【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【速修・過去問/創作問題】⑩国際社会と国際法・国際連合(1)主権・国際法

01 ウェストファリア体制成立以降のヨーロッパ社会においては、主権国家の独立と内政不干渉の原則が形成されてきた。
  • ○世界史選択者にとってはお馴染みの、1618年ドイツ三十年戦争、その30年後のウェストファリア条約。日本が鎖国に入る頃の話だが、ヨーロッパに「主権国家」sovereign stateが誕生し、ヨーロッパ内に「国際社会」 International community ができあがるきっかけとなったものだ。「主権」とは、何者にも従属しない最高権力を意し、この条約以降、各国間の内政の不干渉と、対等な外交関係が大原則となった。これをウェストファリア体制という。ただし、主権を尊重し合うのはあくまでヨーロッパ内部でのこと。ヨーロッパ諸国は、アジア・アフリカに侵略し、一方でそれぞれの地域の主権など認めることはなかった。エスノセントリズムによって歪められていたことは承知の通り。「ウェストファリア会議の結果、各国の主権とその平等に基づく国際社会が、地球規模で+E2:E23成立した。」などという皮肉っぽい問題も出題されている。なお、政経では、「三十年戦争」という言葉が入った正誤問題の出題もあり。現社で「1648年のウェストファリア条約は、ヨーロッパ内において、対等な主権国家からなる国際社会を形成する端緒となった。」という年号入りの出題もある。

 

02 グロチウスは、自然法に基づいて、国家間の関係を律する国際法の発展の基礎を築いた19世紀の思想家である。
  • ✕17世紀の人物。上記ウェストファリア条約も17世紀のことで、グロチウスはドイツ三十年戦争の悲惨さから、自然法に基づく国際法構築の必要性を提唱した。なお、現社や政経では、並べ替え問題は出されるが、こうした世紀に誤りを入れるような問題はまずあり得ないかな・・・。また前項で1648年なんてな年号も出ていたが、ここに落とし穴をつくることはまずないと思ってよい。それなのに数字に嘘を入れてしまって恐縮だが、ただいつ頃の人物なのかは知っておいてほしいということで、このような形式にした。ホッブズとほぼ同時代の人物である。なお、現社で「国際法の父グロチウスは、その著書『戦争と平和の法』のなかで、平和のための国際的な組織の必要性や常備軍の廃止を訴えた。」という問題も出ている。後段は「永遠平和のために」のカントの主張で✕。

 

03 主権には、国内の統治にかかわる対内的な側面と国家の独立にかかわる対外的な側面とがある。
  • ○現社の「括弧つけ問題」で、消去法によって正文と判断させる問題。案外悩んだのでは?というのも、勉強している受験生は主権には三つの意味がある、意思決定する決定権と、国内を統治する支配権、他国から干渉されない独立権・・・これが頭に入っていると思うが、逆に、これに固執し、三つじゃないから✕という短絡的な判断をしてしまうとまずい。もっと柔軟に向き合うことが必要。実は、決定権と支配権は対内的なものと一括にできるので、これはこれで間違いじゃない。また、そこまで厳密に考えなくても、この文章は、トンデモナイ明らかな誤りがあるものとは到底思えない・・・じゃ、括弧に入れておいて、他三つを吟味してみようか・・・でクリア出来る問題かと思われる。もし、こだわって✕とした生徒がいれば、今後は、もう少し柔らかく考えるようにしてみたら・・・と思う。

 

