【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【2023共通テスト】現社の総括(解説と分析)

問題は下記リンクなどから入手してほしい。

www.47news.jp

mainichi.jp

 

残念ながら、安保理憲法改正あたりの出題を期待したが出題されなかった。労働・消費者、国際政治や基地問題なども出なかった。また社会保障も、相対的貧困に関する資料・読解問題は出たが、知識問題は皆無。部分的には当たった問題もない訳ではないが、期待に反してしまった感は否めない。

 

ただ、知識問題はほとんどブログでも触れたもので、読解力・判断力・思考力を問う問題も比較的易しく、知識問題を確実に拾えば高得点になったのではないか。
もっとも、100勉強して2、3しか出ていないので、あんなに勉強したのに・・・と思いをもった受験生もいるかも。でも、きっと将来役に立つはず。

以下、来年の受験生のために、各問題に簡単な解説を加えておく。★が勝負問題。

 

 1 「国際収支・経常収支あたりの分類についての出題もありか。」と予想していたが、サービス貿易が出題されたものの、知識は必要なかった。4つの分類のどれに該当するか、「仕分ける」■「読解力・判断力・思考力」問題であった。緊張する初っ端にこのようないささかややこしい判断を求めてくるのがセンター・共通試験の常套手段となっているが、実は難しくないケースがほとんど。アは外国の「現地のサービス」を利用するものだから、逆に言うと「他国から自国に来た消費者にサービスを提供する」Ⅱに該当する。イは日本の運輸会社の現地支店を利用するものだからⅢに該当する。ウは日本の芸術家が外国に移動して演奏しているのだからⅣに該当する。落ち着いて処理したい。選択肢の組み合わせからもかなり絞ることが出来る。③が解答。

 

 2 円高・円安」は当然のごとく出題を予想していたが、■「知識」問題として出題。消去法で④が残る。②は「変動為替相場制」。③円高の場合は、円がレアなので円を市場に投入しドルを買う。ちょうど円安のため、ドル売り円買いしたばかりだったので気づきやすかったのではないか。これも楽勝の問題。

 

 3 「TPPやRCEP」あたりを予想していたが、頻出のEUであった。EUが1993年結成、30年目ということで出題予想していた諸氏も多かったかも。ただ、これは頻出の■「知識」問題。①のマーストリヒ条約は基礎事項。④がやや悩ましいが、①はどう考えても間違いはないので迷うことなく決断したい。なお、④はECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)。②一般に、ユーロ「危機」という言い方をするので、分かりにくかったかも知れないが、「ユーロ高」ではなく、信用が落ちたわけだから「ユーロ安」。怪しいと疑ってかかろう。③「金融政策」は実施されているが、財政政策は各々の国で。これは知っておかないといけない知識。これも落とせない問題であった。

 

 4 安保理」や「国際司法裁判所」の出題を期待していたが、予想が外れた。■「知識」問題。①か④で迷ったのではないか。直近に、「人間の安全保障」が出る可能性があると書いたが、このUNDPのことに触れなかったのが悔いが残る。正しい。①排他的経済水域は「領域」には入らない。「直近180」で触れておいたが、あくまで「天然資源の利用権」。②人権理事会ではなく、経済社会理事会。③WTO。差がついた問題か。

 

 5 自由貿易協定締結による利益と損失にかかわる■「計算」問題だが、結局は「関税」の意味が分かってさえいればとても簡単な問題であった。手前味噌で恐縮だが、直前に確認した需要と供給のグラフ問題で、関税は「政府」の利益になると、関税の考え方を説明していた。となるとアが200でイが100。何と選択肢でイを100としているのは④だけ。で④が答えとなる。ウまで考えなくても答えが確定。楽勝問題だった。


 6 思想・良心及び宗教の自由にかかわる■「読解力・判断力・思考力」問題。「分かるところから判判断し」、「選択肢を利用しながらこじ開ける」という鉄則のもと、例えば、Cあたりはウに違いない。となると①か⑦かに絞られる。Aがアかエか・・・エの「正当化されるわけはない」があってそう。そうすると⑦か。⑦はBをアとしているが・・・これも適合しそう。ちなみにイの「政教分離」は該当するようなものがAからCいずれにもないので、よし、⑦でいこう。このように、意味がとりにくいものがあっても、斟酌しながら確定できるのではないか。この問題も拾いたい。

