前提知識
GDP(Gross Domestic Product、国内総生産)とは、「ある国において一定期間(たとえば一年 間)に生み出された付加価値の総和」のことである。 付加価値は「新たに付け加えられた(新たに生み出された)価値」を意味し、売上から「中間生産物」である「仕入たもの」や「支払ったもの」の金額を引いた値に相当する。
★例題
みかんの缶詰が、果樹園、缶詰工場で生産され、販売会社を通じて売られている。その収支を示したのが次の表である。みかんの缶詰の生産・販売の過程で、果樹園、缶詰工場、販売会社において生み出された「付加価値」の合計として正しいものを、下の①~④のうちから一つ選べ。
① 120 ② 270 ③ 300 ④ 600
【解答・解説】
※どうだろうか?判断できただろうか?
④は、収入→売上を足した600
①は、損益→利潤を足した120
・・・いずれも解答ではないことはまず判断できるはず。
賃金は「付加価値」か?
で、問題は支出のところをどう捉えるか?
賃金は「付加価値」か否か? 当然、付加価値である。
(1)果樹園の付加価値
果樹園経営者の利潤は40だけど、賃金は労働者が生み出した立派な財。
一方で、肥料代は、果樹園が生み出した「付加価値」ではない。
ここでは、果樹園、缶詰工場および販売会社において生み出された付加価値の合計が問われており、肥料会社のことは問われていない。
従って、果樹園ではみかんを作るために支払ったお金を引いて、100-10=90が付加価値。
(2)缶詰工場、販売会社の付加価値
以下、同じくそれぞれが生み出したわけではない「仕入代」や他の「支払い」を引いてやる。
缶詰工場は200-100-10=90
販売会社は300-200-10=90。
(3)付加価値の合計
以上より、「付加価値」の合計
=90+90+90
=②の270が正解。
ちなみにいずれも賃金50 利潤40 付加価値90という見事な予定調和になっている。
素晴らしい。
なお、もし、「みかんの缶詰の生産・販売の過程で生み出された付加価値は?」という設問であれば、300。
肥料代、容器代、運送会社の運送料も加えてやらなくてはならない。