65 政府が「福祉元年」のスローガンを掲げたのは、1960年代の後半である。
- ✕70歳以上の老人医療費が無料化された1973年が福祉元年。
しかしオイルショック等の低成長で1982年には一部自己負担に。現在は現役並みの負担を求められるケースも。
66 厚生年金などの被用者年金に加えて、高度経済成長期に国民年金の制度が導入されたことによって、国民皆年金が実現した。
- 〇このスタートが1960年代。
67 1972年の児童手当制度の実施により、扶養者の所得水準に関係なく、第一子から児童手当が支給されることになった。
- ✕この問題はもう出そうにもないが、当時は第3子以降に対して給付。また給付に係る所得制限が導入されていた。その後拡充され、現在は、第1子から、中学校卒業までの支給となっている。ただ所得制限はあるが、特例として特例給付として児童の年齢にかかわらず一律5,000円支給される制度が適用されるケースもある。
68 1973年は「福祉元年」とも呼ばれ一部の地方自治体で実現していた老人医療費の無料化が全国レベルで採用されるとともに、年金の物価スライド制も実現した。
- 〇「物価スライド」というのは年金の支給を物価や賃金に応じて決めるもので、インフレであれば年金アップ、デフレであればダウンさせる仕組み。2004年に導入された「マクロ経済スライド」まで続いた。
69 1980年代に年金制度の一元化をはかる改革が実施され、国民年金は全国共通の基礎年金となった。
70 基礎年金制度は、各種年金制度間の格差を緩和することなどを目的として導入されている。
- 〇給付と負担の両面で制度間の格差があった。また、産業構造の変化等によって特に国民年金の財政基盤が不安定になるという問題が生じていたこともあり、「基礎年金」部分は「全国民」で支え合う体制とされた。
71 1990年代に、厚生年金や共済年金の支給開始年齢の引下げが行われた。
- ✕逆 60歳から65歳への支給開始年齢の段階的引上げが始まった。
72 1990年代以降、公的年金の制度間で負担の不均衡が拡大するのを避けるために、自営業者および無職の者も厚生年金に加入することになった。
- ✕あくまで一階部分の基礎年金。
73 企業年金の管理を委託されていたノンバンクが運用に失敗し、払い込まれた年金の元本が失われるという事態が生じたことがある。
74 子育ての社会的支援を図るエンゼルプランが、日本政府によって、2000年代に入って初めて策定されている。
- ✕1990年代から。1990年過去最低の1.57ショック。このような年代を問うことは稀であるとは思うが、1990年代から少子化が課題として出てきたことを知っておこう。
75 2000年代に入って、公的年金制度を補完する役割をもつとされる確定拠出年金制度が導入された。
76 2000年以降世帯主が65歳以上である高齢者世帯の数が、全世帯数の半数を超えている。
- ✕高齢者世帯とは、「65歳以上の者のみで構成するか、またはこれに18歳未満の未婚のものが加わった世帯」でおよそ30%。
なお高齢者がいる世帯となると、これは確かには半数を超えた。
77 2000年以降、精神上の障害などにより法的保護を必要とする人のために、成年後見制度が整備された。
- 〇財産管理等や必要な契約を代理人が行なうもの。
78 2000年以降、待機児童の問題を解決するため、認可保育所の定員拡大を図った。
79 2000年以降、合計特殊出生率は、低下し続けている。
- ✕2005年が底1.26で少しずつ上ってきていたが・・・またここのところ6年連続で下落。・・・1.30
80 2007年に、年金の記録ミスなどによる受給漏れの発覚を受け、従来の組織が再編され、社会保険庁がつくられた。
81 2000年代、基礎年金の国庫負担は1/2から1/3に引き下げられた。
- ✕「1/2に引き上げられ」、公費負担が増えた。背景の一つに年金の未納問題もある
82 2004年から将来の現役世代の保険料負担が重くなりすぎないよう、一定期間、賃金や物価が上昇するほどは年金額を増やさない調整をすることが決められた。