 

 7 コロナワクチンを意識した「先進国と開発途上国の医療資源格差」にかかわる■「読解力・判断力・思考力」問題。アはZとすぐに判断できるはず。イもYか。易しい問題だったね。⑥。

 

 8 「青年期の課題」を出題予想していたが、■「知識」問題としてまず一題。④のレヴィンのマージナルマンは誰でも分かると思うが、定義がこれでよいかどうか、少し迷ったかも。しかし、①から③はいずれも明らかな誤り。①第二次性徴②アイデンティティの危機③第二反抗期。

 

 9 資料の読解問題、■「読解力・判断力・思考力」問題。こういう問題が出るとノー勉でも・・・という気になってくるが、実にありがたい易しい問題。平均点を確保するために、このような基礎的な論理力さえもっていれば回答できる問題も入れられている訳だ。④。

 

 10 企業の社会的責任あたりは略して CSR(corporate social responsibility)あたりの略語が問われても良いぐらいだが、楽勝問題だった。「社会的企業」という言葉は聞き慣れないが、NPOということでさすがに「営利企業」ではないだろうなという判断を期待していたのであろう。■「知識」問題、というより常識的な楽勝問題。①。

 

 11 高度経済成長期から2000年代初頭までの戦後の日本経済の■「知識」問題の並べ替え問題。予想した2000年代から現在までのものとは違っていた。「有効求人倍率の推移」のグラフを出しているが、その読み取りは全く必要なし。知識だけで簡単に並べ替えることができる問題であった。C高度経済成長A第一次オイルショックD安定成長B構造改革
最も早い時期アか、最も遅い時期ウか、どちらかが分かれば⑤か⑥に絞ることが出来る。戦後初のマイナス成長が1974年ぐらいは受験生の常識なので⑤。これまた楽勝問題。

 

 12 倫理思想の■「知識」問題。「現社の倫理」には「倫理」では頻出の「アーレント」と「レヴィナス」を入れていなかったのでしまったと思ったが、消去法で拾えたのではないか。①「自由の刑に処されている」はサルトル、③「死を待つ人の家」はマザー・テレサ、④「自由からの逃走」はフロム。いずれも基礎事項なので、アーレントを知っていなくても消去法で対応できたはず。でも、問題としてはどうかな?とは思う。

 

 13 「日本の財政や予算」についての■「知識」問題。裁量的財政政策フィシカル・ポリシーという知識があったかどうか、これが分かれ目。直近にカタカナをチェックする教材を提示したが、カタカナ用語はよく問われるのでチェックしておきたい。②これは特別会計予算③地方交付税は自主財源ではない、ただし紐付きではないのでこれを選んだ受験生もいたかも④補助金は実質減額。ということで①だが、これを落とすと痛い。

 

 14 予想が的中「マズロー」の■「知識」問題が出題されたが、読解力を伴う問題だったので、差がついたかも。Aは所属と愛情で3番目。Bが自己実現で5番目。Cが安全で2番目。ということで⑤が正解。

 

 15 GDPの名目と実質の違いについての一見■「知識」問題。勝負問題の一つであった。実質GDPは物価の変動を考慮する・取り除く指標。名目GDPは物価を考慮しない指標。「生産量は同じ」で「物価が低下した」という想定の場合、「生産額」は下がる。実質GDPは、生産額は下がったけど、物価も低下していることを考慮するので、「同じ」と考える。名目GDPは物価の変動を考慮しないから、名目GDPは「減少」したと考える。物価下落 (デフレ) の場合、名目GDP<実質GDPとなるという知識とも合致している。ここまでは判断できるはず。次に、「生産量」の増減を判断するにはどちらが適切か?というところで迷う。ここで、先の条件設定が「生産量は同じ」というところに立ち戻りたい。生産量が同じなら、「同じ」という結果となる「実質GDP」でないと、つじつまが合わないということになる。・・・いかがであろうか?逆に、「生産「額」」の増減を判断するのが「名目GDP」ということになる。従って解答は⑧。おそらくかなりの受験生が迷ったことと思う。と言うことで本質的には思考力が問われる問題で、正答率は低かったのではないか。

