【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【今日の時事問題】日中国交正常化50年

9月29日で日本と中国の国交正常化から50年。

www3.nhk.or.jp来年度の入試では、沖縄返還50年とともに、出題の可能性が高い。

fukuchanstudy.hatenablog.com

で、そもそもなぜ「正常化」なのか?・・・

日本が中国に侵略していたことを知らない高校生も、もしかしたらいるかも。

また、日本が戦後ODAとして多額の経済援助をしてきたのも、その侵略の賠償としてのもの・・・

戦後80年近く経ってこうした背景が忘れ去れ、現状での政治的対立から中国に対する国民感情が悪化する中、若い世代が反中国感情を刷り込まれちゃいけないよ。

確かに現在の覇権主義には懸念を抱かざるを得ないが、今後の日中両国の健全な交流のためにも、戦後の日中関係の歴史については、最低限の知識だけは持っておきたい。

日中関係年表

中国に関して、受験で問われるのは以下の事項だ。

○1972年 日中国交正常化

○1978年 日中平和友好条約 中国、改革開放路線を打ち出す
○1979年 日本、中国へのODA開始
※1989年 天安門事件 中国、民主化運動弾圧  → 欧米経済制裁
     日本は欧米と一線を画して経済協力は継続
○2001年 中国WTO加盟  世界の工場 → 後には世界の市場にも
○2008年 北京オリンピック・・・欧米がリーマンショックであえぐ中
○2010年 GDP 中国が日本を逆転
     尖閣諸島問題発生
※2012年 日本尖閣諸島を国有化 → 以降中国との政治的対立激化
○2013年 「一路一帯」構想が打ち出される
○2018年 米中貿易摩擦激化
○2022年 中国に対するODA終了


1972年、日本のGDPは中国の約3倍だったが、現在は逆で、中国が日本の3倍。1972年、対中貿易額は全体の2%だったが、いま、それは4分の1近くまで高まっている。もし中国から物が入らなくなると、日本はパニックになってしまうほど、中国依存が高まってしまった。

 

一方で、これまで日本が中国に工場を海外移転し、安い人件費で様々なものを製造してきたが、現在、人件費が上がったりロックダウンにより製造ができなかったりと、様々な課題が浮上、リスクを「分散」するため工場を東南アジアに移すなどの中国離れの動きも出ている。あるいは、サプライチェーンの確保の問題や輸送費用自体の高騰、円安により円の購買力が低下してきたこともあって、工場の国内回帰も生じてきている。

 

現在、アメリカと中国との覇権争いの様相を呈してきた感があるが、日本が両国の間で、どのようなかたちで政治的、経済的な安定性をもたらすことができるのか? その立ち位置と姿勢が問われているが、そのビジョンさえ描けていないのが現状であろう。

 

政治的には、中国と台湾との緊張関係が高まっていて、台湾有事への危惧から日本の国防費を高めようという動きが出てきたことは承知の通り。
ロシアとともに、今後の中国でも、平和共存路線への大転換が生じるのを期待したい。

 

※グラフとしては、アメリカ、中国、日本のGDP、貿易総額、防衛費の推移あたりも出題される可能性があるので一度目に焼き付けておこう。後日、「重要グラフ」の一つとして提示する。

 

正誤問題

最後に、中国に関する簡単な正誤問題を政治、経済からそれぞれ3問提示しておくので取り組んでみよう。

 

■中国では、国会に該当する全国人民代表大会、内閣に該当する国務院、最高裁判所に相当する最高人民法院三権分立憲法で明記されている。

 

→ ✕
三権分立ではなく、憲法上は「全国人民代表大会」が最高機関。三権分立は否定し、権力集中による円滑な政策決定を優先。略称「全人代」で覚えておこう。「全人代」が「国家主席」を専任する権限や国務院総理の任命権をもつ。大統領が実質直接選挙によって選ばれるのとは大きな違いだ。憲法改正もここで決まる。国民投票が必要な日本とはこのあたりも大きく違う。なお、「全人代」の常設機関が「常務委員会」で、この委員会が国務院等の統治機構を監督している。

 

■中国の最高機関である全国人民代表大会は二院制である。

 

→ ✕
一院制立法府である。地方人民代表大会及び中国人民解放軍から選出。「間接選挙」された3000人という巨大組織。直接選挙ではないところも押さえておきたい。任期5年。 なお、センター現社の問題「中国の最高権力機関は一院制全国人民代表大会であり、これが立法権を行使している。」これは○か✕か。先に権力集中がインプットされたので逆に引っかかりを感じては駄目。○である。あくまで「立法府」なので正しい。しかし、行政の国務院、司法の最高人民法院を「指導監督」しているということ。原則として年一回開催され、憲法、法律、予算、国家経済計画などを審議するほか、国家主席の選任、国務院人事の決定を行なう。 なお、「一院制は、一つの機関に権限を集中させるため、民主集中制(権力集中制)とも呼ばれる。」これは✕。 一院制と権力集中制はイコールではない。


国家主席は任期5年で3選禁止である。

 

→ ✕
習近平国家主席によって任期撤廃の憲法改正が行われた


■中国は、市場経済化を進める中国で、経済特区のみに社会主義経済を残す「一国二制度」を採用した。

 

→ ✕

経済特区に「市場経済」を導入。「一国二制度」は香港・マカオが返還された際、50年間は資本主義を採用し、社会主義の中国と異なる制度を維持することを約束し、一定の自治を認めるというもの。センター試験では、こうした関係のないものを結びつけた問題が結構出題されていた。


■中国は,途上国の経済発展支援などを目的としたOECD(経済協力開発機構)に加盟した。

 

→ ✕
GDP世界第2位の中国であるが、国民一人あたりのGDPが小さいため、あくまで発展途上国の位置づけのままである。WTOにおいても同様で、そのため特別待遇を受けることになるが、これに対する批判も高まっている。なお、韓国は1996年にOECDに加盟、しかしWTOでは最近まで途上国待遇を受けてきたが、現在はその地位を放棄した。

■2021年「RCEP」東アジア地域包括的経済連携が発効した。中国、韓国も参加し、日本にとって韓国、中国と初めてのEPAとなる。

 

→○
包括的経済連携(RCEP)は東南アジア諸国連合ASEAN)10カ国を中心に、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの15カ国が参加する世界最大の広域の自由貿易圏として発足した。ただし、インドが未加入。