「三つで括って覚える経済」 ④市場経済
経済の山場のひとつ。
①需要と供給のグラフ問題は必ず出題されると考え、典型的な問題を早い段階でこなしてしまうこと。
②市場の失敗も頻出で、思考力を必要とする。差がつくところなのでしっかりと理解しよう。
③景気の変動、インフレ・デフレは絶対に落とせない基礎的な分野。難しくはないので理解さえできれば対応できるはず。トレードオフといった経済学の本質にかかわる思考問題も出題されだした。追い込みが効かない分野なので、早めに攻略しておきたい。
- 需要と供給
- 「価格と生産量」の決まり方
- 3つ +1 の市場
- 均衡価格の変化
- 3つの市場と3つの価格
- 寡占市場の問題点
- 市場の失敗
- 独占(自然独占)・寡占
- 外部経済
- 外部不経済
- 公共財
- 市場における政府の役割
- 景気の変動1 +3
- ケインズ理論
- 景気循環3 +1
- 物価の変動3形態
- インフレの2形態+1
- インフレ例
- インフレ、デフレ・・・喜ぶのはどっち?
- インフレ・デフレにかかる日本の3段階
- トレードオフ・機会費用・比較優位
需要と供給
①「売り手と買い手」が沢山いる完全競争市場の場合
②「需要と供給」の関係で
③「価格と」が決まる
※安く、沢山手に入る
「価格と生産量」の決まり方
右下がり a が D
右上がり b が S
交点(均衡点)が「均衡価格」(市場価格)と取引量
3つ +1 の市場
①財市場
消費者が「買い手」=需要側
需要 > 供給
→ 価格 が( あがる )
②金融市場
消費者が「買い手」=需要側
需要 > 供給
→ 金利 が( あがる )
③外国為替市場
消費者が「買い手」=需要側
円の需要 > 円の供給
→ 円高 100円→ 90円 or 110円
+ 1 ※むしろこいつが出そう
労働市場 労働者が「 」 = ( )側
需要>供給 → 賃金 が( )
均衡価格の変化
変化はどっち?
※必ず図を書いて確認
① どっちが動く?
買い手(需要曲線)? 売り手(供給曲線)?
② 左に動く? 右に動く?
③ ②がわからない場合は
・・・・価格は下がる?上がる?
取引量は増える?減る?で判断
以下の場合、ア~エのどこに移動するか?
〇原材料が値上がりすると
→( ) 価格↑ 取引量↓
○所得が上がると
→( ) 価格↑ 取引量↑
○炭素税の導入
→( ) + ( )
3つの市場と3つの価格
①自由競争市場 → 均衡価格
②寡占市場 →
③独占市場 → 独占価格
寡占市場の問題点
①プライス・リーダーによる管理価格
②競争・・・消費者にあまりメリットなし
③→価格の
市場の失敗
機能がうまくいかず、効率的な配分が達成されていないケース
ベスト3 +1
①独占(自然独占)・寡占
②( 外部経済 ・ 外部不経済 )
③( )の供給
+1 ( )の非対称性 企業 > 家計
独占(自然独占)・寡占
①競争原理の阻害→価格が「」=失敗
②→供給量も「」▼=失敗
特に、電力・ガス・水道などの費用逓減(ていげん)産業電気やガスなど社会的なインフラとして巨額の設備投資を必要とする反面、供給が進むにつれて費用が減少し、安定供給するので、「新規参入し」=「自然独占」状態になりやすい
③「の利益」で、規模が大きくなるほど、生産量が増え、生産物あたりの費用を低下することができるが、ある程度の規模を超えるとコスト高になり、「価格がアップ」=失敗"※市場の失敗の「外部」とは、自分以外の他の主体(第三者)に影響を与えてしまうこと
外部経済
「」は、「市場を通さずに」(=価格メカニズムが働かず)利益(プラス)をもたらすもの。
例:養蜂場と果樹園新駅と商店街水田・森林の洪水防止機能
①プラスだけど、お金とモノ・サービスが交換されない=失敗(養蜂場と果樹園、新駅と商店街は、お互いに利益を与えあっているが、相手からその分のを徴収することができない)
②当事者が生産決定に考慮するのは自己に帰属する分の便益だけなので、社会的に最適な量より生産・供給が「」▼に=失敗"
※「教育」や「研究開発」も「外部経済」に該当する。
「教育を受けることは、本人のためだけでなく、技術水準の向上など社会貢献につながる」
・・・しかし、子どもからはある程度の対価はもらうけど、教育はある意味では任意なので、逆に「義務教育」とすることで、国が公費を支払う
・・・ただし、将来の社会貢献のプラスについては対価は払われない
・・・従って、教育に対するが実は十分に支払われていない
・・・ということ。
外部不経済
「」は、市場を通さずに(=価格メカニズムが働かず)不利益(マイナス)をもたらすもの。
例:公害上流の工場の垂れ流しが下流の工場、地域住民に悪影響
新駅と商店街は外部経済の例ではあるが、他方で、騒音やゴミ問題という不利益が生じた場合は、外部不経済にもなる。
「観光」も、場合によっては外部不経済になる。
外部不経済は、企業が自分の利益だけを追求し社会的なコストを負わずに生産する(市場を通していない)ため、(周辺住民の犠牲の上にあぐらをかいて)、結果的には出し得(とく)、そのため生産・供給「」△になり、適切な資源配分とならない=失敗
※コロナ禍も「過密による感染拡大」のため、外部不経済の一例
公共財
不特定多数の人が利用する「公共財」は市場になじまない。
民間では「利潤」を生み出すことができないため、市場メカニズムのもとでは供給されない
→もし市場に任せたら、供給が「過少」▼に
なぜか?
