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【今日の時事問題】社会保障費について その1

2021年度の社会保障給付費のデータが出た。コロナ対策もあり、過去最大になったであろうことは想像できるであろうが、受験生諸君、その額のおおよそを言い当てることができるであろうか?

 

社会保障給付費の額

「数値」については、これまでのコラムで度々触れてきた。国家予算が110兆円超え、GDPは550兆円・・・といった数値が記憶に残っているであろうか?で、そういう数値を踏まえつつ、では、社会保障給付費はどの程度だと推測するのか?

国家予算の1/10程度か、国家予算の1/2程度か、国家予算とほぼ同じ程度か、あるいは国家予算以上の規模なのか?

 

答えは、「国家予算以上の規模」で、140兆円に迫る勢い。

国家予算が、社会保障にかなりの額を費やしていると問う認識はあるとは思うが、それ以外に、教育費や公共事業、それに何より「公債の返済」があるため、当然、国家予算の方が社会保障費より規模が大きいと思っていたのではなかろうか?ところが、実は、社会保障給付費の方が国家予算より規模が大きいのだ。

社会保障費の財源

社会保障給付費の割合

社会保障費の財源は、「税金」、つまり国家予算だけではない。保険料の拠出による部分が大きく、従って社会保障費が国家予算より規模が大きくなるということはあり得る。しかし、実際、それほどまでも、社会保障給付費が肥大化しているという認識は持っていなかったのではないか・・・。

 

で、その社会保障給付費のうち、「年金」「医療」、介護や雇用対策などの「福祉その他」、どれが最も多いと思うか?また、昨年度に比べてより増えたのはどれか?

 

最も多いのは「年金」で40%、次いで「医療」で34%、「福祉その他」は25%。

2020年度に比べて比率としてより増えたのは「医療」と「福祉その他」。
これはコロナ対策によるものであろう。2020年度もコロナ対策で前年度より社会保障費が増加したが、2021年度はコロナ拡大が一層続き、雇用調整助成金医療機関への交付金等、より一層の拡充を余儀なくされたものと推測される。

社会保障の財源

一方で、財源に目を転ずれば、「公費(税金)」と「社会保険料」、どちらの方が多いか、想像できるであろうか?

実は、「社会保険料」の方がやや多い。

 北欧型は「公費(税金)」が多く、
 大陸型は「社会保険料」が主な財源、
 日本はその「中間型」・・・

これは受験生なら知っておかねばならない知識だが・・・
2021年度で言うと「社会保険料」が46%、「公費 (税金)」が40%。残りは「資産収入」などによるもの。

なお、「公的扶助」と「社会福祉」、「保健医療・公衆衛生」は全額「公費負担」だが、社会保険についても一部について「公費」も投入されている。医療保険介護保険も1/2は公費負担。老齢年金の「基礎年金」についてもその1/2は「公費」が費やされている。ただし、厚生年金に公費が費やされることはない。

コロナ対策などの支出がかさんだ場合も「公費 (税金)」負担で対応することになり、2021年度はそのため「公費 (税金)」負担の割合はかなり高くなっている。

社会保障費の規模

承知のように、国家予算の実に「1/3」は社会保障費である。これも受験生の常識。2021年度の当初予算は社会保障費に35兆円

しかし、実際には社会保障費が膨れ上がったので、50兆円を超える公費が社会保障に費やされたことになる。無論、その差額は赤字国債で賄われ、先送りされているということになる。

コロナ対策で社会保障費が肥大化したことは、やむを得ないところはある。しかし、「税金」は我々国民の「血税」である。「国が負担してくれている」という訳ではなく、「我々国民が負担している」ことを忘れてはならない。また「社会保険料」も一部は事業主が負担しているものの、国民一人ひとりに、とりわけ年金については現役世代に大きな負担がかかっている。

国民負担率

「国民負担率」という指標

「国民負担率」という指標がある。個人や企業の所得に占める「税金」と「社会保障費の負担」の割合のことである。

受験生諸君、君たちはまだ給料というものをもらったことがない人が多いかと思うが、働くようになると、給料から「税金と社会保険料」が引かれ、残った額が「可処分所得」、いわゆる「手取り」として自由に使うことができる額となるのであって、支給額がそのまま手に入る訳ではないんだ。

税金のうち所得税は「累進課税」、社会保険料医療保険料にも職業・収入によって違いがあるが、総じて、日本の「国民負担率」はどの程度だと思う?

先般、2023年度の国民負担率は46.8%の見通しであることが公表されたが、何と、50%近いんだ。

国民負担率の推移

1970年度に24.3%だった国民負担率は、1979年度には30%を、2013年度には40%を超えた。負担率増加の背景に「少子高齢化」があることは承知のとおりだが、「えー、そんなにとられているの?」という若者の悲鳴が聞こえてきそうだ。

が・・・実際には、「可処分所得」が支給額の半分になるという訳ではない。だいたい7割から8割がたは「手取り」として確保されるのではないか。

しかし、他方では「消費税」で見えない形で負担していたり・・・消費税は実は見えない形でジャブのように庶民を苦しめている・・・

会社員の場合は、健康保険と厚生年金保険の保険料は「労使折半」で、雇い主が半分を負担していたりして、実質そこまでの負担をしているものとは感じないのであろう。
しかし企業が負担していることには変わりないため、結果として、
「国民負担率」は5割近くへと跳ね上がっているということだ。

一方で、実は、負担はしているが、「給付」も受けている・・・医療費がかかっても窓口負担は一部、税金によって運営される様々な公的サービスを享受している・・・このあたりなかなか実感できないが、負担だけではないのも事実だ。

だから、国民負担率が高いと駄目だという訳でもない。

では、この「国民負担率」なるもの、国際的に見て日本は低いのか、高いのか
次回は、超頻出項目の「社会保障の国際比較」にも分け入ってみよう。

 本日のチェックポイント

最後に、再度知識の定着を。

社会保障費は公費(税金)と社会保険料を元にして、国家予算より大きな額

・国家予算の1/3は社会保障

社会保障費、現在は①年金②医療の順

社会保障費の財源は①社会保険料②公費(税金)の順

・国民の「税金と社会保障費の負担」である「国民負担率」は、少子高齢化とともに高くなり、計算上は国民所得の「半分」近くまで