【2023共通テスト】倫理の総括（解説と分析）
問題は下記リンクなどから入手してほしい。
当ブログでは、今年度は倫理までカバーできなかった。せめて、試験問題の解説と分析だけはしておきたい。なお、今後は倫理分野も充実させていく計画である。
１ 4つの宗教の理解度を確認した■「知識」問題だが、「洞察力」も求められる。①ムハンマド以前は多神教。これを批判して唯一絶対神への帰依を説いたのがイスラーム。従って、これは✕。②ヒンドゥー教は身分制度を否定していない。これも✕。④十戒では、確かに多神教を否定している。また、メシアの思想もある。ただし、十戒でメシアの思想が示されたかどうか・・・一応、これは括弧に入れておく。③在家信者と出家信者とに差がある。仏教では皆、平等が原則だが、この差はありえる話し。・・・おっと、確か、教科書欄外には、一般信者は五戒を守ればよいが、男性の出家者は250、女性の出家者はその倍近くの戒律を守ることになっていた・・・といった記述があったはず、という知識があれば、これを〇と判断できた。そして、④も、メシアの思想はモーゼの頃ではなく、イエスが出てくる少し前の時期ではなかったか？③はどう考えても〇なので、斟酌すると④は怪しい・・・よし③で勝負・・・といったかたちで決断したい。世界史選択者に有利な問題。
２ 1と同様、源流思想の地域横断的な■「知識」問題。①パリサイ人は律法主義なので✕。③ジャイナ教は農民は不殺生を避けられない。従ってジャイナ教は農民ではなく、商業活動に従事。このあたりも世界史組に有利だが、✕と判断できるはず。そうなると②か④か。④は老子の思想にかなったもので〇ではないか。では②のアリストテレスはと言うと、「倫理的徳」は正しそうだが・・・あっ、そうか「政治的生活」ではなく「観相的生活」か。といつた具合に斟酌し、「小国寡民」という言葉がなくても、内容から④を選びたい。
３ イスラームについての資料を読んでの■「判断力・思考力」問題。aから埋める必要はない。bの方が埋めやすかったのではないか。bはムスリム同士が結びつくとなると①か③。でそれぞれのaについて見てみると①は確かに資料の前半で言っていること、しかし③は飛躍した文章。「推測を避けよ」と言っているのに、「想像力を駆使して」というのは相容れない。そうすると総合的に考えて①を選ぶしかなかろう。これも落とせない易しい問題。
４ イエス、墨家、ブッダに関する■「知識」問題。イエスの「隣人愛」、墨家の「兼愛」はいずれも〇。ブッダは、我執にとらわれることから煩悩が生まれるとし、ウパニシャッド哲学の、真実の自己とされるアートマン・我を否定している。「執着を捨て」という部分は正しいが、「自らが所有する」という部分は誤り。「諸法無我」という教えで、あらゆるものは実際には「自我や所有物ではない」とした。また、後段の、「他者のアートマンを尊重することで、他者とともに生きることができると説いた」も、そんなこと言っていないのではと疑うことができるはず。やや迷ったかもしれないが、これは✕と判断したい。正解は②。
５ ブッダの『スッタニパータ』とパウロの「ガラテアの信徒への手紙」に関する■「知識」問題と「読解問題」。アは誤り。ブッダは一切皆苦を説いた。イは正しい。パウロはイエスの死を贖罪と考えた。ウとエはいずれも資料を反映した正しい文章。この読解判断は易しい。で答えとしては⑧だが、これは落とせない基本的な問題
６ 荀子の資料を活用した純粋な■「読解力」問題。手順としては①～④をざっと読んで資料文に取り組む方が良いが、実際は①～④を読んでもどれが答えかは判断できない。しかし、それでも選ぶべき選択肢をさっと目を通した上で資料文を読むと、資料文では孟子の性善説そのものを批判していることが分かる。となると②か。スピードも必要なので、一つ一つ斟酌するのもどうかと思うが、一応②としておいて、②以外をそれぞれチェックしてみると、①は前段が違う。荀子は礼によって是正できると考えたはず。③後段が違う。孟子は性善説で、学問によって善が獲得されるとは考えていない。④前段が違う。荀子は善を身につけることができないとは考えていない。また後段も違う。孟子は学びを通じて礼儀を身につけることが出来るとは考えていない。性善説。ということで、一応「目星」をつけてそれ以外のものを怪しいのではとチェックしてみると、誤りが見えてくる。
