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【今日の時事問題】沖縄返還50年、沖縄が真の主権を回復するために

今日5月15日は沖縄が返還されて50年。

この機会に、正誤問題を通じて、沖縄の苦悩を知り、今後の展望について考えてみよう。

 

■沖縄は1972年に日本に返還されるまではアメリカの施政権下に置かれていた。○か✕か。

 

○→2022年5月で沖縄復帰50年となる

 

もしかしたらこのこと自体知らない高校生もいるかも、と思って、確認のために作成した問題。では、なぜ、そもそも沖縄がアメリカの施政権下に置かれていたか、説明できるであろうか?ここの認識がまずは大事。

 

■戦後、米軍基地が各地に置かれることになったが、米軍基地は、面積にして7割が沖縄県に集中している。○か✕か。

 

○→国土面積1%に満たない沖縄に7割が集中。市街地にあって危険な普天間飛行場、県民の反対が強い名護市辺野古への基地移設、また嘉手納基地が極東最大の基地だということを聞いたことがあると思う。在留米人数はここのところ公にされていないそうだが、3万人近く。なお、センター問題現社で「アメリカ軍による日本国内の基地使用は、日本防衛のためだけに認められている。」という問題があった。どうだろうか?答えは✕である。君たちが産まれるずっと前、沖縄の基地からベトナムに戦闘機が飛んでいった時代があったのだ。米軍の出撃地だったのだ。

 

※なお、ベトナム戦争は1965年から1973年。ベトナム戦争終結の前に、沖縄はアメリカから返還されたことになる。返還の合意は69年ということであったようだが、このことは何を意味するか、分かるであろうか?

・・・そう、泥沼化したベトナム戦争アメリカは、一方で統治・基地の維持のための費用を抑えるため、他方で基地の使用を引き続き確保するため、返還に応じたとみてよい。

 

日米地位協定によって、在日米軍人が施設外で犯罪を行った場合、日本の捜査権が認められた。○か✕か。

 

✕→現行の地位協定やその運用では、公務執行中に行われた犯罪については第一次裁判権が米国にあり、公務外に行われた犯罪は日本側に第一次裁判権がある。しかし、「公務外の事件・事故の場合、裁判権は日本側にあるが、被疑者が米側に拘束された場合は、日本側が起訴するまで、引き続きその身柄を米側が拘束する。」という規定があり、米兵等に対し通常の刑事事件と同様の捜査や裁判の手続がスピーディーに認められていない現実がある。 1995年の沖縄少女暴行事件では、地位協定上、日本側に第一次裁判権があったが、米軍基地内にいる米兵等の身体を日本側が拘束できず、結局被疑者米兵等の身体が起訴されるまで日本側に移されなかったため、批判が高まった。その後、運用改善がなされ、殺人又は強姦という凶悪な犯罪の場合、日本側からの要請があれば米側は好意的な考慮を払うとされたが、起訴前の身柄引き渡しの判断自体は、依然として米側の裁量に委ねられたままである。捜査段階では被疑者の身柄を拘束することはできないとなると、「捜査権が認められた」は✕と判断せざるを得まい。なお、治外法権という言葉を連想する受験生もいると思うが、「在日米軍基地は治外法権が認められている」、という問題が出たらこれは○か✕か。これは✕かな・・・。外務省のHPでは、「米軍の施設・区域内でも日本の法令は適用される」とし、治外法権を認めていないとしている。しかし、一方で疑義もあるかも。と言うことでグレーな問題は出題はされないが、君たちも気になったのではないかと思われるので言及しておいた。

 

地方自治体で、在日米軍基地にかかわる住民投票が実施されたことがないのは、安全保障政策が国の専管事項とされているからである。○か✕か。

 

✕→センター現社問題。沖縄での住民投票のこと※注1)を知っていれば✕だと判断できるが、知らないと迷うかもね。憲法には、外交や安全保障の所管に関する直接的な記載はないが、地方自治法には、国の「本来果たすべき役割」の一つとして「国際社会における国家としての存立にかかわる事務」が明記されている、これを根拠に、一般的には、外交や安全保障は「国の専管事項」とされると解釈されているとのこと。しかし、他方で、住民に身近な行政については地方自治法で「できる限り地方公共団体に委ねる」とし、「住民投票」の制度を設けている。従って、たとえ、外交や安全保障のかかわるものでも、のっぴきならない身近な問題を住民投票にかけること自体は保障されなくてはならない。法的拘束力はないにせよ・・・。出題者の気概を感じる、良問である。

 

※注1)「沖縄県で 「日米地位協定の見直し及び基地の整理縮小に関する県民投票条例」に基づき、平成8年に住民投票を実施し、賛成多数(89.1%)となり、県は政府に対し、日米地位協定の見直し等を要望した。」ということ。

 

■米軍基地の普天間移設問題で国と対立した沖縄県総務省に置かれた国地方係争処理委員会に審査を申し出た。○か✕か。

 

○→2000年に設置された機関。ただし審査の対象でないと却下された。★2022政経第1日程でも「国地方係争処理委員会」を選択肢から選ばせる問題が出た。今後も、「国地方係争処理委員会」は出題される可能性が高い。

 

 

最後に、受験生に問う。なぜ、「普天間」基地の移設が必要とされているのか?「辺野古」移設がなぜ頓挫しているのか?そしてまた、復帰50年間沖縄の人々が願ってやまなかったこととは何か? そして今沖縄の人々が危惧している不安とは何か?

いつの日にか山が動くために、若者が現実を知り、理想を語り合いたい。