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【今日の時事問題】社会保障費について その3

2025年問題

「2025年問題」とは

受験生諸君は「2025年問題」という言葉を聞いたことがあるであろうか?

2025年、国民の約3割が高齢者となるとともに、戦後の1947年から49年までに生まれた第一次ベビーブームの、いわゆる「団塊の世代」800万人がすべて75歳以上の「後期高齢者」になり、人口の高齢化から労働力不足や医療体制の崩壊などさまざまな問題が起こるとされる問題である。

無論、以降もまだまだ高齢化は続く。65歳以上の高齢者人口は2042年まで増え続け、75歳以上の後期高齢者人口にいたっては2054年頃まで増加傾向が継続されるとのこと。

従ってピークはまだ先で、後の「2040年問題」がより深刻な事態であろうが、しかし、ある意味ではその試金石となる、乗り越えなくてはならないハードルである。

後期高齢者」増加の問題点

75歳以上の「後期高齢者」が増えるとどんなことが問題になるかと言うと、一つには医療費・介護費が飛躍的に増えるということである。

後期高齢者の一人当たりの年間医療費は、75歳未満の高齢者の年間医療費は平均22万、ところが75歳以上になると93万円とおよそ4倍にも跳ね上がるそうだ。無論介護費も跳ね上がる。そうなると、社会保障費はさらに肥大化していく。

 

そこで、既に幾つかの見直しがなされている。医療分野では、75歳以上の後期高齢者の病院などでの窓口負担を今の原則1割から、一定の所得以上の人は「2割」に引き上げることになっている。

年金については、既に支給年齢が65歳に向けて引き下げられたが、一方で支え手を増やすため、パートなどの短時間労働者が厚生年金に加入しやすくなるよう厚生年金の加入条件緩和も図られつつある。また、「70歳まで働きながら厚生年金を支える」ことも可能にした。高年齢者雇用安定法がそれを後押しする。

 

しかし、「現役世代」や「将来世代」の不安はそう簡単には払拭できない。「給付は高齢者中心、負担は現役世代中心という構造」に対する見直しが求められつつある。そこで、現在模索されているのが、「全世代型」社会保障

以下、簡単な創作問題を作成してみた。

創作問題

■以下のうち、「全世代型」社会保障の考え方とは言えないものがあれば、その番号を記しなさい。

①「年齢別」から「負担能力別」に、負担の在り方を切り替えていくことが大切だ。

②それぞれの人生のステージに応じて、必要な保障がバランスよく提供されることが大切だ。

③未来への投資として、子育て・若者世代への支援を急速かつ強力に整備することが大切だ。

④女性や高齢者の就労を促進し、介護離職を減らすなど、社会保障の支え手を増やすことが大切だ。

⑤負担を将来世代へ先送りせず、今の世代で制度を支えていくことを基本理念に置くことが大切だ。

社会保障制度を支える人材やサービス提供体制を維持するために、海外からの福祉にかかわる熟練労働者を積極的に受け入れることが大切だ。

 

 

答えとしては簡単で、⑥は「全世代型」社会保障とは違う視点。

ただ、海外からの労働力確保も将来の日本社会にとっては極めて重要な側面。現在も労働者50人に1人は外国人であるが、50年後の2070年には10人に1人は外国人と予想されている。
となると、外国人を含めた社会保障の制度設計も必要。「全世代型」という視点からの検討だけでは済まないということも知っておきたい。

なお、⑤を選んだ受験生もいたかもしれない。しかし、これは「全世代型」の基本理念だそうだ。
先送りしない、「持続可能」な制度を、①の「年齢別」から「負担能力別」に切り替える、「Age free」とすることで担保していこうというのが、考え方の骨格のようだ。

ただし、まだまだ検討の余地はあろうし、抜本的な改革とは言い難い部分もある。私の個人的な意見としては、フランスのように事業主の負担増を図ることで財源を確保することも必要だと思うが、財界からの圧力もあり、そのような意見を聞くこともない。

 

若者よ、この問題は、実は君たちの問題なんだ。「私たちのことを私たち抜きで決めないで(Nothing About us without us)」、ぜひ若者の目線で、議論に参画してほしい。