【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【速修】⑪国際政治・情勢(5)アメリカ同時多発テロ以降(2001年からの20年間)

72 2001年に生じたアメリカ同時多発テロ、アメリカはこの事件の実行犯をイスラーム過激派のアルカイダと断定した。
  • ○9月11日民間機が国際テロ組織にハイジャックされ世界貿易センタービルに突っ込んだ史上最悪のテロ事件。今から20年前のことだから君たちはまだ生まれていないんだけど・・・信じられない光景だった。この事件を受けてアメリカは大きく変貌、「世界の警察官」として「単独行動主義」に転じることになる。なお、アルカイダを率いたウサマ・ビンラディン容疑者が潜伏していたパキスタンで米軍に殺害されるのは2011年と10年後になるが、現在も国際テロ組織は根絶されていない。ちなみに、「日本は、国際テロを未然に防止するために、指紋採取と写真撮影を来日外国人に義務づけ得るよう国内法を改正した。」は○。「日本は、国際テロの防止と根絶のために、戦闘が行われている地域への自衛隊の海外派遣を可能とする周辺事態法を制定した。」は✕。周辺事態法ではなく、「テロ対策特措法」(アメリカ主体で実施される対テロ軍事行動に際し、物品・役務の提供などの協力支援活動、戦闘参加者の捜索救助活動、被災民への救援活動など必要な措置をとることを認めたもの)だが、あくまで「非戦闘地域要件」が設けられた。「非戦闘地域要件」は、原則「国際平和支援法」「重要影響事態安全確保法」でも堅持。

 

73 アメリカはテロとの戦いを唱えて、アルカイダを支援するアフガニスタンを攻撃しタリバン政権を崩壊させた。 
  • ○大統領は共和党のブッシュ子。これを受けて、日本はテロ対策特別措置法を制定、戦時の「後方支援」を認め、自衛隊をインド洋に派遣した。給油という支援だった。なお、ブッシュ子は、2002年一般教書演説で、イラク、イラン、北朝鮮の3国を、最も脅威となる国家として「悪の枢軸」と呼び非難した。

 

74 2003年イラクによる大量破壊兵器の保有を理由に、アメリカとイギリスが軍事介入するイラク戦争が生じた。

 

75 2006年北朝鮮が核実験を行った。
  • ○2000年に初めての南北首脳会談が開催され和平への道が切り開かれるかと期待されたが、北朝鮮は2003年に核拡散防止条約を脱退し、核実験を断行した。朝鮮半島の非核化については2003年以来日本・韓国・中国・アメリカ・ロシア・北朝鮮と「6カ国協議」を断続的に実施しているが進展がない。それどころか現在も飛翔体実験を継続し続けている。

 

76 2008年 北京オリンピックが開催され、中国の経済復興が加速化した。

 

77 2009年オバマ大統領が安保理で「核なき世界」演説を行った。
  • ○ただし、国内では「包括的核実験禁止条約」の批准を上院に要求するも叶わず・・・また現在発効した「核兵器禁止条約」についても批准の動きなし・・・

 

78 2009年フランスはNATOの軍事機構へ復帰した。
  • ○既に触れたことであるが、もう一度確認。フランスは1966年NATOの軍事機構から脱退(政治機構には残る)、これも「多極化」のひとつとされていたが、2009年に復帰。現在、フランスのマクロン大統領が、プーチン大統領と積極的に会談をしているのも、NATOの一員としての意識もありか。なお、イギリスもNATOの一員ではあるが、プーチン大統領アングロサクソン系を目の敵としてあげているため、米英は敵対姿勢が強いとのこと。

 

79 2010年 米ロは、長射程用の核弾頭と大陸間弾道ミサイルなどの削減を定めた新STARTに調印した。
  • ○1990年代冷戦終結後の戦略契機「削減」条約STARTⅠの後継として(STARTⅡは調印はしたものの発効していなかった)、ロシアはプーチン大統領との間で調印。昨年、2026年までの延長が決まった。INF「全廃」条約はトランプ政権が破棄したため、現在のところ、米ロ間の唯一の軍縮条約である。

 

80 2010年 反独裁を掲げる運動が中東から北アフリカで発生し、アラブの春と呼ばれた。

 

81 アサド政権と反体制派との内戦が激化したシリアや、米軍が撤退したイラクでは、イスラーム系過激派勢力が「イスラーム国」(IS)と称する宗教「国家」の樹立を宣言した。
  • ○ここには二つの重要な論点が含まれている。一つは、シリア内戦。もう一つはIS。シリア内戦については、アラブの春が飛び火してきたものの、アサド政権がロシアとイランの支援を受けて独裁体制を維持、反体制派や国境地帯の山岳民族クルド人を弾圧、多くの難民が出ている。アメリカ、オバマ大統領は、2013年シリア内戦への軍事不介入声明を発表し、併せて「世界の警察官」ではいられないと宣言し、中国との対抗に外交資源や軍事力を集中投下する戦略へと転換した。そのためアサド政権が現在も命脈を保っている。一方、ISはイラクとシリアにまたがる地域で活動するイスラーム過激派で、シリア内線に乗じて勢力を拡大させた。2014年アメリカと有志連合がIS支配地域を空爆し、現在ISはほぼ壊滅状態にはなっている。ISは、自称は「イスラム国」と国家であると主張してはいるが、国際的な承認は得られておらず、諸外国からはテロ組織とされるので、この空爆に関する非難はなかったようだ。後に触れるように、フランスも空爆を加えている。

