【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【今日の時事問題】格差の実相 その4

 

日本の世帯構成

これまで「世帯」単位での所得の状況を見てきたが、国民生活基礎調査によると、2022年6月現在の日本では、総世帯数は5431万、日本の人口は承知のように1億超えているから、世帯の平均人数は・・・2人以上・・・、正確に言うと2.25人。

 ところが、私が生まれた1950年代は世帯の平均人数は5人を超えていた
ようだ。私の家は4人家族の「核家族」であったが、「三世代世帯」も多かった
はず。しかし、1961年に4人を、1992年には3人を切り減少傾向が続く。

 現在は、「単独世帯」が最も多く32.9%、「夫婦と未婚の子のみの世帯」が
 25.8%、「夫婦のみの世帯」が 24.5%。今や「三世代世帯」は3.8%でしか
ない。

「ひとり親と未婚の子のみの世帯」

 こうした中、「ひとり親と未婚の子のみの世帯」がどの程度かと言うと、2022
国民生活基礎調査では367万世帯で6.8%。2016年調査では7.3%であ
ったのでやや減少したが、およそ14世帯のうち1世帯が「ひとり親と未婚の
子のみの世帯」ということになる。ただし、この世帯構造には、「未婚」という
ことで、成人し就労している子どもと同居するひとり親とか、8050問題に該
当するような高齢の親と引きこもりの状況にある子とか、様々なケースもあり、
一般的にイメージする、「小さな子どもを養育している」ひとり親家庭とは異な
る場合も含む。

一方、「18歳未満の児童」という基準でくくると、そもそも「児童がいる世帯」は全世帯の18.3%。1986年調査では46.2%だったので、いかに少子化が進んでいるかがここでも分かる。2022年は初めて1000万世帯を991万世帯となった。

 この「児童がいる世帯」の中で見ると、「夫婦と未婚の子のみの世帯」が78.1%、「三世代世帯」が11.1%、「ひとり親と未婚の子のみの世帯」がおよそ63万世帯で6.3%。40人のクラスでおよそ3人は「ひとり親と未婚の子のみの世帯」の子どもということになる。ただ、一方で、2016年がピークでその後減少傾向にあるようだ。増えている訳ではない。しかし全世帯のうち1.5%程度は占めている。56.5万世帯が母子家庭、7.5万世帯が父子家庭。

 なお、厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査」では異なった数値があげられている。今年1月に出された令和3年度の調査では、母子世帯が119.5万世帯、父子家庭が14.9万世帯となっている。多くなっているのは、母子、父子以外の「同居者」がいる場合も含めているからである。同居者には、子どもからすれば祖父母や叔父叔母等が考えられる。これは「広義」のひとり親家庭ということになろうが、この場合は全世帯の2.5%となる。なお、逆算すると、このうちのおよそ6割が母と子のみの世帯、4割は「同居者」がいる世帯ということになる。

ということで、ひとり親家庭といっても、その定義によって様々・・・。

「ひとり親世帯」の経済状況

 で、問題は、そうした「ひとり親世帯」が経済的に非常に厳しい・・・という点。「ひとり親世帯」の場合「母子世帯」の方が多いが(再掲: 2022
国民生活基礎調査/56.5万世帯が母子家庭、7.5万世帯が父子家庭)、男性優位の社会構造の中、とりわけ「母子世帯」がより厳しい生活状況に置かれているのではないかと推測される。

以下、厚生労働省の「2022(令和4年)国民生活基礎調査の概要」の「母子世帯」の状況が分かるデータを提示しておこう。

なお、就労状況については、「児童のいる世帯における母の仕事の状況」については、「仕事あり」が75.7%、そのうち「母子世帯」については88.7%と、全体平均より高い数値になっているようだ。

ただし、「児童のいる世帯における母の仕事の状況」に関して、「正規職員・従業員」は児童のいる世帯全体の30.4%だが、母子世帯については、国民生活基礎調査の概要にはデータがない。

 そこで、「全国ひとり親世帯等調査」を見てみると、以下のような状況。

 

既に触れたように、国民生活基礎調査とは世帯の捉え方が違って「同居者」を含むので、この点は留意が必要だが、この調査では母子世帯の母の 86.3 %が就業しており、このうち「正規の職員・従業員」が 48.8 %と最も多く、次いで「パート・アルバイト等」が 38.8 %となっている。

後ろ2つは内数だから、母子世帯全体で見ると86.3 %の就業者のうち、「正規の職員・従業員」がおよそ42%となり、国民生活基礎調査での児童のいる世帯全体では正規の職員・従業員は30.4%であったので、「同居者」を含む母子世帯の場合は、こちらの方が全体平均より高い数値となっている。母子世帯は子育てに追われ、非正規が多いのではないかという思い込みがあったが、現実は、4割は正規職員として勤めている。

また一方で、3割を超える「パート・アルバイト等」も複数掛け持ちで働いているケースもあろう。逆に言うと、そのため、「ヤング・ケアラー」として、家事を引き受けている子どもたちも多くいることであろう。

一方、夫婦二人世帯の場合は、母親の方は非正規でも父親が正規で稼げば十分やっていけるケースが多いということか・・・

無論、母子世帯にも安定した経済状況のところもあることは言うまでもないが、全体的には、児童のいる世帯の平均所得を 100 として比較すると、 1人で稼ぐ母子世帯の場合は45.9 に留まるという結果となっている。

 また、ここでは父子世帯については触れないが、むろん父子世帯の生活が楽かというと無論そうでもない。父子世帯の場合も生活に窮しているケースもあろう。

貧困率の推移

最後に、以下が、「2022(令和4年)国民生活基礎調査の概要」でも示されている貧困率の推移である。「ひとり親世帯」の貧困率バブル崩壊後の1997年の63.1をピークに次第に低下してきているが、先進国の中では依然として高い数値だという指摘もある。

こうした格差をどのように是正して、誰もが希望をもって自己実現を図っていくことができる社会を作るか?「一億総中流社会」が崩れ、格差社会となってきた日本・・・

 

若者よ、どのような仕組みや取り組みが必要なのだろうか?君たちの視点で、アイデアを出してほしいものだ。