01 GATTは最恵国待遇などによって無差別主義を採用した。
- 〇多角的貿易交渉で引き下げられた関税は、GATTに参加している国に無差別に適用された。「最恵国待遇」というのは、関税などでいずれかの国に与える最も有利な待遇をほかのすべての加盟国にも与えなければならないというルール。
02 GATTでは最恵国待遇の原則に反するものとして、特恵関税制度を発展途上国に対して例外的に認めている。先進国が開発途上国から輸入を行う際に関税率を引き下げるもので、開発途上国の支援を目的としている。
- 〇正しい。先進国が実施する制度なので、あくまで「輸入品」ということになる。「例外」は試験でよく問われる。これも頻出事項。
03 GATTでは、関税引下げを中心として世界貿易の拡大が図られたが、数量制限は原則的に禁止されなかった。
04 ケネディ・ラウンドでは、輸出入数量規制や補助金など非関税障壁の軽減について広範な合意が成立した。
05 東京ラウンドでは、関税率の品目別引下げ方式に代わって、一括引下げ方式が初めて採用された。
06 東京ラウンドでは、ハイテク関連などいくつかの特定分野について、主要貿易国による二国間交渉方式が認められた。
07 第一次オイル・ショックは、アラブ諸国の原油供給削減と石油輸出国機構の原油価格引上げにより引き起こされた。
08 第二次オイル・ショックは、国際石油資本(メジャー)による原油価格引上げにより引き起こされた。
09 1980年代半ばから始まったウルグアイ・ラウンドにおいて、日本は諸外国からの批判に応じてコメ輸入の全面的な自由化を受け入れた。
10 日本は、1999年からは、農産物を含めた輸入品の例外なき関税化が決定され、コメの全面関税化が実施された。
- 〇上記で触れたようにコメは「部分的」受け入れであったが、「輸入量制限」をやめて、代わりに高い「関税」をかけることで国内産業の保護と自由貿易の維持を両立しようとする考え方に転換した。最初は高い関税をかけても、輸入量に制限を加えることだけはやめよう、その方が「自由貿易」に近づくという発想である。関税さえ払えば誰でも購入できるが、それが極めて高い関税であり、結果としては輸入量は抑制されている。しかし、2018年に発効したTPPでは、農産物の80%の品目の関税を段階的に「撤廃」することになっている。関税即時撤廃を免れたものでも、⽜・豚⾁は⼤幅な関税引き下げ、コメ、⻨、乳製品、砂糖については無関税の輸⼊枠が新設される等、動きが出ていることも知っておこう。
11 ウルグアイ・ラウンドでは、知的所有権に関する貿易ルールづくりやサービス貿易自由化が合意された。
- 〇ウルグアイ・ラウンドでは農業、知的財産分野と工業分野以外にも自由化交渉が進んだが、「サービス貿易」についても進展があった。国境を超える取引、海外における消費、招聘外国人アーティストによる娯楽サービス等もこれに該当するが、サービス貿易は世界貿易の20%に達しているという。「外国人による株式の取得制限」などは自由化に反するものとして禁止されている。
12 ウルグアイ・ラウンドでの合意に基づき、東南アジア諸国連合(ASEAN)のような地域的な経済協力機構は発展的に解消されることになった。
- ✕このようなとぼけた問題も出てくる。そんな事実はない。
13 GATT(関税および貿易に関する一般協定)を発展的に継承する形で、1995年WTO(世界貿易機関)を設立することになった。
- 〇GATTは「協定」でしかないが、WTOは常設の「国際機関」。
14 WTOは、加盟国間の紛争処理に関する常設機関を設け、GATTと比較してその権限を飛躍的に高めた。
15 WTOの紛争処理手続においては、加盟国が一国でも反対すれば、協定違反の有無に関する裁定は採択されない。
- ✕違反国に対する措置決定に「ネガティブ・コンセンサス方式」を取り入れている。「全加盟国が反対しない限り採択される議決方式」のこと。言い換えれば、提訴国が一国でも賛成すれば自動的に採択されるということ。政治面で常任理事国が拒否権を発動すると、ことが進まないというものとは対照的。紛争解決手続が大幅に迅速化された。
16 WTOには、同種の輸入品と国内産品は区別せず、国内産品に関する税金や法令の待遇を輸入品にも与えなければならないという内国民待遇の原則がある。
17 WTOでは、セーフガード(緊急輸入制限)の発動が禁止されている。
- ✕自由貿易の安全弁として、「緊急措置」として認められている。
18 日本は、外国からの輸入農産物について、WTO(世界貿易機関)の認めているセーフガード(緊急輸入制限措置)を発動したことはない。
- ✕貿易のところでも触れたが、日本は2000年ネギなどの農産物3品目について中国に対してセーフガードを発動した
19 WTOでは、ある商品の輸出向け販売が自国向け販売より低い価格で行われた場合、自国(輸出国)政府には、アンチダンピング措置の発動が認められている。
20 WTO体制下では、多角的貿易交渉だけでなく、二国間の協議による貿易摩擦問題の解消や輸出自主規制も奨励されるようになった。
- ✕あくまで多角的貿易交渉(ラウンド)である。輸出の自主規制も自由貿易の理念には反する。
21 国際的な経済活動を活発に行っている国の中で、いまだWTOに加盟していない国として、中国がある。
- ✕中国は2001年、ロシアは2012年に加盟。なお「台湾」も独立関税地域として2002年WTOに加盟している。