04 主権国家の概念は、市民革命を経て確立された国民主権の原理を基礎としている。
  • 政経の問題、「括弧け問題」だが、悩ましい。先に見たように主権国家 sovereign state の概念は、ヨーロッパでは17世紀に生まれた。国民主権はロック、ルソーを媒介し、アメリカ独立革命フランス革命で確立、これは18世紀後半。つまり、主権国家国民主権とでは、国民主権の方が歴史的には後の思想。ということで✕と判断してやることもできる。なお、わざと意味の取りにくい文章にして問うてくるのが、これまでのセンターの常套手段の一つだが、こういう場合は読み替えてやるとよい。この文章は「国民主権主権国家という概念を産み落とした」という意味。しかし、主権国家という時の主権は独立権、国民主権という時の主権は決定権・・・という「主権の三つの意味」を想起してやると、これはさすがに論理的な整合性がないと考えられるのでは。いや、そもそも、国民主権が生み出したのは「主権国家」ではなく、「〇〇国家」・・・ということを知っていればもっと楽に✕と判断できる。では、〇〇とは何か?これ答えることができる受験生はよくよく教科書を読み込んでいると褒めたい。そう、「国民国家」 Nation State( Stateは単純に行政的な「国」という意味合い。Nationは、歴史、文化、民族の意識などで、心や精神的な面で一つの集合体となっているもの) が正解。やはり「知は力なり」だね。「国民国家の概念は、市民革命を経て確立された国民主権の原理を基礎としている。」なら論理的矛盾なし。国民国家とは「主権国家において、国民主権が確立し、憲法と議会政治が実現し、一元的な統治国家となった国家」「政治的に統治している民(people)が国民(nation)としての統一性をもつものとして」19世紀の西ヨーロッパで形成され、20世紀に全世界に広がっていったものだからね・・・。しかし、では「国民国家」が理想かと言うとそうでもない。「国民国家」故のナショナリズム、それに伴う紛争もあれば、内部からの排除による難民の発生など、負の側面もある。また、そもそも「国家」や「国民」は、人工的に作られた「想像の共同体」にすぎないという指摘もある。「国民国家」が行きわたったヨーロッパでは、それを補完する意味も込めて、欧州連合EU)を結成したとも言える。ここでは深入りを避けるが、国のあり方、政治については、まだまだ多角的な思索が必要。とりあえず、「三つで括って覚える倫政・現社」には掲載しておかなかったが、①主権国家 →②国民国家 →③post国民国家 といった流れを付箋に書き込み、教科書に貼っておくことを勧める。

 

05 主権国家は、共通通貨の発行という形で、主権の一部を国家の連合体に委ねることもある。
  • 政経の問題、これも「括弧け問題」だが、この文章の意味が分かるであろうか?こういう抽象的な文章は、具体的なことを連想してみることが鉄則である。???と言っても意味がわからないかも知れないが、ここではズバリEUを連想せよということである。そう言われてみると、この文章は○と判断できるのではないだろうか。ということで、迷ったら「具体例を想起してみよ」を教訓の一つとしてほしい。

 

06 沿岸国に天然資源の探査・開発等のための主権的権利が認められる排他的経済水域は、国際法上、国家の領域の一部を構成する。
  • ✕領域は、領土、領海、領空。領海の外の排他的経済水域は国家の領域ではない。

 

07 国際法は、主権国家からなる国際社会で各国が守るべきルールとして形成されてきた。
  • ○一般論としては正しい。なお、「国際法には、文書によって合意した条約と、口頭での合意によって成立する国際慣習法がある。」は✕。国際慣習法は「口頭」という訳ではない。一般慣行として各国が守るべきルールとして不文法ではあれ認知されてきたもの。

 

08 国際慣習法とは、諸国の慣行の積み重ねにより形成された一般慣行で、元来成文化されていないものであるが、条約の形に成文化されることがある。
  • 国際慣習法 customary international law は、公海自由の原則あたりもその典型で、当初は特には成文化されていなかったが、1982年の海洋法条約に明文的に規定された。成文化されることもある。「諸国が様々な条約を締結している今日においても、慣習法は国際法の一部とみなされている。」も○。

 

09 国際慣習法により、内政不干渉の原則、公海自由の原則が認められている。
  • ○内政不干渉 non-interference in internal affairs はとても大事な国際社会のルール。1954年、周恩来ネルーの間で合意された国際関係上の遵守すべき「平和5原則」のひとつでもある。近年では、中国が他国から国内問題について批判されると、「内政干渉であり、受け入れられない」と突っぱねる口実として濫用されている感がある。

 

