①「実質的平等」を図るための具体例を判断する問題が繰り返し出題されている。
②最高裁の人権に関わる「違憲判決」例が頻出
③外国人の人権保障も繰り返し出題
※今後、民法上の契約等の問題が確実に毎年出題されるようになるはず
基本的人権
④参政権 ⑤請求権 ⑥新しい人権
三つの自由権
①精神の自由 ②人身の自由 ③の自由
精神的自由
内心の自由
①の自由 ②信教の自由 ③学問の自由
※それぞれに関する重要訴訟・事件
①思想・良心の自由 → 三菱樹脂訴訟
②信教の自由 → 訴訟は(合憲)
愛媛玉串訴訟と北海道砂川政教分離訴訟(空知太神社訴訟)は(違憲)
③学問の自由 → 東大事件
表現の自由
①集会・結社 ②言論 ③出版
※それぞれに関する重要訴訟・事件
①集会・結社 → 東京都公安条例事件
②言論 → チャタレイ裁判
③出版 → 石に泳ぐ魚事件・・・出版差止め
表現の自由を確保するための重要事項
①の禁止
・・・国家権力が発表前に内容精査、不適当な場合「発表禁止」・・・これは禁止
②の秘密の不可侵・・・プライバシーともかかわる
③の自由・・・憲法に明示はないが国民の「知る権利」に奉仕するもの
※それぞれに関する重要訴訟・事件・法
① → 家永教科書裁判 教科書検定は検閲ではない
② → 通信傍受法・・・訴訟には至っていないが批判はある
③ → 外務省公電漏えい事件 報道の自由を認める
憲法の私人間の問題への適用
※憲法は原則、国家と私人間のものだが
①直接適用されるケース
奴隷的拘束の禁止、酷使の禁止など
②間接適用されたケース
日産自動車定年差別訴訟・・・男女差別
③適用されなかったケース
三菱樹脂訴訟・・・思想・良心の自由
人身の自由
①奴隷的拘束及び苦役からの自由
②法定手続きの保障
③裁判における権利保障
法定手続きの保障
法的手続きの保障 主な「権利」
①黙秘権
②依頼権
③裁判を受ける権利
法的手続き・裁判における権利保障 主な「主義」
①令状主義 ただしの場合は不要
②罪刑主義
③疑わしきはの利益に
裁判における権利保障
裁判における「処罰」に関する原則 三つの禁止項目
①処罰の禁止・・・ある時適法であった行為を事後に制定された法律で処罰してはならない
②一事不再理・・・確定判決において無罪とされた行為は再度の審理はできない
③二重処罰の禁止・・・同一の犯罪について重ねて刑事裁判を問われない
裁判における 権利保障のための制度 その三つ
①裁判「」制
※政治犯罪の対審については必ず公開
政治犯罪以外の場合は非公開になることも判決は必ず法廷で言い渡さなければならない
②三審制
③再審制
冤罪→再審
1975 白鳥事件は再審請求を棄却しつつも、「疑わしきは被告人の利益に」という原則が「再審」にも適用されるとの判断を下す
→ 以降、死刑判決後に再審 → 無罪になったケースも
①免田事件 ②財田川事件 ③島田事件 など
経済的自由
経済の自由 その三つ
①財産権 ②居住・移転及びの自由 ③営業の自由
※それぞれに関する重要訴訟
①財産権 → 森林法訴訟
②職業選択の自由 → 薬事法訴訟
③の自由 → 現在 コロナ禍における時短命令に対して違憲ではないかと訴訟が開始
知的財産権
①権
②特許権
商品やサービスなどを区別するためのマークを保護する商標権など
※知的財産高等裁判所が東京高等裁判所の支部として設置されている
経済の自由と公共の福祉
①「二重の基準」論に基づき、経済的自由は精神・人身の自由よりの制限を受ける
②「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共の福祉のために用ひることができる」
→ 場合によってはが必要
③制限はによらなければならない
平等権
平等権 重要訴訟
③日産自動車定年差別訴訟 → 私人間に間接適用
平等権 国際的な条約が後押しした法律
①男女差別の解消
1985 「女子差別撤廃条約」の批准に先立って▼
→ 1985 法制定
後に1999 法
②アイヌ差別の解消
1995 「人種差別撤廃条約」批准
この後 → アイヌ文化振興法1997制定
③障害者差別の解消
2014 「障害者権利条約」の批准に先立って▼
→ 2013 法制定
平等・共生社会実現のために まだ残る課題 あるいは 新たな課題
①2001 DV防止法
②2016 部落差別解消推進法
スピーチ対策法
③2019 子どもの貧困対策法
←1994に「子どもの権利条約」は批准しているが
