人を裁くことができる。
  • ○ジェノサイドの他に、敵国の戦闘員に対して拷問する行為や一般住民に対する非人道的な行為も対象になるが、「暴力や暴力による脅迫などによって、航空機を支配する行為」は該当しないとのこと。これも出題されたことがあるが、私自身もこのことは知らなかった。何故かと思って調べてみたら、テロ、麻薬などは別の条約での犯罪になっているため、除外されたようだ。何とも細かい。たまには野生の勘で答えなければならないものもあるということだ。ただし、◎「三つでくくって覚える現社・倫政」には記載しておいたので、これが記憶に残っていれば答えられたかも。なお、最高刑は死刑ではなく終身刑。  

 

45 アメリカ、ロシア、中国はICCの設立条約に加入していない。
  • ○しかし、一方で、条約に加入していない国の人物についても、規約の条件に合致し、その国の合意があれば訴えることができる。また、国際社会の平和と安全を脅かす状況である場合、安全保障理事会が、ICCの締約国でない国に関することも含め、事態をICCに付託することができるそうだ。ところが、ロシアが安保理理事国なので、もしロシア大統領に対して訴追しようという動きが生じたとしても、安保理でロシアが拒否権を発動したら、訴追はできないということになる。ここでも安保理の影が・・・。ところが、今回ロシアのウクライナ侵攻については、国際刑事裁判所の検察官が捜査を開始したそうだ。前例のない数のICC加盟国から要請があり、ウクライナICCの管轄権を受け入れているため、捜査が可能とのこと。また、ロシアはICC非加盟で管轄権を受け入れていないが、ICCは加害者の国籍にかかわらずウクライナ領で起きた戦争犯罪と人道に対する罪を捜査できるとのこと。しかし、ICCは独自な警察機関を持たないので、容疑者の逮捕は各国に委ねられることになる。ロシアの政治状況が大転換しない限り、プーチン大統領を裁判にかけることは難しいと言われている。

 

46 様々な国際紛争のうち、海に関する紛争の解決を役割とする国際裁判所の設立は、見送られてきている。
  • ✕条約に基づき1996 国際海洋法裁判所 ドイツに常設の裁判所。日本の処理水放出に対して韓国政府が提訴を検討とのこと