【今日の時事問題】日本の国家予算 その2(債務上限)
前回のコラムで、日本政府が1000兆円を超える借金をしていることを確認した。
アメリカの債務上限問題
実はアメリカも借金を抱えている。
公的債務残高は31兆ドル、日本円で言うと4000兆円を超えるレヴェルまで膨れ上がっているようだ。これは日本の4倍。
ただし、GDP比で言うと、アメリカの場合GDPが23兆ドルと莫大で、公的債務残高/GDPの比率自体は日本より低い。
しかし、総額自体は日本を上回っている。これは案外見逃しやすいので、心に留めておきたい。
そうした中、アメリカの場合、政府が国債を発行して借金できる上限が、あらかじめ法律で定められているらしい。「財政規律」を守るためだ。
こうした規制があることを私自身全く知らなかったが、つい先日、その上限に達するというニュースが流れた。
上記記事によると、現在の債務の上限は31兆3800億ドル余りで20年前の7兆3800億ドル余りと比べて4倍以上となっているという。
無論、アメリカが「デフォルト」となると、世界経済は大混乱することになるから、天井を引き上げることになるであろうが、アメリカの財政赤字も相当深刻である。
日本の借金が膨らんでも大慌てしない理由
一方の日本は、そうした上限という歯止めがない。前回も触れたが、なし崩しのように、雪だるまのように借金が累積している。
ところが、以前のコラム等でも触れてきたが、こんな状況でも、我々は大慌てしていない。
その理由をまとめてみると・・・
① 国全体としては黒字である
日本は、政府は赤字だけれど、国全体としては黒字であるから。
日本は世界一の「債権国」で、350兆円の黒字。
② 金融資産の存在
「政府」の金融資産(国有地、政府保有株式など)も600兆円程度
「家計」の金融資産も1900兆円ある。
※なお、こうした数値問われることはがまずない。
とりあえず、国自体に「貯金」はあるという程度でOK。
しかし、これが、国民全員に余力があるという意味ではない。
③ 通貨の発行が可能
日本は日銀がいざという時に通貨を発行することができる。
急激なインフレを招くため禁じ手ではあるけれど、可能は可能。
財政危機に陥ったギリシャの通貨は自国通貨ではなくユーロであった。
④ 国債の保有者が日銀と国民。
国債を持っているのは日銀と国民。
国債は外国人には魅力がないのであまり持たれていない。
現在は、日銀が急に手放して国債が暴落するようなことはないので安心という訳だ。
しかし、赤字国債依存は、あくまで「将来世代への借金」であることにかわりはない。いずれ、返済しなくてはいけない。
【数字】日本の輸出・輸入額
しかし、GDP自体が拡大して税収が大幅に伸びることも期待できない。
それどころか、こと貿易については、大幅な赤字。つい先般、2022年度の「貿易赤字」の額が速報として流れたばかりだが、受験生諸君には、このあたりの「数値感覚」も問われる。どの程度であろうか?
なんと、21兆7285億円円の赤字となったようだ。
・輸出がおよそ100兆円
・しかし輸入が122兆円近くとなった結果だ。
↑ エネルギーの高騰・円安が影響
※輸出・輸入額と国家予算額がほぼ同じ規模(100兆円)であることもインプットしておきたい。
経常収支について
なお、海外投資で生じた利子や配当収入の動向である「第一次所得収支」が35兆円の黒字で、結果として「経常収支」は、およそ9兆円の黒字ではあるが・・・
経常収支が黒字と言っても、それは「景気がよい」ことを意味している訳ではない。
経常収支が黒字であるということは、収入に見合った支出をしていない、「内需」が弱いという意味でもある。内需が拡大しないと、税収も拡大しない。
しかも、日本は人口減少社会。内需の先細りは避けられない。
となると、いずれにせよ、「赤字国債」発行には、日本政府も、当然慎重にならざるをえない。
そうした中の、防衛費増額と異次元の少子化対策・・・、その規模とは?
また財源をどう確保するのか?
次回からはこの点に迫ってみよう。