【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【速修】②世界の政治体制(1)アメリカ合衆国

01 議院内閣制では、内閣を構成する政党が議会の多数党であるとは限らないため、内閣と議会は対立することがある。
  • ✕ これは大統領制presidential government 。議院内閣制parliamentary government/cabinet governmentは基本的には多数党→与党による政権。大統領制はねじれはしょっちゅうあり得る。オバマ政権時代、大統領は民主党、議会は共和党が多数党

 

02 大統領制は、議会の信任に基づいて存立する政治体制で、そのため三権分立が強く貫かれている。
  • ✕ 議会の信任に基づくのは議員内閣制。また大統領制は確かに議院内閣制より三権分立が強く貫かれている。結論部分は正しい。しかし、それは、議会の信任に基づいて存立するからではなく、議会とは別に、国民から選挙で選ばれ、それぞれ立法権、行政権をもつ、言い換えればそれぞれ権限が厳格に限定されているからである。こういった「論理的的矛盾」も孕まれた文章になっていて、それが故に判断しにくくなっている。共通テストでも、こうした論理的矛盾を孕んだ問題文が出題される可能性があるので、変化球を見抜く選球眼も鍛えよう。

 

03 アメリカの大統領は間接選挙で選ばれる。
  • 〇 実質的には直接選挙ではあるが、直接選ぶのは大統領選挙人なので、形の上では間接選挙。①最初に各党で予備選挙・党員集会で大統領候補を指名する「代議員」を選ぶ。②全国大会で代議員が「正副大統領候補」を選ぶ。③州ごとに大統領を選ぶ「大統領選挙人」を選ぶ。これで実質的に大統領が決定するが、④形式的ではあれ、大統領選挙人が投票・開票され、正式に決定。このように長いプロセスが必要だが、センター試験現社では「大統領選挙では、第一段階として、大統領選挙人が選出される。」これを〇と判断させている。①②を捨象しているわけだが、まあ、「アバウト」をよしとする現社なので、これで〇でもよしとするが、実際は〇か✕かの形式には耐えられない問題。ただし、4択の場合は、こうした大雑把なものも組み込まれるので、心しておこう。

 

04 有権者の投票により選出される大統領選挙人は、あらかじめ支持する大統領候補者を明らかにしてはいない。
  • ✕ 論理的矛盾。 だったら誰を選んでよいか分からない・・・ ただ、ここでしくみを今一度理解しておこう。アメリカでは、大統領選挙人は各政党が州ごとにある意味で「名士」を指名し、それらの選挙人が州ごとに候補者Aを支持する「選挙人団」を結成し、その選挙人団が選挙の直接の対象となる。これは、初期のアメリカで、情報のない時代、地元の名士を通じてしか選挙しようがなかったという歴史的な経緯による。だが、現在は大統領候補者については様々な情報を得ることができるので、選挙人は形式的なもので、実質的には直接選挙になっている。

 

05 選ばれた大統領選挙人が候補者への投票を行い、ほとんどの州では、最も得票数の多かった候補者がその州の大統領選挙人を全て獲得する「勝者総取り」方式が採用されている。
  • 〇 議会の定数を根拠に538人が定数。勝者総取り方式のため、総得票数で上回っていた候補者が、敗北することもある。クリントン候補者がトランプ候補者に敗北した時がそれ。◎計算問題としての出題もあり得るので、「フクフクちゃんの深める」を参照すること。

 

06 全米で過半数の大統領選挙人を獲得した候補者が大統領になる。
  • 過半数 英語は何と「majority」でよいそうだ

 

07 アメリカの大統領・各省長官は議員と兼職できる。
  • ✕ 兼職禁止

 

08 アメリカの大統領には法案の提出権が認められていない。
  • 〇 ただし「教書」massage 送付権はある。議会に立法を促すもの 「一般教書演説」「予算教書」「大統領経済報告(経済教書)」が三大教書で、一般教書演説は大統領が連邦議会両院の議員を対象に行う演説で、内政・外交の基本方針を示す  年頭教書とも呼ばれる。

 

09 アメリカの大統領には議会が可決した法案への拒否権がある。
  • 〇 拒否権は英語でRight of veto ⇔投票はvote 。大統領には拒否権が認められている。一方、 逆に議会は大統領が否決した法案の再可決権がある。★2021政経第2日程で出題。

