18 労働組合法では、同一の企業で働く労働者だけで労働組合を結成することは、認められていない。
- ✕日本では「産業別」ではなく、「企業毎に組織される」企業別組合。
19 日本では、同一の職種に属する熟練労働者で組織される労働組合が、大多数を占めている。
20 日本では、同じ産業で働く労働者は、企業や職種の違いを越えて、同一の組合に直接所属することによって企業に対する発言力を強め、雇用の安定を獲得した。
- ✕これまでと同様に、日本ではあくまで「産業別」ではなく、「企業別」。そのため「労使対立」ではなく「労使協調」的。
21 労働組合が主として企業別に組織されているため、企業利益の維持・拡大を前提とした労使協調が労働運動の基調となりやすい。
- 〇このあたりも論理的読解力が必要だが、前段と後段の論理的整合性を感じ取ることができるであろうか?
でも、「労使協調」という特徴自体がインプットされていれば判断は割りと楽だけどね。職場内の労使交渉・協議を通じて、労働条件の改善、企業の行動チェック、組合員へのサービス活動を行ってる。
22 企業別組合は、交渉能力が弱いので、全国的な中央組織であるナショナル・センターに加入しているところが少なくない。
- 〇ナショナルセンターは、企業、産業の枠を超え、労働運動の一体的な推進をはかる機能・役割を果たし、個別の産業や地域では解決が難しい課題に取り組もうとする組織で、多くの企業別・産業別組織が加盟している。
23 総評(日本労働組合総評会議)と全労連(全国労働組合総連合)が統一され、ナショナル・センターである連合(日本労働組合連合会)が結成された。
24 連合と全労協(全国労働組合連絡協議会)が統一され、同盟(全日本労働総同盟)が結成された。
25 日本では、毎年春になると、各ナショナル・センター傘下の労働組合を中心に、春闘と呼ばれる賃金引上げなどを要求する労働運動が行われている。
26 労働組合の組織率は、1970年代以降は上昇傾向にあり、現在では約40パーセントに達している。
- ✕下降傾向で、20%を下回る状況が続いている。
労働組合の組織率低下の理由としては、第1が、産業構造の変化である。伝統的に、組織率は第二次産業、特に製造業で高く、第一次産業や第三次産業では低い傾向があった。時代とともに産業構造が変化し、第二次産業従事者の比率が下がり、第三次産業従事者の比率が上がるにつれて、労働者全体に占める組合員の比率は低下した。
第2が、職種構造の変化である。労働組合員の構成はブルーカラー労働者の比率が高かった。時代とともに、全労働者に占めるブルーカラー労働者の比率が下がることで全体の組織率が下がったと言える。さらに現在、非正規労働者の増加も大きな理由である。一方で、非正規労働者が労働組合を形成、あるいは加入できない訳ではない。しかし、労働組合の組織率低下に歯止めはかかっていない。
27 使用者は、労働者を採用する場合、採用条件として労働者が労働組合に加入しないことを約束させることができる。
- ✕これが黄犬契約と呼ばれるもので、「不当労働行為」として禁止。
28 使用者は、企業に経済的な損害を与えるストライキを指導した者に対して懲戒処分を行うことができる。
- ✕既に確認した。これを間違えてはならない。
29 使用者は、人事裁量権を有するが、組合活動への従事を理由に、人事査定や配置転換などの面で不利益な取扱いをしてはならない。
- 〇これも常識的に考えてもNG。
30 使用者が、理由を明示せずに団体交渉を拒否するのは不当労働行為である。
- 〇原則拒否できない。ただし、暴力行為があったとか、弁護士の参加を拒否したといった、正当な理由があった場合のみ団体交渉を拒否できる。
31 使用者は、従業員が地域労組など企業の枠を超えた労働組合に加盟している場合には、その労働組合からの団体交渉の申入れに応じる必要はない。
- ✕個人の資格で参加する「地域労組」も、労働組合である。団体交渉の申入れに応じる必要がある。
