01 1ドル=100円が、1ドル=90円になることを円安と言う。
- ✕円高。
02 外国為替市場において円が少なくなると円安になる。
- ✕少なくなる → 「レア」 → 「人気がある」 → 円高
・・・このように考えよう。
04 円安は、外国為替市場で円が買われ、ドルが売られる傾向が強まるために生ずる。
- ✕円が買われると円が少なくなり円高になる。
05 アメリカの金利が上がると円高になる。
- ✕円安になる。
ドル建ての預金が有利 → 円を売ってドルを買う → ドルがレア → 円安・ドル高。
まさに現在の円安がこれに該当する。
06 日本の株価が上がると円高になる。
- 〇海外の投資家が参入 → ドルを売って円を買う → 円高
07 日本の輸出が好調だと円高になる。
- 〇海外から支払いのためドルが多くなる → 円がレア → 円高
08 日本の物価が上がると円高になる。
09 理論上、その国の物価と為替レートは反比例するとされる。
- 出題されたものではないし、こういうかたちの正誤問題として出ることはないが、知っておきたい。あくまで理論上だが、正しい。現在、日本も物価が上昇しつつあるが、逆に円の価値は下落している。こういう抽象論を頭に入れておくと、判断の際の基準となるので有効。
なお、「反比例」する例は沢山あるが、知っておくと案外役に立つ。ただしあくまで「理論上」。様々な要因が絡み、そうならない場合もある。現在のアメリカがそうで、インフレとドル高が共存している。インフレを抑制するため金利をあげるという「政策」を打って出た。この政策により、アメリカの金利が高いため自国通貨を売ってドルを買い、ドルで預金・・・この結果、ドル高という現象が。と言うことで、政策により変動する場合もある。
10 対外投資が増えると円高になる。
11 経常収支が黒字になっているということは円高が進んでいるということを意味する。
- 〇経常収支が黒字 → ドルがたくさん入ってきている → 円高
12 世界経済の中心であるアメリカの経済が活発になると日本では円高傾向になる。
- ✕アメリカの経済が活発だとドル高になる、ドル高ということは円安。
13 円高は、日本の投資家が海外の株や国債、不動産などを積極的に買うために生ずる。
- ✕海外の株を買うためにはドルが必要。ドルが出ていくとドル高・円安に。
15 円高になるとインフレになる。
- ✕円デカ。円高はデフレと親近性あり。
16 円高の進行は日本の国民所得を高め、海外から日本への出稼ぎ労働者や外国人観光客を増加させる。
- 〇円の価値が高い=「円での購買力が高くなる」ので、海外のものが安く買える。前章で何度か確認したが、日本は「投資立国」へとシフトしてきたが、その背景に円高基調があったということ。
17 円高の進行は日本の国民所得を高め、海外から日本への出稼ぎ労働者や外国人観光客を増加させる。
18 円高の進行は日本の国民所得を高め、海外から日本への出稼ぎ労働者や外国人観光客を増加させる。
- ✕シンプルに考えよう・・・
円高になると輸入品が安くなり輸入は増える。
19 円高の進行は日本の国民所得を高め、海外から日本への出稼ぎ労働者や外国人観光客を増加させる。
- 〇シンプルに考えよう・・・
円高が輸出に不利だから、円安なら輸出は増える。
20 円高の進行は日本の国民所得を高め、海外から日本への出稼ぎ労働者や外国人観光客を増加させる。
- ✕シンプルに考えよう・・・
円高は日本の海外旅行に有利 → 外国人観光客には不利。
21 円安により、外貨建てでみた日本の賃金が外国の賃金と比べて上昇すると、外国人労働者の流入を増加させる働きを持つ。
- ✕外国人労働者は日本円で給料をもらう。円安だと不利になる。
例えば1ドル=100円が1ドル=200円の円安になったとしよう。
時給1000円だとすると、前者では10ドルもらえたが、後者では5ドルになってしまう。このことは理解できるかとは思うが、ただし、この文章の場合、「円安により,外貨建てでみた日本の賃金が外国の賃金と比べて上昇すると」という箇所の判断が必要。「外貨建てでみた日本の賃金」とは何かが掴みにくいが、先の例で言う10ドルから5ドルへと変化した賃金がそれにあたる。と言うことは、「上昇」ではなく、「下落」で、ここにも誤りがあるということになる。
