①エネルギー資源の国際比較 ②原発のジレンマ ③循環型社会に向けての取組あたりが問われる。「廃棄物の処理」については未出で、教科書にも深くは触れられていないが、出そうな予感がするし、エシカルライフのためにも、ぜひ知っておきたい。
エネルギー
①自然に存在するエネルギー資源は偏在・有限
生産量(2020)
・天然ガス
1位 2位 ロシア 3位 イラン
・石炭
1位 2位 インド 3位 インドネシア
・石油
1位 2位 ロシア 3位 サウジアラビア
②原子力エネルギーの功罪
(1)メリット
温室効果ガスを発生させない。発電コストが安定。
燃料の → 政治的に安定したオーストラリア、カナダなどから長期契約で輸入
※日本 1963年に初稼働
オイルショック以降は、電力の「3割」を原発に依存
(2)核燃料サイクル
プルサーマル計画・・・95%が再利用できる
使用済み核燃料を再利用
→ 発生したプルトニウムにウランを混ぜて軽水炉で使用可
※ただし、高速増殖炉での使用には実用化の目処が立っていない
(3)放射性廃棄物による汚染事故の危険性
※2011 福島第一原発事故 → 全ての原発を一旦停止
2014 エネルギー基本計画
原発は重要な「ベースロード電源」として再稼働
2020年現在は9基が稼働再開中
(4)放射線廃棄物の処理
→ 再利用できない5%をガラスと融かして固形化
→ 地下深く埋める
放射能が低減するまでには10万年かかる
③新エネルギー ≒ 再生可能エネルギー
太陽光・風力・地熱・バイオマス、水力・波力など
原発事故
②1986 ソ連(現ウクライナ)
原発事故 → ソ連崩壊の遠因にも
③日本で続いて起こった事故
1995 高速増殖炉もんじゅの火災事故
1999 茨城県東海村の臨界事故
2011 福島県第一原子力発電所の原発事故
→ 放射性物質の拡散、汚染水の流出、汚染水問題
→ しかし政府は原発を再稼働する方針
岸田政権は新増設方針も打ち出す
日本のエネルギー計画
①ベースロード電源
発電単価が安く 安定供給できる
→ [1] [2] [3]水力、地熱
→ 現在、これで40%程度
②ミドル電源
発電コストが比較的安くベースロード電源だけでは電力不足が生じた場合活用
→ 天然ガス
③ピーク電源
さらに電力が不足した時
→ 石油
詳細は下記の記事を参照。
国際比較
①日本は現在、原子力発電は4%に減少
天然ガス・石炭・石油の火力発電で80%以上
③フランスは原発推進 4割を原発に依拠
中国・インドも原発推進の方向に
※「食料自給率40%、エネルギー自給率4%」と言われる日本・・・
今後どのように自前のエネルギー創出、省エネを推進していくか
・・・大きな課題
※ 現在、ウクライナ危機でエネルギー政策も見直しを図られている
エネルギーの安全保障のために
①2012 ~ 再生エネルギーの「固定価格買取制度」
企業や家庭が作った電力を一定期間、電力会社が買い取ることを義務付けた制度
価格は政府が定めた固定価格
(固定価格は年度ごとに変化・・・現在は下落傾向)
※家庭の太陽光発電で余った電気も対象
→ 再生エネルギーによる発電の普及・拡大を期待して・・・
※買取費用の一部を「賦課金」として「消費者」が負担したかたちになっている
②新エネルギーの開発
・アメリカの「シェールガス」に対して、
日本近海に「メタンハイドレート」
・水素を利用した燃料電池
・バイオマス・エネルギーの拡大
③新しい省エネのシステム
・「発電時の排熱利用」が「コージェネレーション・システム」
※廃棄物ゼロを目指す取組はゼロ・エミッション
・「送電網のIT化」が「スマート・グリッド」
電力供給側と需要側の両方から制御できる双方向の電力網
・送電網(グリッド)につながれていない状態
≒ 電力会社に頼らずとも電力を自給自足している状態は「オフグリッド」
希少資源
②希土類は「レアアース」
レアメタルの一種 15の元素
※ほとんど中国が生産国 → 代替技術の開発が課題
※家電などに使用され国内に蓄積されて眠っているもの
→ 「都市鉱山」の発掘も必要
③「遺伝資源」も、希少なものとして国際的なルール下に
← 「名古屋議定書」
循環型社会
① 廃棄物削減
・3つのR
Reduce〈発生量の抑制〉、Reuse〈再使用化〉、Recycle〈再資源化〉の実践
・ゼロ・エミッション(廃棄物ゼロ)社会の実現を目指す
・消費者にはグリーン・コンシューマーとしての活動が求められる
②2000年 循環型社会形成推進基本法
・「拡大生産者責任」
生産者が自ら生産する製品等について、 使用され廃棄物となった後まで一定の責任を負う
・「循環資源」
循環的な利用が行われる物品と処分が行われる物品を「廃棄物等」とし、廃棄物等のうち有用なものを「循環資源」と位置づけ、その循環的な利用を促す
・処理の優先順位
処理の優先順位を、
[1]発生抑制、[2]再使用、[3]再生利用、[4]熱回収、[5]適正処分
と初めて法定化
③個別のリサイクル法
1995年 容器包装リサイクル法
→「自治体」に分別回収を義務付ける
→「事業者」にリサイクル義務付け
1998年 家電リサイクル法 ※リサイクル料は消費者負担
2000年 食品リサイクル法
→「事業者」に食品廃棄物の発生抑制とリサイクル義務付け
2002年 建設リサイクル法
→「事業者」にリサイクル義務付け
2005年 自動車リサイクル法 ※リサイクル料は消費者負担
2012年 小型家電リサイクル法
→ 対象品目・回収方法は「自治体」決定
エシカル消費
環境に優しい配慮
①レジ袋の有料化 → マイバッグ
②デポジット制
製品価格に一定金額の「デポジット(預託金)」を上乗せして販売
→ 製品や容器が使用後に返却された時に預託金を返却
→ 製品や容器の回収を促進する制度
※リターナブルびん
返却、詰め替えをすることによって、何度も使用できる容器
③リサイクルボックスの活用 など
廃棄物の処理
①家庭ごみを含めた一般廃棄物はその地域の範囲内での処理を原則
※処理能力の問題もあり、分別方法など、自治体によって違う
②産業廃棄物
廃油や金属くずなど20種類の廃棄物で、「事業者」自らに処理責任がある。
※都道府県を超えた広域移動も認められている
③有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関する「バーゼル条約」
1980年代に多発した有害廃棄物の越境移動をめぐる事件を契機
UNEP(国連環境計画)が中心となり有害廃棄物越境移動の国際的なルール
1989年に条約として採択、1992年に発効。日本も批准。
医療品、医療廃棄物、廃油なども対象。
※禁止ではないが規制
有害廃棄物等を輸出する際の輸入国・通過国への「事前通告[]」、「同意取得」の義務付け、非締約国との有害廃棄物の輸出入の禁止など