 

82 冷戦時代のイデオロギー対立に代わって、文明間での衝突がより深刻な問題になるという考え方が出てきた。
  • ○俯瞰的な表現の文章であるが○としたい。イスラームと欧米との衝突などは文明の衝突とも言われる。「世界各国の経済・社会においてインターネットが果たす役割が重要になるにつれ、サイバー・テロの脅威が大きくなっている。」これなども○。

 

83 2014年 親ロシア政権が崩壊したウクライナ政変を背景に、ロシアがウクライナ南部のクリミア半島を武力侵攻し編入を強行した。これに対して日本やアメリカなどは経済政策を実施した。
  • ○ロシアをG8から除外する制裁も。しかし、ロシアは現在もクリミア半島を実効支配。それどころか現在ウクライナ自体に侵攻・・・。

 

84 2015年に、パリにおいて同時多発テロが発生し、フランス軍は、過激派組織「イスラム国」(IS)が首都と称する地域に対し、空爆を行った。
  • ○2001年のアメリカの同時多発テロは知っていることと思うが、このパリの同時多発テロはほとんどの受験生は知らないかも。現社2017年の出題であるが、教科書はよくよく見ないと分からないところに掲載されている。裏表紙に写真付きで「2015年、イスラームに関する風刺画を掲載したフランスの新聞社がテロリストによって襲撃された・・・」とコメントされている。この事件の後に、130人が犠牲となる同時多発テロが生じた訳だが、国連安全保障理事会が非難決議を採択、一方で、フランス軍はロシア軍やアメリカ軍と連携し、シリアのISの司令室、訓練所、弾薬庫などを空爆するという報復に出た。ISは、自称は「イスラム国」と国家であると主張してはいるが、国際的な承認は得られておらず、諸外国からはテロ組織とされるので、この空爆に関する非難はなかったようだ。

 

85 アメリカ・オバマ政権はイラクの核開発抑制するため六カ国協議を進め、2015年にイラクは濃縮ウランの製造制限に合意した。
  • イラクではなくイランである。英・仏・独・中・ロで進めた。しかし、トランプ政権は2018年に成果が十分でないとして離脱、経済制裁を再開。一方、イランでは保守強硬派の大統領が誕生し、これに反発し、濃縮ウランの合意基準を超えた濃縮ウランの製造を再開。バイデンがこれに抗議したが平行線のまま・・・

 

86 アメリカ・オバマ政権がキューバとの国交を回復した。
  • オバマ政権のもとで2015年国交回復

 

87 トランプ政権下、アメリカと中国が貿易戦争の様相を呈した。
  • アメリカの対中国貿易の大幅赤字と、中国の為替レート維持や「一帯一路」の拡大路線に対して、トランプ大統領が不満。

 

88 アメリカ軍がアフガニスタンから完全撤退し、「アメリカ史上、最も長い戦争」と言われる軍事作戦が終了した。一方で、アフガニスタンは武装勢力タリバンが再び権力を掌握し混乱は続いたままとなった。
  • アフガニスタン撤退はオバマ・トランプ政権からの既定方針で、バイデン政権はその路線に乗っただけ。バイデン大統領は撤退完了後の演説で「ほかの国の再建のためにアメリカが大規模な軍事作戦を行う時代の終わりでもある」と述べたが、アフガニスタンの平静より、対中国への備えが大事ということかも。今後、世界はどのような地政学を刻むことになるのか、その中で日本はどのような役割を果たすことができるのか・・・君たちの世代に命運が託されている・・・。

 

89 2022年ロシアがウクライナに侵略、日本を含む西側諸国がかつてない経済制裁を行っている。
  • ○21世紀になってこんな事態が生じるとは・・・誰もがそう思わざるを得ないロシアの暴挙が発生してしまった。今の私には支援金を送付することぐらいしかできないが、君たちが「平和の砦」を作ることになるよう、このプリントを通じてメッセージを伝えることも、私ができることのひとつかなと思っている。そのために、老体に鞭打っているので、ぜひ活用してくれ。

 

90 中国と台湾との緊張関係も高まっているが、アメリカと台湾は同盟国であり、有事の場合はアメリカと中国との衝突の可能性もあるとされている。
  • ✕もちろん、こんなこと試験問題では出題されないが、アメリカと台湾とは国交がなく「同盟」関係自体は結んでいない。その意味では✕。ただし、台湾有事の場合、日本は平時とは言えないし、バイデン大統領も、牽制の意味もあり、「米国には台湾防衛の義務がある」と繰り返し発言しているとのこと。しかし、武力による解決ではなく、外交的努力による解決、その前提としての、相互に交流しあい、尊敬しあい、東アジアに平和の砦を築いていく市民レヴェルでの営みが必要がある。それを諦めないこと、そして自分のできることを少しずつ積み重ねていくこと、そこに、人間としての尊厳 dignity がある。・・・以上、時系列で、重要な国際情勢について触れてきたが、この部分は、「時事問題」で出題されたものもあれば、今となればほとんど問題としては取り上げられないような問題もあったりする。とりあえず、過去問として列挙したが、試験直近に、「今年の国際はここが狙われる」と予想をするので参考にしてほしい。ただ受験生諸君は今は山を張らずに、ここで取り上げたことは一応地道に頭に入れておいてほしい。