 

10 議会は大統領が否決した法案を過半数の賛成で再可決すれば法律として成立させることができる。
  • ✕ 「2/3以上」。日本でも参議院が否決した場合、衆議院で2/3で再可決すれば法律となる。一緒にインプットしておこう。●2021現社第1日程で出題。

 

11 アメリカの大統領は議会の解散権をもつ。

 

12 大統領令は議会の承認を経ずに発令でき、法律と同様の効力をもつ。

 

13 アメリカの大統領の任期は4年で、3選は禁止されている。
  • 〇 フランクリン・ローズベルトは戦争という事態もあり4選されたが、1951年の憲法改正によって、正式に大統領は2期までと定められた。なお、日本は憲法改正は全くなされたことがないが、アメリカはかなり改正されていることも知っておこう。

 

14 政府高官の任命については大統領の専権事項である。
  • ✕ 上院の同意(agreement/ consent)が必要。なお日本の場合国務大臣の任命は首相の専権事項。だから首相の任命責任が問われる。

 

15 アメリカの各省長官は議員兼職も議会出席も原則として許されないが、証人として出席することはあり得る。
  • 〇 日本の大臣とは相当違うが、正しい。

 

16 アメリカでは議会に大統領の政治責任を問う不信任決議権はない。
  • 〇 無論、議会と対立することはあるが、大統領は思う存分自分の政治的信念に基づいて舵取りをすることができるという訳だ。

 

17 アメリカの下院は各州から2名ずつ選出され、任期6年である。
  • ✕ これは上院。下院は州の人口比率に応じて選ばれ、任期は2年と短い。上院、下院とも小選挙区制。なお、センター問題に「アメリカの連邦上院議員は、州ごとに2名ずつ州議会によって選出されている。」というものがあった。誤りだが、どこが誤っているかわかるだろうか?「州議会」のところ。こんな意地悪な落とし穴もあるのでよくよく吟味すること。なお、そもそも上院が各州から一律2名としているのは、どういう意味だろうか?分かるかな?これはアメリカが「連邦制」をとる国家だからだと考えてやることができる。同じく連邦制をとるドイツも、上院は州の代表で、アメリカとは違って各州の政府が任命するそうだ。

 

18 アメリカの上院は大統領を含む連邦公務員に対する弾劾裁判権をもつ。
  • 〇 弾劾裁判は大統領等が法律違反を犯した場合実施される。下院の過半数で弾劾裁判を決定し、上院で裁判。2/3以上で罷免。2021政経第1日程では「アメリカでは、連邦議会上院議員は各州から2名ずつ選出されるのに対し、下院議員は各州から人口に比例して選出されている。連邦議会立法権や予算の議決権などをもつが、政府高官人事への同意など下院にのみ与えられている権限もある。」といった長文問題が出されている。前段は正しいが、後段、政府高官人事は上院。「ここまで聞いて委員会」と思われるような罠が仕掛けてあった。◎「フクフクちゃんの図と表で覚えよう」あたりを活用して視覚的に頭に焼き付けるといいぞ。

 

19 これまでに弾劾裁判によって罷免された大統領はいない。

 

20 アメリカは共和党と民主党の二大政党で、一般的に、共和党が保守・小さな政府、民主党がリベラル・大きな政府といった特徴がある。
  • 〇 無所属の議員も皆無ではないが。大統領は無論どちらかの政党に属す。「共和党が保守・小さな政府、民主党がリベラル・大きな政府」は一般論としては正しいが、さすがにこうした大雑把なレッテル貼りは問題としては成立しないかな・・・

 

21 アメリカの連邦最高裁判所には違憲法令審査権が付与されている。
  • 〇 連邦最高裁判所の裁判官は、「上院の同意を得て大統領によって任命されている。」このことも知っておこう。

 

22 アメリカでは具体的事件を前提をせずに法令が違憲かどうか審査される。
  • ✕ 日本と同様具体的事件がなければ審査はできない。ドイツはできる。なお、アメリカでは、違憲立法審査権憲法には明示されていない。しかし、「判例の積み重ねによって確立されている。」

 

23 大統領令は違憲法令審査の対象にはならない。
  • ✕ 対象となる。トランプ政権の時イスラムの入国禁止令を出したが、これに裁判所が違憲判決、ただし最高裁は合憲と判断。事例はある。