10 国際法上の拘束力をもつ国家間の合意を条約と呼ぶとき、世界人権宣言もこれに該当する。
  • ✕前段の前提、「拘束力」がないと条約と呼ばないとすると、「宣言」は条約には含まれないことになる。「世界人権宣言が法的拘束力はない」というストレートな問題なら簡単だが、こうした変化球を投げてくることがあるので心しておこう。なお、ここでは国際法上の拘束力をもつ国家間の合意を条約として捉えるという前提であったが、一般的には、宣言や協定も広い意味では条約に含まれ、「法的効力は同じ」である。ただし、法的拘束力については、それをもつ宣言や協定もあれば、持たない宣言や協定もある。一律に宣言だから法的拘束力はないという訳ではないようだ。世界人権宣言の場合は、国際連合の決議(=勧告)という法的性質の曖昧なもので、当事者間で約束を結んだ訳ではないので、法的拘束力がないとされる。ちなみに、以下のような出題もある。「憲章、協定など、条約という名称でない国際文書は、一般に、国家間の合意を表す文書ではないことを示すために、そのような名称を用いている。」という文章は✕。「合意」agreementはある。協定も英語でagreementである。ただし、「国家と外国企業との間で締結される兵器調達などの国際契約は合意であっても国際法ではない。」このあたりかなりグダグタしているけど、こうしたグダグダを理解するような「思考の強靭性」が共通テストでは求められるようになってきたので、投げ出さず、「そういうことか」・・・と、理解してしまってほしい。

 

11 条約には日米安全保障条約のように二国間で結ばれるものと、国連憲章のように多国間で結ばれるものとがある。
  • ○多国間 multilateral 条約には、発効するためにそれぞれの条約ごとに「一定の要件」がつけられるのが通例であることも知っておこう。なお、国連憲章については、「日本がポツダム宣言を受諾した年に開催されたサンフランシスコ会議では、国連憲章が採択された。」といった問題が政経で出題されている。教科書にも明記されているが、案外軽く流してしまい頭の中になかった受験生もいるはず。思考力重視で重箱の隅をつつくような知識問題は流行りではないが、こんなところで減点をくらっては悔しいので、サンフランシスコ会議あたりもインプットしておこう。

 

12 日米安全保障条約は、日本にある米軍基地への武力攻撃に対する共同防衛を義務づけている。
  • ○以前もこのことを確認したが、1960年改定の「日米新安保」自体は「日本の領域内」での「共同防衛」が明記されている。ただし、解釈改憲によって、限定的ではあれ集団的自衛権を容認したため、「日本の領域内」という限定はとれたと解すべきかと思われるが、問題文自体は依然として○。なお、日米安全保障「条約」とともに、日米地位「協定」が結ばれたことも承知のとおりだが、協定は条約のもとでの技術的な面での合意といった意味。無論、協定も法的拘束力をもつが、思いやり予算なんてな配慮も生じたりしており、ある程度弾力的な運営の余地がある場合もある。

 

13 多国間の条約が発効するためには、一般的に、各国の代表による署名と国内手続による批准が必要とされ、さらに批准国が一定数に達することが条件とされる。
  • ○「核兵器禁止条約」が先般「一定数」を超えて発効した。採択 adopt →署名 sign →国会の承認 approve →批准 ratify → 発効 go into effect ※加入はすでに発効している条約に参加する場合の言い回し。なお、「包括的核実験禁止条約」はまだ発効していない。

 

14 政権交代に伴う対外政策の変更を理由に、自国の前政権が批准し現在加入している条約を遵守しないことが許される。
  • ✕これは許されない。条約は国家間の合意として締約国自体を拘束するものであり、憲法が、条約の締結に おける国会の承認や条約の誠実な遵守を求めていることから、条約は法律より優先するものと考えられている。

 

15 国際法には、国家と国家との関係を規定する条約は存在するが、国家と個人との関係を規定する条約は存在しない。

 

16 人権にかかわる条約違反があるかどうか、国連の経済社会理事会が定期的に調査し、違反がある場合にその締結国に対して国連憲章に基づく強制的措置を発動することができる。
  • ✕経済社会理事会はそのような役割を担っていない。また、国連憲章にかかわる強制措置は侵略や平和破壊行為をなす国家に対してのものであり、人権にかかわる条約違反は対象外かと思われる。