７ プラトンの『国家編』とキケロの『義務について』の資料を読んでの■「読解力」問題だが、知識も必要とする。aソフィストは人間の欲求を重視、しかし、b自己の利益の追求は自然に反する・・・ここまでは読解だけでok。cは知識で「自然法思想」。答えは②。
８ ★会話文の空欄を埋める■「判断力・思考力」問題プラス■「知識」。これもaから確定しようとせず、bも目配りして、確定しやすい方から絞り込んだほうが良い。b は相対主義に陥ることなく、「本当の正義や真理の探求」をした思想家というニュアンスなので、④のプラトンが第一候補。①から③のbはいずれも相対主義的なニュアンス。で、④のaをみると、「正義が不可欠」といった趣旨の文章。これは会話文でも成立する。「でも、正義は相対的・・・という考え方に惹かれる人もいる」という呼応はごく自然。ということで、一応④で確定。ただし、確認のために①～③のaが会話文に入るかどうかたけでもチェックしてみると、②は正義の相対主義に同調した趣旨なので✕。①は絶対的な正義が存在しているという趣旨、③は普遍的な正義が規定しているという趣旨だが、ここではそのような絶対的・普遍的な正義の存在自体を論議するような会話ではないのではないか。しっくりこない。④の「共存のために正義が求められている」という趣旨のaが最もマッチする。ということで、正解はやはり④と決断したい。
９ 最澄と空也に関する単純な■「知識」問題。最澄は、「一切衆生悉有仏性」とあらゆる生きものは仏となる本性があると説いたのでアは✕。イの空也は正しい。③で易しい問題。
１０ ★日本の神々に関する■「知識」問題。④のアマテラスとスサノヲの絡みは知っているはず。スサノヲは姉アマテラスに会おうと高天原に行こうとするが、アマテラスはこれを警戒する。誓約（うけい）で、スサノオの心の内を占ってみようとした結果、スサノヲは神意を問うために高天原に来たのであって野心がない、「清き明き心」であることを証明したかたちとなったというもの。これを知っていれば迷わず④。①否定文は嘘が多い。先立つ神々の命に従って国土をうんだ。②この世をうんだのは「高天原」（神々の世界）のイザナギとイザナミ。それを命じたのは「天つ神」。「天つ神」は神々の総称だが、それらもまた占いによってそれよれ上位の、名前さえ明らかにされていない神々の意志を伺う。日本神話には唯一絶対の究極神は存在しない。従って✕。③和辻の「祀るとともに祀られる神」についての知識があったかどうか。祀るというのは催事などを行なって神の魂を鎮め、祈り感謝することだが、和辻は、アマテラスなどの天つ神は祀られる神であるとともに、先立つイザナキ、イザナミなどを祀る神であり、たんに祀られるだけの山の神などの自然神より尊貴だとされているところに、日本神話の神の特徴があるとしている。教科書の欄外あたりにも目を通しておきたい。
１１ 資料文を読みながら対応する■「読解力」問題ではあるが、法然と一遍について、正確な■「知識」の有無が分かれ目となった。資料を読み込むとaは3種類だが、③と⑥の「阿弥陀仏や極楽を心に想い描いて念仏する」は資料文とは趣旨が違う。Cは「往生の可否は信心と無関係・・・」が該当する。そうなると①か④。最後は法然か一遍かということになる。ところが、一遍については「踊り念仏」、捨聖というイメージが強く、ここで示されたような「信心さえ不要」という考え方に至ったといった知識をもっている受験生は少なかったのではないか。一方、法然は「専修念仏」というキーワードは入っているので、そこから、ここまでは言ってはいないが・・・法然かもねと、①を選んだ受験生が多かったのでは。一部、ここまでは言っていないのでは・・・と、えいやーと一遍を選んだ受験生もいたかも知れないが、この問題はやや酷であった。ただし、日本史組は一遍についての踏み込んだ知識を持っていた可能性もある。一遍は南無阿弥陀仏の名号札をもっているだけでよいという絶対他力を徹底した立場であった。答えは④。正答率は低かったものと予想する。
