【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【今日の時事問題】格差の実相 その3

世帯は、世帯主の年齢や、単独世帯か否か等で、所得状況は様々な違いがある。

今回は、まず、世帯主の「年齢」に着目して、「世代」ごとの課題にも触れて

みたい。

以下が、年齢階級別の状況である。

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まず、どこに注目する?

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とりあえずは、山型になっていることでしょうか?年功序列型賃金は崩れつつあるとは聞きましたが、やはり30代より40代、40代より50代の世帯主がいる世帯ほど所得が高い・・・

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そうだね。この年の平均所得は545万7千円。さすがに29歳以下の場合はそれ以下だけど、子どもが大学生あたりの50歳台はお金が必要だからね。

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でも先生、このグラフは夫婦二馬力で子ども二人を育てている世帯もあれば、単身の世帯もある、いろいろな世帯が混ざってますよね。

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その通り。あくまで、世帯主の年齢という切り口で見たもので、実際はさらに、それぞれの年代ごとに、単独世帯、夫婦世帯、夫婦と子ども世帯などで細かく見ていかない、実相は掴めないけど・・・ただ、さらに、以下のようなデータもあるよ。

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どんなところに注目したい?

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まず目につくのは、貯蓄が年代が上がるにつけ増えていること。これは当たり前のことかも知れないけど、正直、すごいなと思います。
高齢者は所得が少ないので厳しいと思っていましたが、貯蓄はこんなにあるんですね。

 

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私もこの貯蓄については驚いた。私はほとんど貯蓄せずにきたものだから。老後に2000万円の貯蓄が必要だ、なんてなことが騒がれたけど、皆さん結構地道に貯蓄されているんだね。

ただし、全員が全員こういう貯蓄がある訳ではないけど、70代でこれだけの貯蓄があれば、年間所得が年金だけでもやっていけそうな気もする。

でも、無年金の高齢者もいるので、老老格差も大きいんだろうね。

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そうですね。うちのおばあちゃんも、国民年金だけで、貯金もそうないと母親が言っていました。だから、時々おかずを作って、おしゃべりして帰ってきます。
で、先生、もう一つ私が「へ~」と思ったことがあるんですが。

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おっと、それは何?

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借入金です。家のローンをはじめ、30代、40代では、かなりお金を借りているんですね。だから所得が高くても、ローン返済もあり、決して生活は楽ではないのかも知れませんね。

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家のローンだと3000万あたりはざらだからね。ただし逆に言えばローンを組むことができる人は正社員・・・無論、非正規が組んではいけない訳ではないけど、非正規だと大きな買い物は難しいかも。で、結果として、平均すると、1000万前後の借入金ということになっているんだと思う。

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先生、何だか、どの世代でも、家計のやりくりは大変そうですね。正規社員で、結婚し、二人共働けば余裕はあるかも知れないけど、全ての人がそうなる訳でも、またそれを望んでいる訳でもない・・・

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そう、様々な生き方がある。要は、どんなライフスタイルをとろうとも、何かあった時に支援するセーフティネットが必要だということだ。

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医療保険や失業保険などですね。あっ、生活保護もそうですね。

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それに、高齢者には包括的な福祉支援、ひとり親家庭にもいろいろな支援の取り組みが行われつつあるよ。

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へ~、先生またそのあたり教えてください。
で、今日、もう一つ教えてほしいのは、皆さんそれなりに老後のことを考えながら貯蓄をしていることをみましたが、そうした貯蓄にも相当な格差があるんじゃないですか?