多様性(ダイバシティ)が尊重される社会
①男女共同参画実現のためのクオータ制
②障害の有無にかかわらず、ともに楽しめるスポーツ → パラスポーツ
③LGBTQ → パートナーシップ制
2つの平等
①形式的平等 = の平等
②実質的平等 = の平等
→ポジティブ・アクション(積極的改善措置)・・・クオータ制など
※ロールズの正義論
・基本的な自由は各人に平等に配分されなければならない
・機会均等を保障すること
不平等な措置は最も貧しい人に最大の便益をもたらすときだけ正当化される
社会権
社会権 その三つ
①生存権
②権利
③労働基本権 勤労権+労働三権
※労働三権
団結権・団体交渉権・団体行動権
生存権・社会権にかかわる重要事項
①朝日訴訟 堀木訴訟
ともに「規定説」により、生存権による施策は国の裁量に委られているとされた
②しかし、現在は、生存権を保障する法律があれば、国はその法律の範囲内において法的義務が生じるという考え方(抽象的権利説)が有力に
③日本は社会権を含む国際人権規約のA規約を一部留保しつつも批准したが、アメリカは批准していない
参政権
選挙の基本原則
選挙を通じて間接的に政治参加 3+1
①普通選挙 性別、財産、納税額等で制限せず、国民に等しく選挙権を認める
②平等選挙 一人一票の原則
③選挙 議員を直接選出・・・首相選出は間接選挙
④選挙 誰が誰に投票したかわからない仕組みの選挙(無記名)
憲法で認められた三つの「直接」民主制的な政治参加
②特別法の
※戦後の一時期のみ実施
現在は国による地方自治への不当介入のおそれがあるとし慎重
参政権等に関する重要訴訟
①在外日本人選挙権訴訟
→ 比例代表だけでなくにも参政権あり
※ただし、地方選挙と最高裁の国民審査は認められていない
②外国人地方参政権訴訟
→ 定住外国人に参政権が付与されていないことは憲法違反ではないが、
立法によってを付与することは可能との判断
③衆議院定数訴訟
→ 違憲だが、選挙は有効
・・・判決
→ 取り消すと著しく公益を害する場合は請求を棄却できるというもの
請求権・請願権
請求権 その三つ+1
※参政権のない外国人にも保障
①損害賠償請求権・・・行政、公務員の「」によって損害を受けた場合
(国家賠償請求権)
②損失補償請求権・・・公共の福祉のために私有財産が収用された場合
③補償請求権・・・身体拘束期間に対する補償
+1 「権利」
請願権 その三つ
※参政権のない外国人にも保障
①法律・条例の制定改廃 =
②公務員の罷免 =
③救済請求 → 災害や事故などによる損害の救済
※国政だけでなく、地方自治に対しても、様々な要望や意見を出すことができる
※参政権を補完する権利
新しい人権
判例で認められた新しい人権
判例である程度保障が認められた(?)ものは
①プライバシーの権利 ←事件・石に泳ぐ魚事件
②(景観権) ← 鞆の浦景観権訴訟
③(肖像権) ← 京都府学連事件
プライバシーの権利にかかわる重要事項
①13条の「」を根拠にした「私生活をみだりに公開されない権利」から
→「自己に関する情報をコントロールする権利」に
自由権的+請求権的
②個人情報保護関連法
行政機関・に対して
・個人情報利用目的の制限
・個人情報の適切な取得・管理
・各個人 個人情報の開示・・利用停止などをもとめることができる
③インターネット上での「忘れられる権利」・・・今後の課題
最高裁ではまだ認められていないが・・・重要な三つの権利
①環境権 ②権利 ③自己決定権
環境権
環境権の根拠
環境権自体はまだ権利として認められていないが・・・以下のような考え方がある
①「国家に対して個人が良い環境を享受できることを要求する権利であり、
健康で文化的な生活を営む権利に含まれるものである」
→ 環境権の根拠を憲法25条の権に求める立場
②「国家による積極的な環境保全を要求するだけでなく、 権に基づいて、国家による侵害を排除する自由権としての性格をも有する」
→ 環境権の根拠を憲法13条と25条に求める立場
③「人の生命、身体、精神及び生活に関する部分は権で保護されており、
これに基づいて「侵害行為」の差止めを請求できる」
→ 環境権の内容の一部を主として民法を根拠として認める立場
環境権にかかわる重要事項
①1971 環境庁
②1993環境基本法
③1997
→ 環境への影響を予備調査する制度
知る権利
知る権利にかかわる重要事項