１２ 伊藤仁斎の「仁」についての■「判断力・思考力」問題。知識は必要ない。「我よく人を愛すれば、人またよく我を愛す」という文章に適ったものを選ぶだけ。②。これは易しい。
１３ 吉田松陰に関する■「判断力・思考力」問題。これも詳しい知識は必要としない。これは別の人物の思想だろうと思われるものが二つ、資料文に適ったものも二つは明らかに不適合。斟酌すると①となる。④は葉隠の思想、③は山鹿素行。ただし、②の「一君万民論」は吉田松陰の考えだが、bが明らかにおかしいので消去できる。
１４ 明六社のうち、森有礼、加藤弘之、西村茂樹の三人の■「知識」問題。日本史組以外は時間切れでこのあたりインプットできていなかったかも。アは、初代文部大臣で、日本で初めて婚姻届と離婚届を出した森有礼。イは、明六社の保守派で、西洋哲学と東洋儒教の一致点を日本道徳の基礎とすることを主張した西村茂樹。加藤弘之は東大初代総長で、スペンサーの社会進化論を紹介した人物。正解は②で簡単だが、手が回らなかった受験生も多かったはず。国家主義、社会主義あたりも同様だろうが、最後、インプットできていなかった人物を今一度洗い出し、漏れのないようにしておくことが必要・・・肝に銘じておきたい。
１５ ★西田幾多郎の■「知識」問題だが、ここまでの知識は酷というもの。西田哲学についてはそもそも難解で、ほとんどの受験生は、「純粋経験」や「絶対無の場所」といったキーワードあたりを何とかかんとか理解している程度かと思われる。リード文の日記にヒントがないかと読んでみたが、何もなし。「俯瞰」しながらこいつだという一文を選ぶしかない。①と②については「場所」が、主観か、客観かに分かれているが、西田が、「主客未分」の純粋経験を重視していたことを想起すれば、ともに✕かな?と判断できるかも。③と④の「絶対矛盾的自己同一」なんてなことは聞いたことがないかも知れないが、③のような「矛盾しつつも同一性を保つ」なんてなところは、いかにも西田的・・・などと判断できる受験生は、かなりの倫理好き。また、④は何やらヘーゲルのにおいがする・・・なども倫理好きぐらいであろう。ということで、答えは③だが、これは当てずっぽか、野生の勘で拾ったらラッキー。■「知識」問題というより、俯瞰して、総合的に斟酌する力があるかどうかが分かれ目であった。
１６ 生徒の書いた日記と三木清の『読書と人生』を資料とした■「判断力・思考力」問題問題。ただし、生徒の日記は長いがそれほど解答には参考にはならず、三木清の文章を読めば対応できる。これもbから埋めていくと絞ることが出来る。③④のbは不適合。となると①か②か。ところが②は「他者に向けられることで初めて問いになる」とあるが、自問自答もあるはずで、これはおかしい。となると①。こうした消去法で対応できるのでは。とりたてて三木清についての知識は必要としていない。国語的問題であった。
１７ マキャヴェリ、ラファエロ、ペトラルカに関する■「知識」問題だが、倫理の問題ではなく世界史の問題であった。世界史組からすれば楽勝だが、日本史・地理組は迷ったはず。マキャヴェリは〇、ラファエロは✕、ダヴィデはミケランジェロ。ペトラルカも✕。デカメロンはボッカチオ。なぜこのような文化史の問題が倫理で出題されたのか全く理解ができない。