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そうだろうね。以前もそんなことが話題になったことがあるから、実は今日ある資料を見つけて持ってきた。

野村総合研究所が2023年に発表した2021年における日本の「純金融資産保有別の世帯数と資産規模」に関する推計値のデータ。

「純金融資産」というのは預貯金だけでなく、株式、債権、投資信託、一時払いの生命保険や年金など、世帯が保有するもの。ここには不動産は含まれていないから、あくまで資産の全容ではないけど、日本でもかなり格差があることが見て取れる。

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前に見た資料で、貯蓄が平均で1000万前後あることをみて驚いたけど、3000万円以上も金融資産がある人が3割以上もいるんだね。

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1億円以上の人は3%・・・多いのか、少ないのか、何とも判断ができません。

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ネット上では、「日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計」「富裕層・超富裕層の世帯数は、2005年以降の最多に」といった小見出しがついていた。今回の資料は%も計算してつけてみた。また生活保護世帯の数値も入れ込んでみた。君ならどういうキャッチーなフレーズを作る?

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ちょっと待ってください・・・105プラス259÷1632=22.3%・・・
「わずか3%の金持ち階級が、日本の何と1/4の資産を牛耳っている」.なんてなのはどうでしょう。

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なかなかキャッチーだね。あるいは、8割近く、つまり国民のほとんどがが3000万未満しか金融資産をもっていないところに着目すると・・・

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「2割は余裕の金持ち、8割は余裕なし」・・・あるいは、678÷1632=41.5%・・・8割の国民が4割の富しかもっていないのに2割の金持ちが6割の富を握っている・・・うーん、これはいま一歩・・・

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生活保護世帯も入れてみるとどうなる?

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「3%は大金持ち、けれど3%は生活保護・・・なかほど8割近くも余裕なし」

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「格差の進行と、中産階級地盤沈下・・・どうした?日本」などと、キャッチーな表現ばかりしていると、正確性を欠いたものになるから注意しないとね。

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えっ、先生が誘導したんじゃないですか・・・

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あっ、ごめんごめん。でも、それにしても、アメリカほどではないにせよ、一部の富裕層に富が集中するという傾向が出てきたのだったら怖いね。

ほら、この記事を見て・・・

アメリカの下位50%の世帯は、国全体の富の2%しか持たない・・・上位1%が3分の1を保有

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先生、世界全体も格差がありますよね。

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かつてよく読まれた「世界が100人の村だったら」。2001年に出されて、確か・・・「6人が富の59%を所有し、74人が39%、20人で残りの2%を分け合っている」だったかな。
ところが今やもっと格差が進んでいるそうだ。

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で、最後に先生、ここのところ日本で富裕層・超富裕層の世帯数が増えてきたのには何か理由があるんですか?

確か、所得の面では、お金持ちの比率は下がり気味だったはずですが・・・

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おっ鋭いね。そうそう、1年間の所得では1000万円以上の層は減っていたよね。再分配で12.6%程度だったかな・・・、でも2000万円以上が1.4%程度だったはず。
でも、こと資産で見ると富裕層・超富裕層の世帯数は3%で、ここのところむしろ増えているとのこと・・・わずか3%が22%の富を保有している・・・これはなぜかと言うとお金持ちは資産を「運用」しているからじゃないかな。要するに株だよ株。ここのところ株が上昇しているんだ。

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景気がよいとは思えないのに、なぜ株が上昇しているんですか?

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一つは、「アベノミクス」によって株価が上昇したという見方が有力だね。なぜそうなったのかは別の機会に触れるけど、お金に余裕のある人は株に投資できる。ない人はできない。特にコロナ禍、不思議なことに、株価が上昇したんだ。逆に言うと、一部の富裕層にとってはアベノミクスによる株価の上昇は効果的だったけど、大方の庶民にとっては恩恵のないものだったということになる。

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家庭科でiDeCo や、積み立てNISAのことを習いましたが、これはあくまで余力がないとできませんよね。

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そうだね。政府はさかんにiDeCoなどを宣伝しているけど、余力のない人にとっては選択できないものだよね。
次回は、そうした中で、特にコロナ禍で厳しいやりくりを余儀なくされている、ひとり親家庭についても触れようか・・・

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はい、現実をもっともっと深く知りたいでーす。