【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【知っ得】経済分野の計算問題 ④比較生産費説

比較生産費説は超頻出項目

既に前の計算問題でも「比較優位」について触れた。

fukuchanstudy.hatenablog.com

 

それぞれ得意なものに「特化」して生産し、「貿易」しあった方が有利だという、リカード比較生産費説。いくつか出題のパターンがあるが、絶対に落としてはならない。

 

【例題】ワインと毛織物

教科書のものを例に取ってみよう。

リカードは「生産物の価格はその生産のために投入された労働力によって決定される」とした。

これを「労働価値説」と言う。

 

★従って、下の表のように、ある物1単位を生産するのに必要な「労働者数」が数値として示される。

 これが「お約束」。

 

★また、貿易し合った方がよいということの証明なので、通常は2か国間の比較表が提示される。

 これまた「お約束」。 

  ワイン(1単位) 毛織物(1単位)
A国 80人 90人
B国 120人 100人

 

上記の表から分かるように、A国はワイン、毛織物ともにB国より少ない労働力で1単位を生産できる。

このことを、「絶対優位」と言う。

だったら、貿易しなくていいじゃない・・・ということになる。

 

ところが、どちらかに「特化」した方が、実はいいんだ・・・というのがここでの論理。

★だから、この種の問題では、どちらか一国が絶対有利な状況に設定してある。

 これまた「お約束」。

 

では、「特化」したらどうなるのか・・・
で、最初に考えなくてはならないのが、どちらに特化したほうがよいか?

それは「比較優位」を探すことでもある。

 

表を見てみると・・・

・A国はワインの方が毛織物よりも労働者数が少なくて済む。

・B国は反対で、毛織物の方がワインよりも少なくて済む。

 

ということはA国はワイン、B国は毛織物づくりに特化し、それぞれに労働力を集中させればよいということになる。

 

つまり、A国はワインに170人。B国は毛織物に220人。

すると、何単位生産されるか・・・

 

・A国のワインは

  80人 → 1単位 生産できるから

170人 → 2.125単位

 

・B国の毛織物は 

100人 → 1単位 できるから

220人 → 2.2単位

 

ということで、各々で生産するとワインと毛織物が各2単位ずつで計4単位であったのに対して、

特化すると、4.325単位と増産される。

だから、特化して貿易したほうがよい・・・という「予定調和」になるということなんだ。

 

これまで様々な形でセンター試験で問われてきたが、実は単純な問題。

出題されたらラッキーと思ったほうがよい。

 

※この比較生産説については、既に様々なタイプの問題が出題されている。

直接、いくつかの過去問で、意味を理解しているかどうかチェックしたい。

ここでは、理解できているかどうかをチェックするため1題だけ問題を出しておく。

 

○問題 比較優位 自動車とスマートフォン

【問題】

以下の表は、A国とB国において、自動車とスマートフォンをそれぞれ1単位生産するのに必要な労働者を示したものである。生産には労働者のみが必要であると仮定する。自動車とスマートフォンの生産はどちらの国に比較優位があるか。適切な組み合わせを選びなさい。

 

  自動車 スマートフォン
A国 60人 20人
B国 20人 10人

 

①自動車:A国  スマートフォン:A国

②自動車:A国  スマートフォン:B国

③自動車:B国  スマートフォン:A国 

④自動車:B国  スマートフォン:B国

 

【解説】

お約束どおり、自動車とスマートフォンともにB国の方が生産効率が高い。B国の「絶対優位」。
その生産効率を比較すると、自動車は3倍、スマートフォンは2倍。
となると、B国は自動車のほうが、相対的には生産性が高いので、B国が自動車、A国がスマートフォン

・・・③と予想できるが・・・

 

待て待て・・・

 

④自動車:B国  スマートフォン:B国 もあり得ない訳ではない。 

一応、「機会費用」を確認しておこう。

 

・A国の場合

(1)自動車の「機会費用

自動車1単位を生産するには60人の労働力が必要であるが、その60人をスマートフォンの生産にあてるとスマートフォン3単位を生産することができる。となると、自動車1単位を生産するために、スマートフォン3単位の生産を犠牲にしたことになる。この3単位が自動車の「機会費用」となる。

(2)スマートフォンの「機会費用

スマートフォン1単位を生産するためには20人の労働力が必要。これを自動車の生産にあてると、自動車の1/3単位を生産することができる。この1/3がスマートフォンの「機会費用」。

 

・B国の場合

(1)自動車の「機会費用

自動車1単位を生産するには20人の労働力が必要で、スマートフォン2単位の生産を犠牲にしたことになる。

(2)スマートフォンの「機会費用

スマートフォン1単位を生産するためには自動車の1/2を犠牲にしたことになる。
両国の「機会費用」を表にしてみよう。

 

  自動車 スマートフォン
A国 3  1/3
B国 2  1/2

 

・自動車については、B国の機会費用の方が低いので、B国に「比較優位」がある。
スマートフォンについては、A国の機会費用の方が低いので、A国に「比較優位」がある。

と言うことで、お約束どおり③で間違いない。