１８ アダム・スミスの問題だが、とても易しい。ただし、政治経済を学習していればであって、もし倫理だけで、政治経済を学習していなかったら案外落としたかも。でも、さすがにこのような簡単な問題を落としたらとても痛い。②。
１９ 法や規範にかかわる西洋の思想家にかかわる■「知識」問題。アは「4つの制裁」とあるからベンサム。イは信託・革命権だからロック、ウは神の法と人間の法の調和とあるから、信仰と理性の調和を図ろうとしたトマス・アクィナス。易しいが、ウが少し迷ったか。グロティウスは、人間が生まれながらに持っている自然法は、神の法ではなく、理性によって捉えられるものとして考えた。正解は⑤だが、これも落とせない。
２０ カントの自由と道徳法則についての■「知識」問題。やや思考力も要請するがとても簡単な問題。③。
２１ パスカルの思想と資料文の解釈をからめた■「知識」問題ではあるが、実は読解力の有無が分かれ目であった。資料文を読むと、①と③が消える。となると②か④か。②は信仰を否定しているが、パスカルは信仰を大事にしていたという知識があれば消せる。答えは④で、「繊細な心情」あたりもパスカルのキーワードだと知っていれば、自信をもって選べたことと思う。なお、資料文の解釈が誤っていた①と③はともに前段は正しい。①愛の秩序を最上位にしていた③中間者と考えていた・・・しかし、これは判断しなくてもよい。資料解釈が違っていれば✕とした方が迷わないし、タイムパフォーマンスもよい。
２２ 現代思想からレヴィナスが出た。現役生はここまで間に合っていたか心配だが、当然出題が予想された重要な思想家である。伝統的な西洋哲学が自我を中心に据え、他者を自己に同化する「全体性の思想」であったのに対して、「他者」を倫理の中心に据える倫理学を開示した。自己とは異なる他者の「顔」に現れる他者のかけがえのなさと、「殺さないでくれ」と訴える呼びかけに対して、それに「応答」するという「責任」を果たすことで、倫理的な主体とし自己を回復することができると説いた。選択肢は教科書の記述とはやや違うトーンで書かれることが多いが、選ぶなら③か。表面的な勉強であれば、「顔」というキーワードに引っ張られて①か②かを選んだ危険性もある。差がついたかも。
２３ シェリングという授業では軽くしか扱わない思想家を取り上げたが、■「読解力」問題であり、シェリングに関する深い理解は必要ない。①が適合する。②～④はいずれも前段がもう誤りで、簡単に消去できる。受験生にとってはありがたい問題であるが、もっと深く考えさせるようなかたちにできなかったものなのか、というのが正直な感想。
２４ 生徒同士の会話を読ませることで回答させる■「読解力」が求められるものであったが、会話文が長く、エネルギーを要したかも。Aとbとやはり二つの文章を埋める問題であるが、まずは会話文を読まずに、問題をとりあえず斟酌する。ここでもまずbが選びやすい。論理的に考えて、④は消える。②も「強さを身につけ」などと言っていない。となると①か③か。で③はと言うと、aは「規範を考慮する必要はない」というのは明らかな誤り。一方、①のaは、「制約による調整」に加えて、「他者の自己決定との調整」、これはあり得ようが、そんなこと会話文の中で言っていただろうか?そこで会話文に立ち返ってみると、確かに「他者との対立から合意に向かう調整」という視点にも触れているではないか。よし①でよし。この程度の感覚で良いので決断してしまいたい。ここで時間をかけ過ぎるより、次の章へと向かったほうが得策。スピーディに情報を解読・処理する必要がある。漫然と会話文を読むのではなく、問題意識をもって、ここでは「他者の自己決定との調整」ということに触れていたかどうかという一点でチェックするという手法はぜひ参考にしてほしい。
２５ 現代の家族に関する用語の穴埋め。■「知識」問題だが、教科書にはない用語も。aはステップファミリー、bはアメニティ。ディンクスは子どもをもたない夫婦で、私のブログには掲載していたが、受験生が知っていたかどうかとなると疑問。アメニティは若者なら類推できたはずで、まさかユニバーサルデザインを選ぶことはありえない。易しい問題で落とせない。