- 〇「マクロ経済スライド」と呼ばれる調整が導入された。インフレになってもそれほど支給を上げないという抑制政策である。ただしデフレ時には実施しない決まりで、2000年以降は日本はデフレ社会で、これまで3回しか適用されていない。いずれにせよ、「物価スライド」ではなくなり、物価が高騰しても年金はほとんど上がらないので、今後インフレが進むといよいよ年金額は目減りする。
83 2012年社会保障・税一体改革関連法が成立し、社会保障充実のために消費税をアップすることになった。
84 消費税増収分はすべて社会保障の財源とされ、高齢者だけでなく、子育て世代を含む全世代型の社会保障制度の実現のために使われることになった。
- 〇教育の無償化などにも使われた。
85 年金支給の条件が緩和され、10年以上保険料を納めれば基礎年金が支給されるようになった。
- 〇これまでは25年以上納めないと支給されなかった。できるだけ無年金の人を出さないための制度変更ではある。なお10年間月額16,000円保険料を払うと、65歳から同じく月額16,000円程度給付されるという。75歳まで元気ならもとは取れるということになる。ただし、現在の年金システムが破綻しなければの話し。
86 パートなど短時間労働者の厚生年金への加入条件が緩和された。
- 〇その分だけ保険料が徴収される訳で、加入したほうが良いか、基礎年金だけがよいか、悩みどころとなった。
87 2015年公務員の共済年金は厚生年金と統一された。
- 〇共済年金加入者にとっては不利益な改革であった。
88 2019年に幼児教育・保育の無償化が実現した。
- 〇政府はそう銘打っているが、3歳から5歳までは確かに無償。所得制限はない。住民税非課税世帯の場合は0歳から2歳も無償。ただし延長保育などは無償ではない。
89 高等学校就学支援金制度によって公立高校の無償化が進められていたが、私立高校の授業料実質無償化も始められた。
- 〇ただし所得制限がある。また私立高校については、私立高校の平均的な授業料程度(39万6000円)まで支給金額が引き上げられたかたちになっているようだ。
90 全国の生活保護受給者数は、近年減少傾向にある。
- ✕現在コロナ禍でより増加している。
91 日本は、出生率の低下とあいまって高齢化率が急上昇しており、現在、世界一の高齢化率となっている。
92 アメリカでは、全国民を対象とする公的医療保険は導入されていない。
- 〇否定文ではあるが、あくまで〇と判断せざるを得ない。
アメリカは65歳以上の高齢者や障害者、低所得者世帯の子どもに対しては国や州が運営する公的医療保険はあるが、それ以外の人達は雇用先が提供する民間の医療保険。逆に言うと保険に加入していない人もいる。
しかし、オバマケアと呼ばれる医療保険改革法が成立し「医療保険への加入」を原則義務化するとともに公的医療保険対象者を拡大しようとした。
つまり、公的という訳ではないが、「国民皆保険制度」に近い状態にしようとした・・・しかしアメリカには保険に加入するかどうかはあくまで自由だという主張もあり、州によっては拡充を拒否、そのため実際には「国民皆保険」には至っていない、・・・トランプ政権はこのオバマケアを廃止しようとしたが廃止自体はできず・・・ということで極めて中途半端なものになっている。
ちなみに、「アメリカでは、国民皆保険が実現されていない」という問題文も考えられる。これも否定文ではあるか゜・・・〇ということになる。
93 北欧の社会福祉制度は、所得に応じた保険料を拠出しつつも均一の高水準の給付を受けることができる制度で、不足分は公費負担である。
- ✕均一拠出・均一給付で、それでも高水準の年金となるのは、多額の公費(税金)を費やしているから。
94 フランスやドイツでは、所得に応じて保険料と給付額が異なる所得比例主義をとっており、財源に占める社会保険料、特に事業主から拠出される社会保険料の比率が高い。
- 〇不足部分を公費が補っているが、北欧に比べて保険料依拠率が高い。
95 日本は、財源の社会保険と公費の比率については、北欧型と大陸型の中間のタイプであるが、両者と比べ社会保障の給付水準が低い。
- 〇中福祉中負担。アメリカは低福祉・低負担。