【共通テスト対策】フクフクちゃんの公共(現代社会)・倫理・政治・経済

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30年間の日本の政治変遷をスケッチしておこう③

fukuchanstudy.hatenablog.com

③    民主党による政権交代…わずか3年間余りのことではあったが

前回、本格的な政権交代が生じたことに触れた。


2009年の第45回衆議院議員総選挙(投票率69.28)で民主党が獲得した議席は308議席。これは第一党としては過去最大の議席数であった。一方自民党は119議席と凋落。民主党鳩山代表が新しい首相に選ばれ、民主党政権が誕生することになった。国民新党社民党との「連立」という形をとった。
では、なぜ、このような大転換が生じたのであろうか?
まず、民主党がどんな政党であったのかを問うておかねばならない。既にみたように結党は1996年の第41回衆議院議員総選挙の直前。社会党の後継「社会民主党」と自民党から離れた「新党さきがけ」が合流したもので、基本的には「中道・リベラル」で都市住民を基盤とする政党であった。選挙前には議席を減らしていたが、第二党に育っていた。
で、何が言いたいかというと、民主党に魅力があったと言うより、当時は、二大政党による緊張感のある政治状況が希求され、そのためにも、「小選挙区制」が導入された訳だが、何よりも国民が、今回は第二党にでも「政権交代」をさせてみようか・・・という気持ちになったからではないかと思われる。
その直接的な背景になったと思われるのが、2008年に生じたある事態。受験生諸君は、想起できるであろうか?
そう、リーマンショックである。これが日本経済も大きく打撃を受ける中、小泉改革の「負の側面」が顕在化し、国民の不安が高まっていたからである。
そこに、民主党が「コンクリートから人へ」という心地よいスローガンを出してきたものだから、ちょっと任せてみようかという気持ちにさせ、大転換が生じることになったのではないか。
また、「小選挙区制」の導入によって、細分化されていた野党勢力の一部が淘汰されことも大きい。導入前の第40回衆議院議員総選挙の時には多数の野党が並列状態にあったが、第45回は、結果的に反自民民主党に集約されたものと思われる。ただ、単独政権ではなく、参議院は第一党ではないため、社民党国民新党と「連立」を組む形で政権交代を果たした。
・しかし、民主党政権は、子ども手当や高速道路無料化などの公約を掲げていたが、それを達成できないまま鳩山首相が米軍普天間飛行場の移設問題をめぐって辞任、菅(かん)首相の時は、2010年参議院選挙では自民党が多数派となり、「ねじれ国会」に。さらに、2011年の東北大震災への対応に対する批判や内部対立により野田首相へと党首交代。野田首相については、今回、立権民主党の党首として再登場したので受験生も承知のことと思うが、「消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革」の実現のため、ねじれ国会では法案が通過しないので、自民党が法案可決に協力すれば「解散」することを約束、結果的に、自民党がそれを飲んだことで法案可決、そして、2012年12月第46回衆議院議員総選挙となった。しかし、国民の民主党への失望は大きく、民主党の獲得議席はわずか57席となり下野することになった。

④    安倍長期政権

野田首相とやりあったのが安倍自民党総裁であった。体調不良で退いていたが再び自民党総裁になり、第46回衆議院議員総選挙後、二度目の首班指名を受けることになった。自民党294議席公明党31議席。「3分の2」を超える与党政権となった。安倍政権は、以降、2012年12月から7年8か月という長期政権を維持することになる。憲政史上最長の政権期間となった。
最後は、持病の再発ということで退いたが、自民党総裁は3年、3期までという規定があり、まさに最大値に近い形で政権を維持したことになる。
この間、参議院選挙については2013年、2016年、2019年のいずれも自公民の与党が勝利、衆議院選挙についても2014年は与党326議席、2017年は与党313議席と、「3分の2」を上回る勝利であった。
もっとも、だからと言って、安倍政権が素晴らしい時代を創造したという訳ではない。功罪があった。この点は別の機会に触れることとするが、ここでは、私自身は、むしろ、長期政権による、あるいは安倍一強による弊害が大きかったのではないか・・・という思いがあることを伝えておくだけにする。

⑤    ポスト安倍時代

安倍首相が退陣したのち、菅(すが)首相、岸田首相が引き継ぐが、私自身は、かなり批判的な意見をもっている。これまでもコラムで触れてきたが、民主主義が壊れてきたような危惧を感じてきた。
これもまた別のところで言及することとして、とりあえず、岸田首相時に実施された2021年の第49回衆議院議員総選挙についてだけ触れておくと、これも自公民の勝利で、293議席で、絶対安定多数を確保している。
しかし、裏金問題から、今回2024年の第50回衆議院議員総選挙では自民党に厳しい審判が下った。
一方で、民主党の流れをくむ立憲民主党と国民党が議席を伸ばしたが、「野党」が結束できず、政権交代には至っていない。
無論、政権交代ありきではない。しかし、おそらく、少なからず、国民は再び「政権交代」を望んでいるのではないか。「自民党じゃないとダメなんです」ということを連呼していた立候補者がいたが、全くのナンセンス。政党ではなく、あなたの政策や信念が問われているのだ。
ところが、反自民の共通の確固たる「受け皿」、あるいは候補者がいない・・・これが多くの国民の実感とため息なのでは?
今回、国民民主党を「受け皿」として選択した若者が多かったとの報道があった、一方で、若者の選挙率は依然として低い。また、今回の選挙率も全体で50%をやや超えた程度にとどまった。


民主主義を守っていくためにはどんなことが必要なのか?今回みてきたことを背景に、次回もう少し掘り下げてみたい。

以下、選挙結果を整理したので掲載しておく。