なお、この文章は明らかに誤りと判断できるが、では、「円安になると日本への外国人労働者の流入は減る」という文は〇と言えるかどうかとなると微妙。確かに、ドル建ての賃金は下落するが、当座の移動等にかかる費用が円安のため少なくて済むというメリットがあるからだ。円安になると、外国人観光客(インバウンド)が増加するということも知っていると思うが、それと同じ論理である。従って、「円安になると日本への外国人労働者の流入は減る」といったアバウトなものは出題に値しないが、思考力問題として、そんな一長一短があることが問われる可能性がない訳ではないので、深く把握しておこう。
22 円高の進行は円の購買力を強め、海外企業の買収や海外不動産の購入などによる日本からの資本の流出を増加させる。
- 〇以前にも同じような文章を出していたが、対外投資はあくまで「資本の流出」。正しい。
23 円高は日本の製品に対する海外からの需要が大きくなると生じる。そのため、円高の進行は日本の輸出を増大させる。
- ✕前段は正しいが、後段は誤り。円高になると輸出に不利。
24 円高の進行は、輸入品の価格を引き下げる要因となるため、物価下落要因となる。
25 日本の電力などのエネルギー産業は石油などの資源を海外に依存している。そのため、円高の進行はエネルギー産業の生産費用を高め、収益を悪化させる。
26 円安は、輸入原料などの円建て価格を高くし、それを使う日本国内の生産者にとっては、コスト高の要因となる。
- 〇まさに現在がその状況。円安は円の購買力が低下して物価高をまねく。
27 外国債券などの外貨建て資産を購入した後に、円高が進めば、それらを売却して円建て資産にすることにより、為替差益を得ることができる。
28 外国為替相場に対して、今日.大きな影響を与えているのは、貿易に伴う通貨交換よりも資本移動に伴う通貨交換であるとされている。
- 〇以前触れたが、「外国為替市場の取引」の1日あたりの取引量は何と7兆ドル。世界貿易(輸出と輸入)の総額はここのところ年間で40兆ドル前後とのこと。従って、「資本移動に伴う通貨交換」が圧倒的に多い。この文章なら間違いなく〇と言えよう。
29 中国はWTO加入に伴い、市場が為替レートを完全に決定する「変動相場制」へ完全移行した。
- ✕中国は、輸出を促進させるため、自国の貨幣相場を米ドルと連動させるペッグ制(固定相場制)であったが、1996年にIMF8条国に移行し、2005年には、市場メカニズムに任せる形を取るものの、政府・中央銀行が介入して為替レートを管理する、具体的には、自国の通貨の変動幅を固定し、その幅の範囲内で各国通貨が自由に取引される制度である「管理フロート制」を採用した。従って、「完全な」変動為替相場制ではない。また、人民元のレートが実際の価値よりも割安に固定されているとアメリカが圧力をかけたこともあって、この時、人民元の「切り上げ」が実施された。以降もアメリカが何度も切り上げを要求しているが、しかし、中国は応じていない。なお、ベトナムなども「管理フロート制」である。
30 EU(欧州連合)のECB(欧州中央銀行)では、EMS(欧州通貨制度)が発足した際、加盟国間の為替変動リスクを排除するために、単一通貨ユーロが導入された。
- ✕EUは1993年に発足し、単一通貨ユーロは1999年のECB設立とともに発行したので✕。ドルに次ぐ、円を上回る巨大な通貨圏が成立した。旧通貨は各国中央銀行の手によって回収され、粉砕器にかけられ処分されたという。「EU(欧州連合)のECB(欧州中央銀行)は、外貨準備として、ユーロ参加国の各通貨を保有するよう義務付けられている。」は✕。
ただし、全ての加盟国で採用されていないことも問われることがある。「EMS」はギリシアの財政危機を契機に導入されたメカニズムで、各国の「金融政策」を各々の国でばらばらに行うのではなく一元化しようとしたもの。このことによって、為替相場を安定させようとした。「国際金融のトリレンマ」という説があり、一国が対外的な通貨政策を取る時に、①為替相場の安定、②金融政策の独立性、③自由な資本移動、の3つのうち、必ずどれか一つをあきらめなければならないというもの。
このうち、EUは②金融政策の独立性をあきらめたかたちとなる。これを踏まえて、次の問題にチャレンジ。
31 日本やアメリカは、対外的な通貨政策において、①為替相場の安定、②金融政策の独立性、③自由な資本移動、の3つのうち、③の自由な資本移動をあきらめたとみなすことができる。
- ✕無論✕。①の為替相場の安定をあきらめた。③をあきらめたのは中国。「国際金融のトリレンマ」も、思考力を問うものとして、今後出題されるかも。