 

 16 政府が企業や市場に働きかける政策や仕組みについての■「知識」問題。労働問題・食の安全も含めた多岐にわたる問題。消去法で①か。②公共財は市場にゆだねると過小③労働監督署④トレサビリティ。これも拾いたい問題。

 

 17 日本とアジアの政治や経済に関する■「知識」問題。③が正しい。①一国二制度は香港②水平④中国。これは楽勝でないと。

 

 18 ★サービス取引に関する「判断力問題」。①が正しいが、Bを労働として捉えて加えなかった受験生も多いのでは。「働いてもらった」結果、流通サービスが発生したと考えると、これもサービス取引に当たるということか。いや、これは落としそう。

 

 19 プラットフォームにかかわる利用者の心理、競争のメリットについて、■「読解力・判断力・思考力」問題。④。こいつは確実に拾いたい。

 

 20 国家・政府の役割に関する■「知識」問題。消去法で④としたいところだが、100兆円という数値が受験生にあったかどうか。「数字が問われる政経・現社」で経済規模についておおまかに把握するように穴埋めを作っていたが、これに目を通していれば・・・
G20新自由主義自治事務法定受託事務。③を選んだ受験生もいたかも。

 

 21 刑事司法制度の■「知識」問題。「裁判員裁判検察審査会」の出題を予想していたが、これは的中した。消去法で④。①弁護士②第一審のみ③自白が唯一であれば有罪とされない。これは確実にとりたい。

 

 22 刑罰の目的や性質にかかわる■「読解力・判断力・思考力」問題。Bをイと確定し、斟酌すれば難しくはない。⑥。これは間違ってはならない。

 

 23 防犯カメラの利点や問題点に関する■「読解力・判断力・思考力」問題。②。これも易しい。

 

 24 予想していた最高裁に関する判決の■「知識」問題。③は正しい。①であるなら教科書検定制度はないはず。②わいせつ罪は今でもある。④私人間には直接適用されないとの判断。典型的な知識問題として確実に得点したい。

 

 25 国会と国会議員に関する■「知識」問題。②の政治家個人への献金の禁止は正しい。①参議院の緊急集会。③党議拘束。④政府委員制度は廃止された。これも拾いたい。

 

 26 選挙制度に関する■「知識」問題連座制が的中。④がそれ。①在外日本人の選挙権は認められた。②戸別訪問は認められていない。③普通選挙。これも易しい。

 

 27 地方自治の直接請求権にかかわる■「知識」問題だが、読解力も要求された。アはやや早急、イはやや穏健、ウは労力が少なくて済む・・・といった観点からも斟酌できる。「陳情」は最も労力が少ないので、ウはB。アがC。⑤が正解。易しい。

 

 28 「子どもの貧困」に関する■「読解力・判断力・思考力」問題。丁寧に斟酌すれば、3つは明らかな誤りを含んでいることが分かる。難しくないが、落ち着いた斟酌が必要。

 

 29 教育の機会均等の試みなのか、社会的孤立を防ぐための試みなのか、仕分ける■「読解力・判断力・思考力」問題。ウをどう判断するかが分かれ目。流石に教育ではないのでは。正解は③。易しい。

 

 30 子どもの貧困を解決するアプローチについての■「読解力・判断力・思考力」問題だが、易しい。②の消費税は逆進性があり該当しない。Bは流石にウではなくエ。

 

 

※28から29は、それ以前をテキパキと消化し余裕をもって臨めばとても易しい。ただ、そうでないと案外あせって間違うことも。

30問中17問程度が■「知識」問題。6割。■「読解力・判断力・思考力」が問われたのが4割。このうち半分以上は易しい。
平均は60点前後との予想なので、知識問題35点、読解力問題25点ということか。
結局は知識問題で50点確保することが、8割を超える最低条件ということになる。

読解力・判断・思考力が問われることを意識しつつも、まずは、知識問題に対応できる基礎的な学習が基盤だと考えよう。その上で、グラフや表の読み取りなどの情報処理能力を含め、問題演習をこなすことが高得点への鍵となる。