 

17 人権関係の条約には、人権を侵害された被害者が国際機関や国際裁判所に訴えることを認めるものがある。
  • 政経の問題。国際人権規約など A・B規約の選択議定書に人権侵害を受けた時の「個人通報」の手続きが示されたが、日本はこれを批准していない。「締結国は、他の締結国の条約違反があると考える場合、人権裁判所などの条約の実施機関に対して審査を申し立てる。」という政経の出題もあり。人権裁判所などというものは聞きなれないかも知れないが、○。EUでは欧州人権裁判所があり、米州機構にも米州人権裁判所がある。この点、日本を含む東アジアにそのような機関はないので、取り上げられることがあまりないが、政経ではここまで聞いてきているので、やはり深く学ぶ必要がある。なお、米州人権裁判所の根拠である米州人権条約については、アメリカ、カナダ、キューバは批准していないとのこと。一方、欧州人権条約をロシアは批准しているとのこと・・・それなのに・・・。

 

18 締約国が自国の人権状況を国際機関に報告することを義務づける人権条約は存在しない状況にある。

 

19 戦争の違法化を明記した国際法は存在しない。
  • ✕1928不戦条約、1945国際連合憲章が戦争の違法化を明記。 なお、不戦条約は、アメリカ、フランスを中心に結ばれ(それぞれの代表者の名前をとってケロッグ・ブリアン協定とも呼ばれる)、日本、ドイツ、ソ連も批准したが、「自衛のための戦争は可能である」という道を残してしまい、また「侵略」をどこが認定するのか規定がなく、「違反に対する制裁」についても触れられていなかった。このため理念的規範にすぎないと考えられ、結局、第二次世界大戦の勃発を防ぐことができなかった。ただし、一方で、期限の定めがなく、今日でも効力を有しており、約60の国が当事国となっているとのこと。しかし、これがどれだけ意味をもつかは疑問。国際連合憲章は、「他国への武力行使は原則禁止」とし、違反し侵略等の行為を行った場合は、「武力制裁」を行うことができると明記してあるが、安全保障理事会が決定した場合のみに法的拘束力をもつ。そのためには後にも触れるが、米英仏ロ中の5カ国の大国一致が必要。ところがロシアが拒否権を行使すれば国連としての制裁はできない。ということで、今回のロシアのウクライナ侵攻に対しては、国連としての武力制裁はできないというジレンマに陥ることになる。

 

20 戦時国際法として、傷病者及び捕虜の待遇改善のための国際条約がある。
  • ○以前、「武力紛争中であっても、紛争当事国は、子どもたちの生活や教育に支障が生じないように努力することが国際法で義務づけられている。」という問題が出題されたことに触れたが、覚えがあるだろうか?これと同様に、戦時にも最低限のルールが定められていることも承知かと思う。1864年に結ばれ、戦後も1949年にまとめられ、以降も追加議定書でより人道上の保護規定を拡充させたジュネーブ条約がそれである。条約名を問うということはないが、戦場で苦しむ人を敵味方の区別なく救護することや、捕虜の人道的扱いを定め、健康に重大な危険を及ぼす行為、捕虜から情報を得るために拷問などの強制を加える行為などを禁止していることなどを理解しておきたい。

 

21 第二次世界大戦中に受けた被害の補償を求めて、日本の旧植民地支配地域などの人々から、日本政府に対する訴えが提起されている。
  • 政経の問題。戦後補償については、条約を結んで対応するのが通常である。日本と韓国については、1965年日韓基本条約を結ぶと同時に日韓請求権協定のもとに戦後補償を行い、日本政府はこれで「解決済み」としているが、一方で、慰安婦問題から日本政府に対する訴え、賠償請求が提起されてきた。このことは承知の通りかと思うが、これを踏まえると、問題文は○と判断できるはず。この他、台湾人元日本兵士の補償問題なども生じており、具体的なところまでは問われないものの、部分・具体的事例から全体・俯瞰的言説を類推する「大局観」が問われる。