【速修】⑩国際社会と国際法・国際連合(6)NGO・国連予算
103 NGOの中には、国際連合の経済社会理事会との協議資格をもつものがある。
104 思想・信条などを理由に不当に拘束されている「良心の囚人」の支援を主な目的とするNGOに、アムネスティ・インターナショナルがある。
- 〇アムネスティ・インターナショナルが日本の死刑制度に強い批判をしていることも知っていることと思う。団体名「amnesty」は 「大赦」 の意だそうだ。2000年代よく出題されたものに、アムネスティ・インターナショナルとともに、環境保護団体としての「グリーンピース」 Greenpeace、世界でいち早くフェアトレード活動を始めるなど貧困をなくすために活動する「オックスファム」 Oxfam (Oxford Committee for Famine 飢饉 Reliefリリーフ 「救荒(きゅうこう)→飢饉が実際に発生した際に行われる対応策のこと」の略語 )なども現社で出題されている。なお、先駆的なものとして第一次世界大戦の時に結成された「セーブ・ザ・チルドレン」あたりも出題の可能性がある。子どもの権利条約の草案にも携わった。ちなみに、NGOとの連携が国際連合憲章に記載されていることも、未出だが、出題される可能性があるので知っておこう。
105 紛争地や被災地に赴き、緊急医療活動を提供することを主な目的とするNGOに、国境なき医師団がある。
- 〇国境なき医師団はフランス語 Médecins Sans Frontières だが、この名称ではなく、●2021現社第2日程では、略称「 MSF」で問われた。ただし、アムネスティ・インターナショナルとの二者択一、アムネスティは医療ではないので消去法で MSF・・・という形で選択すること自体はできるが、略称で選ばせるのは、そこまで聞いて委員会だね。なお、アムネスティ・インターナショナルの略称は「AI」。略称は全部覚える必要はないが、カタカナではなく、原語自体も常に確認しておくことを勧める。このプリントで、できるだけ英語も付け加えているのはそういう意味もある。
106 NGOがその作成に貢献した条約の例の一つに、クラスター爆弾禁止条約がある。
107 地雷の使用・生産などを禁止する対人地雷全面禁止条約は、国連安保理常任理事国の反対によって、採択されなかった。
- ✕安保理に条約に対する拒否権はない。地雷除去や被害者支援をしているアメリカやヨーロッパの6つのNGOが「地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)International Campaign to Ban Landmines」を始め、反対する国々の説得を続け1997年オスロで条約が成立。ノーベル平和賞受賞。しかし、アメリカ、ロシア、中国、インド、パキスタンは参加していない。なお、「「地雷禁止国際キャンペーン」は、地雷被害者に対する支援活動や、地雷による被害をなくすための教育などを行っており、対人地雷全面禁止条約の発効を契機として設立されたNGOの連合体である。」という現社の問題あり。これも✕。対人地雷全面禁止条約の発効を契機として設立されたのではない。逆で、対人地雷全面禁止条約の発効を促進した。2011年の問題で決して「時事問題」ではないが、正確な認識を求めている。
108 国際赤十字は戦場での負傷者や難民の救済などに貢献しているが、その活動は上部機関である国連の指揮監督に服するという制約がある。
109 信託統治理事会は、冷戦後の新たな信託統治地域の設定に伴い、活動範囲を拡大している。
110 国連においては、人権問題へ対応する国連の機能を強化するため、人権委員会を改組する形で人権理事会が設置された。
- "〇人権理事会は2006年に設置。47カ国(アジア13、アフリカ13、ラテンアメリカ8、東欧6、西欧7)で 構成されており、日本も何度か理事を務めている。日本の人権状況については、死刑の執行停止や死刑制度の廃止、国内人権機関(人権委員会)の設置など200近い勧告を出している。なお、並べ替え問題として出題されたことがある。国連難民高等弁務官事務所 1950 国際刑事裁判所2003 人権理事会は2006 "
111 国連は、国家の安全を守るという伝統的な安全保障に加えて、個々の人間に着目する「人間の安全保障」に基づく活動を展開している。
- 〇国家がその国境と国民を守るという「国家の安全保障」の考え方だけでは対応できない脅威の事例が顕著になってきたことから、人間一人ひとりに着目し、人々が恐怖と欠乏から解放され、尊厳ある生命を全うできるような社会づくりを目的とするものとして、「人間の安全保障」という考え方が提唱されるようになった。国家の安全保障を補完する概念であり、脅威からの「保護」だけではなく、脅威に対する自らの選択・行動を可能とする「能力強化」(エンパワーメント)なども目指す。インド出身の経済哲学者センや緒方貞子国連難民高等弁務官らが共同で提唱。センの「ケイパビリティ(潜在能力)」の考え方は現社でも出題されるので、早めにその思想に触れておきたい。
112 国連の通常予算は、加盟国の経済力を基礎にして一定の方法で算出される加盟国の分担金によって賄われている。
- 〇加盟国の経済力に応じるので、アメリカが最も分担金が多いということになる。国連分担金だけでなく、PKO関連分担金もある。
113 国連の通常予算の半分以上は日本とアメリカの2か国による分担金で占められており、日本の国連に対する財政的な貢献は極めて大きい。
- ✕かつては日本が2位であったが、2019現在 ①アメリカ ②中国 ③日本 ④ドイツ ⑤イギリス ⑥フランス
114 加盟国の分担金で賄われる国連の通常予算の額は、日本の一般会計予算の額よりも多くなっている。
(6)NGO・国連予算