【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【速修】経済の正誤問題 ⑪国際経済の動向と課題(2)自由貿易の進展

01 GATTは最恵国待遇などによって無差別主義を採用した。
  • 〇多角的貿易交渉で引き下げられた関税は、GATTに参加している国に無差別に適用された。「最恵国待遇」というのは、関税などでいずれかの国に与える最も有利な待遇をほかのすべての加盟国にも与えなければならないというルール。

 

02 GATTでは最恵国待遇の原則に反するものとして、特恵関税制度を発展途上国に対して例外的に認めている。先進国が開発途上国から輸入を行う際に関税率を引き下げるもので、開発途上国の支援を目的としている。
  • 〇正しい。先進国が実施する制度なので、あくまで「輸入品」ということになる。「例外」は試験でよく問われる。これも頻出事項。

 

03 GATTでは、関税引下げを中心として世界貿易の拡大が図られたが、数量制限は原則的に禁止されなかった。
  • ✕数量制限は原則禁止。実は、日本が、アメリカとの貿易摩擦を避けるため、自動車の「自主規制」を行ったが、これも問題視された。また後に見るように日本が実施していたコメの数量制限も後には撤廃することになる。

 

04 ケネディ・ラウンドでは、輸出入数量規制や補助金など非関税障壁の軽減について広範な合意が成立した。
  • ケネディ・ラウンドは1960年代で、まずは「関税」を引き下げようとしたもの。「非関税障壁の撤廃」は後の課題に。とりあえず、関税→非関税障壁知的財産権といった大きなステップとラウンドを結びつけておこう。

 

05 東京ラウンドでは、関税率の品目別引下げ方式に代わって、一括引下げ方式が初めて採用された。
  • ✕関税はケネディ・ラウンドのもの。東京ラウンドは「非関税障壁」が焦点。ケネディ・ラウンドでは、関税一括引下げ方式が採用され,鉱工業製品の関税率を5年間に50%引き下げることを目指した。アメリカの強いリーダーシップのもとで行われたケネディ・ラウンドは関税引下げについて大きな成果をあげ、工業製品の関税引下げ率は平均33%となった。

 

06 東京ラウンドでは、ハイテク関連などいくつかの特定分野について、主要貿易国による二国間交渉方式が認められた。
  • ✕GATT及びWTOはあくまで「多角的貿易交渉」である。それが故に交渉が長引くというデメリットがあり、現在は二国間のFTAが網の目のように結ばれるようになった。

 

07 第一次オイル・ショックは、アラブ諸国の原油供給削減と石油輸出国機構の原油価格引上げにより引き起こされた。

 

08 第二次オイル・ショックは、国際石油資本(メジャー)による原油価格引上げにより引き起こされた。
  • ✕1978年にOPEC石油輸出国機構)が段階的に原油価格の大幅値上げを実施したことに加え、1979年のイラン革命の影響が重なり、国際原油価格は約3年間で3倍近くにも跳ね上がった。なお、国際石油資本(メジャー)は、探鉱、開発、採油などから、輸送、精製、貯蔵、販売、さらに石油化学に至るまで、世界的規模で支配、経営を行う典型的な多国籍企業であるが、資源ナショナリズム、国有化などの動きを受け、勢力を低下させたが、現在でも再編されつつ巨大企業として存続している。

 

09 1980年代半ばから始まったウルグアイ・ラウンドにおいて、日本は諸外国からの批判に応じてコメ輸入の全面的な自由化を受け入れた。
  • ✕あくまで「部分的」。1994年、国内消費量の一定割合を「ミニマム・アクセス」として輸入することを受け入れた。なお、1993年の米不足騒動の際にタイや中国、アメリカなどから緊急輸入を行ったことも、米の輸入が避けて通れなくなった背景となった。この米騒動はフィリピン・ピナトゥボ山の噴火が原因で発生したと考えられている日照不足・冷夏が原因であった。
    なお、「1980年代末に行われた日米構造協議では,農産物の輸入制限の撤廃が主要な議題とされた。」という問題が出題されたことがあるが、これは✕。日本の不公平な貿易貫行や輸入障壁に対してが主要な議題で、農産物はGATTウルグアイ・ラウンドで。

 

10 日本は、1999年からは、農産物を含めた輸入品の例外なき関税化が決定され、コメの全面関税化が実施された。
  • 〇上記で触れたようにコメは「部分的」受け入れであったが、「輸入量制限」をやめて、代わりに高い「関税」をかけることで国内産業の保護と自由貿易の維持を両立しようとする考え方に転換した。最初は高い関税をかけても、輸入量に制限を加えることだけはやめよう、その方が「自由貿易」に近づくという発想である。関税さえ払えば誰でも購入できるが、それが極めて高い関税であり、結果としては輸入量は抑制されている。しかし、2018年に発効したTPPでは、農産物の80%の品目の関税を段階的に「撤廃」することになっている。関税即時撤廃を免れたものでも、⽜・豚⾁は⼤幅な関税引き下げ、コメ、⻨、乳製品、砂糖については無関税の輸⼊枠が新設される等、動きが出ていることも知っておこう。