①「」を根拠に主張されることが多いが、最高裁では認められていない
国家によって妨害されることなく情報を入手できる権利(自由権的)
国家に対し情報の提供を要求する権利(請求権的)
②の報道・取材の自由は最高裁で認められている
③情報公開制度
地方から国にも波及 中央省庁の行政文書も公開の対象
外国人も請求できる
※個人情報に関する情報公開は対象外
※で外交・安全保障に関する情報開示も制限
ただし、情報公開制度の根拠はであって、知る権利ではないとされる
自己決定権
①インフォームド・コンセント / セカンド・オピニオン
→自分の治療方法・方針は自分が決める
②医療措置に関する生前の意思表示=リヴィング・ウィル
・・・しかし安楽死は日本では認められていない
臓器移植に関する意思表示
→ 臓器移植の拒否の意思表示もできるが・・・
一方で、本人が臓器移植の意思を示していても「の同意」がなければ移植できない
③の自由
→ 子どもを生む、産まない 人工授精、同性婚における養子縁組
これらが自己決定できる社会になることが必要
人権の制限
①「国家的」公共の福祉による制約(第13条)は「必要」に
・条例によるデモの事前許可制
・感染症患者の隔離
②「国家的」公共の福祉による制約 (第22条・29条)は「必要な限度の規制」(裁量的制約)
社会権を実現するために経済的自由を制約
・医師など国家資格がないと就業ができない職業があるという規制
・感染症拡大を防ぐため営業活動の自由の制限
③による制限
未成年者の選挙権の制限、飲酒の禁止
国民の三大義務
①勤労の義務
②義務・・・国民にある
民法の諸原則
近代私法の三大原則 3+1
①権利能力平等の原則
全ての人が年齢・性別等によって差別されることなく等しく権利・義務の主体となる能力を有する
※未成年者・外国人にも適用
②の原則
私人間の権利義務関係は、個人の自主的決定に任され、国家がこれに干渉してはならない
※→の原則・・・口頭でOK
③の原則
所有者が私的財産を自由に使用したり処分したりすることができる
※ただし、現代では所有権も「公共の福祉」に従わなくてはならない
+1 責任の原則
他人の権利を違法に侵害する不法行為については、過失があれば、損害を賠償する責任を負う
民法改正・・・18歳「成人」に伴う変化 2022年4月から
※既に選挙権(憲法改正も含めて)は18歳に引き下げられていたが
①裁判員裁判に選ばれる年齢も18歳に引き下げられる。
また、性同一性障害の人の性別変更の申し立ても18歳からできるようになる。
一方でこれまで女性は16歳から結婚できたが、結婚できる年齢は男性と同じ18歳となった。
②飲酒や喫煙、公営ギャンブルは従来と同様で20歳未満は禁止で、国民年金に加入する義務が生じるのも20歳以上のまま。
③少年法も改正され18歳と19歳はとして引き続き少年法の適応を受けるが、起訴されると実名や顔写真などを報道することが可能となるなど、17歳以下とは一部異なる取り扱いも設けられている。
人権の国際化
人権の国際化その1
1990年代までに日本が批准したもの
※1951難民条約 → 1981批准をスタートとして
①1965差別撤廃条約 → 1995批准
②1979 差別撤廃条約 → 1985批准
③1989子どもの権利条約 → 1994批准
人権の国際化その2
2000年代に日本が批准したもの
①1980条約 → 2014批准
← 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約
②2006障害者権利条約 → 2014批准
③次はどんな条約かな? 想像してみよう
日本における外国人の人権 3+1
①一定期間以上日本に在留する外国人住民は登録
→ 徴税対象になる一方で、健康保険や雇用保険が適用される
生活保護については行政の裁量
→ 現在、定住外国人については生活保護法を準用
※労働法制(労働基準法など)も適用
②地方公務員については一般職でも国籍条項撤廃の動き
③参政権は今の所なし
国民審査・国民投票・直接請求権もない
ただし「請願権」は行使できる
④国籍法(血統主義)に関して
いわゆるダブルの子どもについて、日本人と外国人との間に生まれた子どもについて、親が結婚しているかどうかや認知されているかどうかは関係なく日本国籍取得の意思があれば取得できることに
かつては父が日本人でなければ日本国籍が取得できなかったが、現在は母でもOKに