32 使用者の不当労働行為に対する労働者の救済を目的として、労働審判制度が設けられている。
33 労働組合法では、労働組合が、使用者に不当労働行為を行うことを禁止している。
- ✕不当労働行為は「使用者」が労働組合にするもの、それを禁止している。読解力が必要。
34 労働組合が違法な争議行為を行った場合、使用者は労働委員会に対して不当労働行為の救済を申し立てることができる。
- ✕争議行為は不当労働行為ではない。民事免責・刑事免責があるが 不当な、つまり暴力を伴ったものなどは違法
35労働組合法では、労働組合と使用者との間で、労働協約を締結することを保障している。
36 使用者は、労働者にとって労働協約より条件の悪い就業規則を制定したり、個別の労働契約を結ぶことは許されない。
38 解雇された者であっても労働組合を結成することができ、法律上の保護を受けることができる。
39 労働者は、失業した場合、一定の要件の下で保険給付として金銭を受け取ることができる。
- 〇雇用保険=失業保険を受け取ることができる
40 労使間の紛争が深刻化した場合、労働基準監督署は、労働関係調整法に基づき紛争の調整を行うことができる。
41 労働委員会は、地方裁判所に設置され、裁判によらずに労使紛争の解決を行う労働審判手続に携わる。
42 労使間の紛争を解決すること道筋を示したのが労働関係調整法である。
- 〇以下に見るように、斡旋・調停・仲裁にかかわる法律である。
43 斡旋では、斡旋員による解決案の提示が法的に義務付けられている。
- ✕最初の斡旋段階は斡旋員が交渉をとりもつだけ。
44 調停案を受諾するかどうかは、関係当事者の意思に委ねられている。
- 〇調停委員会が調停案を出すが、受諾するかどうかは任意。
45 仲裁は、開係当事者の一方から仲裁の申請がなされたときに行われる。
- ✕「双方申請」が必要。
46 仲裁裁定は、裁判所によって下される。
- ✕「仲裁委員会」。これが出した仲裁裁定については、労使双方を「拘束する」。裁判所の確定判決と同一の効力を有する。
47 個々の労使間の紛争については、裁判ではなく、労働審判制度と呼ばれる労働審判委員会による労働審判制度が導入され、迅速な解決を図ることができるようになった。
- 〇不当解雇や未払い賃金などのトラブルが発生した場合、地方裁判所に労働者個人から事業主に対する民事的な申し立てをすることができる。その場合、「労働審判委員会」が組織され、調停が成立しなければ「審判」を行うことになる。
委員会は「裁判官」と、労働関係に通じた労働審判員が2名参加する。国民の司法参加の一形態である。ハラスメントなどの慰謝料請求等には対応していないが、訴訟となると時間がかかることから、解決までにかかる時間をかなり短縮することができる制度として導入された。裁判と違って非公開で原則3回までしか開催されない。ただし、出された審判について異議が出された場合、「訴訟手続」(民事裁判)に移行することになり、労働審判は失効する。
なお、この労働審判とは別に、「ADR」が利用される場合がある。ADRとは、裁判のところで触れた、「裁判外紛争解決手続」のことで、手続が裁判に比べ迅速かつ簡単、費用が無料で問題を早期に解決する事ができ、かつ内容は関係者以外に非公開でプライバシーが保護されるというメリットがある。セクハラや妊娠・出産による雇い止め、同一労働同一賃金に関する問題などが該当し、労働局が行う行政ADRが主になる。従って、労働者個人と会社とのトラブルが当事者間で解決しない場合、解決方法としては、内容によってADRか労働審判制度、→裁判といった流れとなる。ただくどいようだが、労働組合に入っている者については労働組合を通じて労働委員会による調整というもう一つ別の流れも残っている。しかし労働組合離れに対応して、このような新たな制度が導入されたということだ。今後よく問われるかもしれないので、制度の意味合いを理解しておこう。