公共財の二つの「非」がつく性格のため
①
対価を支払わない「フリーライダー」の消費を排除できない
②
多くの人が「同時」に消費でき、他の人の消費機会を減らさない
→この結果→民間は利益がでないので参入しにくい
※ただし、「鉄道」「高速道路」には非排除性はないので、民営化も可能
市場における政府の役割
①独占・寡占に対して
・法
・委員会
・料金の設定
②外部経済・外部不経済に対して
(1)外部経済
→
(2)外部不経済の「内部化」
→「」を市場の内部に取り込ませる
・直接規制→浄水器の設置など
・課税・企業に補償させる
※プラスチックごみの増加(外部不経済)→レジ袋の有料化もこの一例
③公共財の不足について
・政府が「最適な資源配分」をしなくてはならない
+1 情報の非対称性
・政府の対応 インサイダー取引規制など
景気の変動1 +3
①「設備投資」→の波(10年)
→★景気変動の最も大きな原因
②在庫変動(約3年) → の波
③建設投資(20年) → の波
④技術革新(50年) → の波
※その他、リーマンショック等海外の影響、コロナ禍等によって、不況になることもある
ケインズ理論
①供給量(生産量)は「需要」で決まる
「欲しいな~」という欲望ではなく、実際の「貨幣支出」を伴う需要
②有効需要=消費 + 投資 + +( 輸出-輸入)
※投資のうち、「」による変動がジュグラーの波
景気循環3 +1
「在庫投資」にかかわるキチン循環に注目してやると・・・
①好況期
物が売れる
生産「」
※ところが商品がある程度いきとどくと・・・
②後退期
需要が少なくなり商品が売れ残る
生産「」状態
→在庫 > 出荷
③不況期
生産「」
在庫で対応
④回復期
→在庫 < 出荷
生産「」
物価の変動3形態
インフレとデフレ、そしてスタグフレーション
①好況→物価上昇・貨幣価値のがインフレ
②不況→物価下落・貨幣価値のがデフレ
③不況であるにもかかわらず物価がするのがスタグフレーション
インフレの2形態+1
①需要が増えた時ディマンドがpullするインフレ→Dが(D2)にシフト
②生産コストが増えた時コストがpushするインフレ→Sが(S1)にシフト
※+1インフレになるのは円高or円安?
→( 円安 )輸入品が高くなり、物価を押し上げる・・・現在がその状態
インフレ例
①通貨の過剰発行戦後直後のハイパー・インフレ
②海外原材料の値上げ
時の狂乱物価
(・量的・質的緩和政策2%のインフレをめざしたが・・・ならない)
③ウクライナ戦争による食糧不足・エネルギー不足じわじわとインフレに
インフレ、デフレ・・・喜ぶのはどっち?
日本は長くデフレが続いていた。ところが現在インフレに。
ということで・・・「インフレ」の場合喜ぶのは?
(1)株持ちの資産家? or 預貯金持ちの資産家?
→
∵貨幣価値が
・・・株は現金ではないので様子見もできる
※なお、「適度な」インフレは企業の収益をあげ株価上昇にもなり、この点でも有利
(2)年金暮らしの高齢者? or ローンを組んでいる現役組?
→
∵貨幣価値が
・・・借金の実質的負担も減る
※なお、インフレになると、ローンをしてまで今のうちに買っておこうと現役組の消費意欲が活発になるが、年金暮らしの高齢者にはそのような意欲はわかないこの点でも年金暮らしの高齢者にはきつい
なお、喜ぶのはどっち?だと分かりにくいかも。「困るのはどっち?」と考えてやると
すんなりと「年金暮らしの高齢者」・・・と判断できるのでは。
インフレ・デフレにかかる日本の3段階
①高度経済成長、基本的にインフレ基調
オイルショック後に狂乱物価・超インフレ、その後、
・・・その後、回復し、安定成長で再びインフレ基調「昭和はインフレの時代」
②1985で円高→
バブル経済崩壊1991デフレ一層進み、デフレスパイラルで長期不況
追い打ちは2008リーマンショック
2011東日本大震災
そして現在のコロナ禍失われた10年→30年?「平成はデフレの時代」
③ウクライナ戦争でインフレ基調
「令和は再びインフレの時代になるのか?」
トレードオフ・機会費用・比較優位
①人々は何かを生産/消費しようとすれば、他の何かを生産/消費することを諦めなければならない→「」
・・・経済学はこのトレードオフを考慮に入れる学問でもある
②あることを選択した時、他の何かを諦めた時に失われた最大の便益を「」と呼ぶ
③他国より、あるいは他人より、低い「機会費用」で生産できる財を「」財と呼び、全ての国にあるいは全ての人に、「比較優位」なものがある
→比較優位を尊重するのが経済学でもある
・・・市場経済における分業、協働→得意な点を活かし全体での富を増やす