 

11 ウルグアイ・ラウンドでは、知的所有権に関する貿易ルールづくりやサービス貿易自由化が合意された。
  • ウルグアイ・ラウンドでは農業、知的財産分野と工業分野以外にも自由化交渉が進んだが、「サービス貿易」についても進展があった。国境を超える取引、海外における消費、招聘外国人アーティストによる娯楽サービス等もこれに該当するが、サービス貿易は世界貿易の20%に達しているという。「外国人による株式の取得制限」などは自由化に反するものとして禁止されている。

 

12 ウルグアイ・ラウンドでの合意に基づき、東南アジア諸国連合(ASEAN)のような地域的な経済協力機構は発展的に解消されることになった。
  • ✕このようなとぼけた問題も出てくる。そんな事実はない。

 

13 GATT(関税および貿易に関する一般協定)を発展的に継承する形で、1995年WTO(世界貿易機関)を設立することになった。
  • 〇GATTは「協定」でしかないが、WTOは常設の「国際機関」。

 

14 WTOは、加盟国間の紛争処理に関する常設機関を設け、GATTと比較してその権限を飛躍的に高めた。
  • WTO全加盟国で構成される紛争解決機関(Dispute Settlement Body: DSB)を有している。貿易に関する国際紛争が発生した場合、ガットの時代から、二国間協議が重視されてきたが、紛争が解決できなかった場合には、申立国はパネル(小委員会)に紛争を付託することができる。パネル又は上級委員会の報告書は、準司法的な機関であるDSBによって審議され、勧告又は裁定というかたちで採択されることになる。

 

15 WTOの紛争処理手続においては、加盟国が一国でも反対すれば、協定違反の有無に関する裁定は採択されない。
  • ✕違反国に対する措置決定に「ネガティブ・コンセンサス方式」を取り入れている。「全加盟国が反対しない限り採択される議決方式」のこと。言い換えれば、提訴国が一国でも賛成すれば自動的に採択されるということ。政治面で常任理事国が拒否権を発動すると、ことが進まないというものとは対照的。紛争解決手続が大幅に迅速化された。

 

16 WTOには、同種の輸入品と国内産品は区別せず、国内産品に関する税金や法令の待遇を輸入品にも与えなければならないという内国民待遇の原則がある。
  • 〇内国民待遇(National Treatment)は、最恵国待遇と並んでWTOの基本原則であり、「無差別」の具現化である。

 

17 WTOでは、セーフガード(緊急輸入制限)の発動が禁止されている。
  • 自由貿易の安全弁として、「緊急措置」として認められている。

 

18 日本は、外国からの輸入農産物について、WTO(世界貿易機関)の認めているセーフガード(緊急輸入制限措置)を発動したことはない。
  • ✕貿易のところでも触れたが、日本は2000年ネギなどの農産物3品目について中国に対してセーフガードを発動した

 

19 WTOでは、ある商品の輸出向け販売が自国向け販売より低い価格で行われた場合、自国(輸出国)政府には、アンチダンピング措置の発動が認められている。
  • ✕まず「ダンピング」が国内の販売価格より「不当に低い価格」で輸出することである。これに対して、対抗措置は「輸入国政府」の方に認められている。アンチダンピング措置として、関税を引き上げることができる。センターではこのように輸出とか、輸入とかいったところに落とし穴を作ることが多かった。つまらない問題だが、意外と見つけにくいので注意深くチェックしよう。

 

20 WTO体制下では、多角的貿易交渉だけでなく、二国間の協議による貿易摩擦問題の解消や輸出自主規制も奨励されるようになった。
  • ✕あくまで多角的貿易交渉(ラウンド)である。輸出の自主規制も自由貿易の理念には反する。

 

21 国際的な経済活動を活発に行っている国の中で、いまだWTOに加盟していない国として、中国がある。
  • ✕中国は2001年、ロシアは2012年に加盟。なお「台湾」も独立関税地域として2002年WTOに加盟している。

 

22 WTOのドーハ・ラウンドは、農産物の輸出国と輸入国との間の利害対立もあり、交渉全体の妥結には至っていない。
  • 〇否定文ではあるが正しい。交渉を重ねるにつれて加盟国が増え、当初2005年合意を目標としていたようだが、合意に至っていない。このためラウンドを補完する形で、2国間の自由貿易協定(FTA)や経済連携協定EPA)を結ぶ動きが相次いでいる。