【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【今日の時事問題】日本の国家予算 その4(少子化対策)

 

「次元の異なる少子化対策

防衛費の増額と並んで、「次元の異なる少子化対策」が打ち出され、24~26年度の3年間が「集中対策期間」として位置づけられ、年およそ3兆台半ばの予算が追加投入されることが決まった。

「児童手当の拡充」

目玉のひとつが「児童手当の拡充」。
所得制限の撤廃については、自民党は、かつて民主党時代に実施されていた所得制限なしの政策を否定していたが、今回は制限の撤廃に舵を切った形となった。

jp.reuters.com

受験生にとって気になるのが、児童手当が「高校生年代」までに拡充されることであろうか。高校生年代にも月1万円の手当が支給される見込みだ。

ただし、これは24年10月分から。高3の生徒諸君は対象外のようだ。残念・・・。法律を作らないと実施できないためだが、大学等の高等教育機関の無償化もまだ先のことであろうから・・・後から見ると、君たちは「盗まれた世代」とでも呼ばれるかも知れない。
しかし、大阪公立大学のように大阪府民であれば無償化していくという動きもあり、今後、高等教育機関の無償化が急速に進んでいくことを、個人的には強く期待している。

 

「子育て世代」の「共働き・共育て」の推進

それから、今回もう一つの柱として強調されたのが、「子育て世代」の「共働き・共育て」の推進。育休給付の増額も検討されている。現在、育児休業開始から180日目までは休業開始前の賃金の67%を支給し、181日目からは、50%の支給だが、これを実質10割とするとのことだ。

 

財源の確保

で、問題は、財源だ。首相は、何と、徹底した「歳出削減」で確保するとし、「国民に、実質的に追加負担は生じさせない」と述べている。

防衛費については、 「歳出削減」に加え、「1兆円規模の増税やむなし」としたところだから、増税も、国債発行もできない、そうなるとこのような言い方しかできないのだろう。しかし、それにしても財源の確保は不透明である。

つなぎ国債

 そこで、政府は、28年度までに「支援金制度」を創設する構想も持つ。安定した財源を確保するため「社会保険料」に上乗せさせる方針のようだ。

しかし、これには様々なシチュエーションを想定し、幅広い視点からの検討が必要だ。だが、動き出す必要がある。そこで、政府は、当面は、不足分を「つなぎ国債」(「こども特例公債」)で賄う方針らしい。

news.yahoo.co.jp

つなぎ国債は、返済に充てる財源をあらかじめ決めて発行するもので、将来の増税で入ってくるお金を財源に充てるケースが多い。今回は、将来の社会保険料の上乗せを想定して発行することになるのであろうか、

しかし、それにしても、それは「赤字国債」の一種以外の何物でもない。はっきりと、赤字国債を発行してまでも、「次元の異なる少子化対策」を推進していくと潔く宣言すべきだと思うが、受験生諸君はどう感じる?

 

【数字】「家族関係支出」の対GDP比率

 また、受験生諸君に問う・・・

政府が子どものために支出している「家族関係支出」(子どもや1人親を対象とした現金給付、産前産後の休業補償、保育・幼児教育や児童養護をはじめとした現物給付など)の対GDP比率はどの程度だと思う?

 

実は20年度で言うと2%とのこと。

www.nikkei.com

13年度が1.13%だったので、かなり増加しているようなのだ。

 

前回のコラムでは防衛費が1%から2%へ拡大・・・
ということをインプットしてもらったが・・・

fukuchanstudy.hatenablog.com

 

では、これが国際的に見てどうかと言うと、少子化対策が進むスウェーデンやフランスの場合は3%前後とのこと。
子どもの数が増えれば当然この数値も膨れ上がってくる訳だろうが、どのような制度を構築しているのか、大いに参考にしたいものだ。

 

そして、今回の「次元の異なる少子化対策」が、言葉だけのものではなく、本当に「少子化対策」につながるものであるのかどうか、「将来の日本を切り拓くための、ビジョンのある投資」になっているかどうかという視点で、もっと深く検討すべきでもあろう。

 

【数字】日本の出生数

最後に、受験生諸君に、もうひとつだけ「数字」を問うておこう。

2022年の出生数は?

 

答えは、77万

www.tokyo-np.co.jp


ついに80万を切った。1975年に200万を、2016年に100万人を切ったことが話題になったが、少子化の加速化に歯止めがかかっていない。

 

子どもを産む、育てる・・・これはあくまで個人の自由である。
しかし、産み、育てたいのに、それができづらい社会であれば、それが問題なのである。

 

話は飛躍してしまうが、かつて、旧優生保護法下で障がいのある人たちに対する不妊手術が強制された。あるいは、LGBTのカップルは「生産性」がないと揶揄した議員がかつていた。
しかし、LGBTのカップルも希望すれば子育てできる。
「次元の異なる少子化対策」は「現金給付」に躍起になっているが、多様性・公正性・包摂性という、共生社会の実現を目指さないと絵に描いた餅になってしまう。

ここ数日間のニュースからそんなことも伝えておきたいと思った。