「三つで括って覚える経済」 ⑥金融政策
①マネーストックとマネタリーベース、②公開市場操作、③量的緩和政策・マイナス金利政策といったところの「理解度」が問われる。
③についてはまだ問われていなかったが、来年度入試からは問われる可能性が強い。ここも早めに攻略しておきたい分野。
- 金融政策と財政政策、両方合わせて・・・
- 金融政策の前提
- 貨幣の4機能
- 通貨(交換手段・支払手段として「流通している」貨幣) その3種類
- マネーストックとマネタリーベース
- 政府日銀の金融政策
- ■近年の金融政策
- BIS規制(バーゼル合意) 1988~
金融政策と財政政策、両方合わせて・・・
①金融政策 ・ポリシー
市中の通貨量を調整
②財政政策
・裁量的財政政策 ・ポリシー
公共事業 増税・減税
・景気の自動安定化装置()
③ ①と②の併用
金融政策の前提
①通貨制度
金との交換の保証のない紙幣を発行、流通量を管理
②中央銀行の存在(日銀)
※日銀 法人 の3つの役割
(1)唯一の銀行
(2)銀行の銀行
(3)の銀行
③金融機関と金融市場の存在
預金業務を行なうのが、銀行・信用金庫・信用組合
※銀行の従来の3大業務
(1)預金・(2)貸出・(3)
預金業務を行わないのが 証券会社・保険会社
ノンバンク(信販会社・クレジットカード会社・消費者金融会社)
かつては「」方式:保護する代わりに規制
→ 銀行・証券会社・保険会社の相互参入が一部可能に
銀行もそれまで禁止されていた証券や保険などの業務も行なうようになった
※二つの金融市場
(1)短期金融市場・・・金融の場
1年未満で金融商品を取引するでの資金の融通)
金融機関の間での資金の融通 など
(2)長期金融市場・・・金融の場
1年以上にわたって金融商品を取引する
株式市場・公社債市場など
=証券市場 (発行市場と流通市場)
貨幣の4機能
①交換手段 ②支払手段 ③ ④価値貯蔵手段
※とは、商品の価値は〇〇円といった具合に、貨幣によって表現されるという意味
通貨(交換手段・支払手段として「流通している」貨幣) その3種類
①現金通貨 7%
・銀行券(紙幣) が発行
・硬貨(補助貨幣) が発行
②預金通貨 45%
・普通預金・当座預金(企業・無利子の決済用)など
※①+② M1と呼ぶ
③準通貨 「預金」など 45%
(・CD(譲渡性預金:Certificate of Deposit)定期預金は第三者に譲り渡せないが、CDは第三者に譲渡できる大口の預金)
※証券(株式・債券・小切手・約束手形)は通貨ではない
小切手・約束手形は支払手段として現金の代わりに利用される
マネーストックとマネタリーベース
「」を通じて経済全体に流通している通貨量
市中で流通している + 民間金融機関にある
※注意 金融機関が保有する現金通貨は含まない
政府が保有しているものは含まない
②マネタリーベース
「」の資金供給量
+ 市中で流通している現金
※注意
日銀当座預金とは、「市中銀行が日銀に預けている預金」←預金準備金
「」のもととなっているもの
※現在、政府日銀は「」を増やすことで、
「」を増やし、
広くお金が行き渡り、景気を回復させようとしているが、融資が進まず、うまく行っていない。
※両者の関係を図で示すと
政府日銀の金融政策
■かつての三大政策・・・とてもわかり易かったけど、現在崩壊・・・
①政策
(日銀が市中銀行に貸し出す時の利子)の操作
※不況の時は利子を( )
プラザ合意後 公定歩合を引き下げ バブル経済
②操作
市中銀行が日銀に預ける率を操作
※不況の時は準備率を( )
売りオペ or 買いオペ
※不況の時は → 資金を市中に流す
※金融の自由化で金利も自由に、
また銀行間の融通()が取引の中心となったため、①②は機能不全に
■近年の金融政策
①バブル経済崩壊後
の「無担保コール翌日物」の利子をターゲットに
オペで市中銀行に資金を流す
②1999~「ゼロ金利政策」
・・・その利子を実質ゼロに近づけようとした
③2001~「」政策
金利ではなく、「残高」を増加させることをめざす
当初は5兆円を目標に
★2008のリーマン・ショックを受け
④2013~
黒田バズーガーで異次元の量的緩和政策+α
インフレターゲット2%を目標値に掲げ
「マネタリーベース」を増加させ(→現在600兆円)
さらに「量的」だけでなく「質的」緩和政策も
金利の国債、株価連動の金融商品なども対象とする買いオペを実施
※2016 マイナス金利も導入
日銀当座預金の「一部」に0.1のマイナス金利
「金融機関が日銀に資金を預けたままにしておくと金利を支払わなければならない」
「一部」=日銀が設定している「」を超えた部分
日銀当座預金は相当膨れ上がって、「預金準備率」を超えているので、銀行は大変
ところが・・・現在
マネタリーベース600兆 < マネーストック1500兆
マネタリーベースは莫大に増えたが、マネーストックは思ったほど増えていない
【原因】企業が金融機関に資金を借りていない(設備投資に向かっていない)
貯まりに貯まった内部留保を活用しているのか?
一部のベンチャー企業、投資家にお金が集まり、うまくお金が回っていない
また、日銀は国債を買い続けたことでGDPを超える600兆円もの資産をもつことに。中央銀行がこうした大量の金融資産を保有した状態は、資源配分を歪めてしまう恐れがあるので問題
・・・また、民間銀行を圧迫していることに対する批判も強い。2%のインフレ目標を達成したら速やかに適正規模に戻すこととしているが・・・コロナ禍でその見通しも立たない
・・・「出口」戦略が立たないのが現状
BIS規制(バーゼル合意) 1988~
保護のため、市中銀行のうち国際銀行は「自己資本率8%以上」という規制
自己資本 ÷ 「貸出」を含めた「資産」
→後者が多いと率は下がる
バブル崩壊後は、この規制のため、「貸し渋り」
※現在は、日銀当座預金増大によって、自己資本は増えているが、他方で、マイナス金利の圧力と、企業の「借り渋り」という現状・・・苦境に