今日は77回目の広島原爆の日。8時15分、私も妻とともに黙祷を捧げた。
ニューヨークでは、NPT=核拡散防止条約の再検討会議が開催されている。ロシアが核兵器を使用する危惧が払拭できない中、平和への希求と軍縮へのうねりを一段と高めたいものだ。
ところが一方で、参議院選挙の結果を受けて、参議院でも、憲法改正論議に前向きな「改憲勢力」の議席が「憲法改正の国会発議に必要な総議員の3分の2」ラインを超えたこと、承知していると思う。
「改憲勢力」とは自民党・公明党・日本維新の会・国民民主党である。
■衆議院は総議員数465 3分の2は310
自民党261 公明党32 維新41 国民民主党11 合計345
■参議院は総議員数248 3分の2は166
自民党119 公明党27 維新21 国民民主党10 合計177
こうした状況を受けて、岸田首相は9条への自衛隊明記と緊急事態条項新設に照準を定め、発議に向け具体案の作成へ議論を加速させる意向を示したことも報道された。
だが、改憲勢力にも温度差があり、統一案がまとまるかどうかは未知数。
憲法改正の是非については、どのような部分をどう改正するか、具体的な案をたたき台に議論する必要があるが、とりあえず、受験生諸君としては、憲法改正の「手続き」が安倍政権時代に作られたこと、そしてその中身については、しっかりと知っておかなくてはならない。
- 憲法改正のステップ
- 正誤問題
- 日本国憲法は改正の手続きが厳しく定めてある硬性憲法である。
- 憲法は最高法規であり、憲法改正の具体的な手続きを定めた法律はない。
- 国民投票法によって、憲法改正の原案は、衆議院、参議院それぞれで一定数以上の賛成があれば憲法審査会に提出できることになった。
- 衆参両院に設置される憲法審査会にあっては、提出された憲法改正の原案に2/3以上の賛成があれば、本会議に提出できる。
- 憲法改正の発議は、衆参両院ともに出席議員の2/3以上の賛成で行う。
- 憲法改正案は、特別の国民投票、または国会の定める選挙のさいにおける投票において、有効投票数の過半数の賛成で成立し、天皇によって交付される。
- 憲法改正の国民投票は、単なる諮問的な国民投票ではなく、 国民が直接にその投票により憲法改正の是非を決めるという決定型の国民投票であるとされている。
- 日本国憲法の基本的原理も、憲法改正の手続きを踏めば改正できる。
- 自民党改正草案について
- 追記:花はどこへ行った/忌野清志郎
憲法改正のステップ
以下の空欄を埋めることができるであろうか?
憲法改正のステップ
「( )法」の制定により
①改正の発案 (衆議院100 / 参議院50以上の賛成があれば)
→それぞれの「( )会」で議論
「( )」の賛成があれば → 国会(両議院)で審議
②各議院の「総議員」の「( )」以上の賛成があれば → 憲法改正を発議
③国民投票で「有効投票数」の「( )」の賛成があれば → 成立
憲法改正のステップ
「国民投票法」の制定により
①改正の発案 (衆議院100 / 参議院50以上の賛成があれば)
→それぞれの「憲法審査会」で議論
「過半数」の賛成があれば → 国会(両議院)で審議
②各議院の「総議員」の「2/3」以上の賛成があれば → 憲法改正を発議
③国民投票で「有効投票数」の「過半数」の賛成があれば → 成立
正誤問題
また、以下の正誤問題にも取り組んでみよう。
日本国憲法は改正の手続きが厳しく定めてある硬性憲法である。
→〇
国会の発議「2/3以上」、国民投票「過半数」 なお、アメリカの場合は「国民投票」はない。なお●2021現社第1日程で憲法改正、国民投票「過半数」というオーソドックスな問題が出題されたばかり。無論〇。
憲法は最高法規であり、憲法改正の具体的な手続きを定めた法律はない。
→×
2007年安部第一次内閣により「国民投票法」が成立。なお前段の最高法規という言葉に惑わせられてはダメ。確かに「憲法の条規に反する法律、命令、詔勅および国務に関するその他の行為は、その効力を有しない。」と、憲法は最高法規ではあるが、改正自体はできるし、それを可能にした国民投票法も成立した。
国民投票法によって、憲法改正の原案は、衆議院、参議院それぞれで一定数以上の賛成があれば憲法審査会に提出できることになった。
→〇
衆議院100以上、参議院50以上 1999年の国会法の改正により、日本国憲法についての調査を行う目的で両議院に「憲法審査会」が設置され、2007年に憲法改正の具体的な手続きを定めた「国民投票法」が制定された
衆参両院に設置される憲法審査会にあっては、提出された憲法改正の原案に2/3以上の賛成があれば、本会議に提出できる。
→×
過半数でよい。ただし、本会議は2/3。 「憲法審査会」は新たに設置された常設機関で、50名の委員で組織されている。当分休眠状態であったが、先の通常国会の中で9年ぶりに開催された。
憲法改正の発議は、衆参両院ともに出席議員の2/3以上の賛成で行う。
→×
「総議員」の2/3以上 こんな落とし穴なら簡単に見抜けるよね
憲法改正案は、特別の国民投票、または国会の定める選挙のさいにおける投票において、有効投票数の過半数の賛成で成立し、天皇によって交付される。
→〇
憲法に規定がなかった「有効投票数」という規定が国民投票法に示された。18歳以上。なお、「最低投票率に関する規定」はない。このあたり出題されそうな予感がする。
憲法改正の国民投票は、単なる諮問的な国民投票ではなく、 国民が直接にその投票により憲法改正の是非を決めるという決定型の国民投票であるとされている。
→〇
これは問題文として出題された訳ではないが、やや俯瞰した判断問題の文章が出されることもあると考え創作してみた。正しい文として提示しているつもり。やや難しい印象を受ける文かも知れないが、間違いではないと思う。
日本国憲法の基本的原理も、憲法改正の手続きを踏めば改正できる。
→×
基本的原理は改正できないとされている。
自民党改正草案について
最後に、それにしても気になるのが、自民党の改正案。
平成24年に作成された憲法改正案をインターネットでも見ることができる。
若い感性がどう感じるのか、感想を聴きたいものだが、私自身には改悪そのものにしか思えない。
権力による人権の制限につながる規定もあり、恐怖心さえもつ。
当面は、9条と緊急事態条項新設が争点になりそうだが、仮に万が一国会決議があろうとも、最後は、「国民投票」を経なければならない。ただし、国論は二分するかも知れない。厳しさを増す国際情勢に乗じて危機感を煽ること主張もある。平和ボケという批判もあることは重々承知している。
しかし、私自身は、9条があるから周辺諸国から信頼を回復させてきたことに価値をみたい。もし、専守防衛を捨てるようなことになれば、海外からは、日本は侵攻できる国に変貌したと映る。防衛費を拡大し続けていくのか、唯一無二の平和主義のリーダーとして世界平和に貢献するのか。
「戦争は人の心の中で生まれるものだから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない」(ユネスコ憲章)
・・・最後の砦は国民なのだ。若人よ、砦をともに作りたいものだ。
追記:花はどこへ行った/忌野清志郎
若人よ、こんな唄を私たちは歌いつなげたきた。どうか、君たちにも聴いてほしい。
そして、未来へ繋げてほしい・・・と言うことで、今後、時々、後世に残したい唄のリンクを貼ることにした。