２６ 青年期を論じた人物にかかわる■「知識」問題。イの心理的離乳は簡単。ホリングワース。ダミーのサリヴァンは、ヘレン・ケラーの家庭教師かと思いきや、やはり心理学者のようだが、受験生が知っているはずもなく意味不明の問題。アはいずれも「現代社会」では触れない、ミードとシュプランガー。シュプランガーは価値観と性格との関連性から６つの類型を示した教育哲学者。ミードは青年期がほとんどない地域があることを報告した文化人類学者。さて、「自我の目覚め」を論じたとなるとどちらか?知っていれば問題ないが、案外、野生の勘での勝負だったかも。正解は②で、シュプランガーの方。
２７ 資料と合致するものを選ぶ読■「読解力」問題。資料全体を読んで斟酌すると、論理的に飛躍がなく間違いではないというのは②のみ。①マシュマロ実験に対しては批判があり、①のようには言い切れない。③そのようなことは言えない。④家庭環境が大事とも言い切れない。指示に従って落ち着いて判断すれば間違うことはなかろう。
２８ ★センに関する知識と、モノカルチャーにかかわる知識が必要のため■「知識」問題ではある。正解は③でセンにかかわる記述は誤っているということだが、かなりの受験生は〇と判断したのではないか。「潜在能力を拡大させ」と言っているのだから、〇と考えてもおかしくない。しかし吟味してみるとセンの眼差しとは違う記述であることに気づく。潜在能力を消してみると、「経済の発展を促す国家の機能に着目して」「国家の機能」を拡大させるということになる。センはそのようなことを言っている訳ではなく、潜在能力を「人生の選択肢を広げるために必要な機能」として捉え、健康であること、教育を受けること等を重視している。従って、出題者はアを誤りと判断してほしかったようだ。だが、なかなかそのような判断はかなり難しいように思う。予備校の評価では「標準」とのことであったが、正答率は低かったとみる。
２９ 文化・宗教に関する「雑問」のように感じる問題だが、これも正答率は低いように思う。まず、イは「文化の優劣明確にすること」は「文化の共生」にはつながらず、✕。これは判断できる。ところが、ウは意味不明。でも流石にカルチャー・ショックではなかろう。「文明の衝突」か。これも✕だが、迷うかも。でもこれを✕とすると、選択肢から判断してアは〇となる。ホモ・レルギオーススは宗教学者エリアーデの人間定義。正しい。ただ、教科書には触れられているものの、そこまで有名ではない。で迷うと答えが見えなくなる。ここはイとウは✕、となるとアは自信はないけど〇という・・・選択肢を利用した解答で拾いたい。①。
３０ ロールズについての■「知識」問題。資料があり、難問かと思いきや、とても易しい問題であった。資料を読まなくても、前段だけでまず①が有力と判断できる。ただ④も間違いではない。しかし、資料文を読むと④は誤り。才能に応じては流石に✕。となると①。なお、②の後段も正しいが、前段が誤りなので斟酌する必要はない。この問題もできるだけ、タイムパフォーマンスを考えて、決断してしまいたい。
３１ 資資料を読み解く■「読解力」問題。正解は③だが、解説は加えない。終盤にこのような読解問題があること、想定していないと、かなりしんどいかも。でも、冷静になれば簡単。
３２ デューイは頻出だが、マッキンタイア、ボードリヤール、ソシュールといったところはレアな出題。■「知識」問題だが、現役生はここまで手が回らなかったかも。しかし、現代社会の倫理のように、思想家と思想内容の組み合わせがバラバラであるという、とても単純な問題。②のボードリヤールは正しい。①はポスト構造主義のドゥールズの思想。③はフーコー。④はレヴィ・ストロースの思想。デューイ、マッキンタイア、ソシュールについてはここでは触れ直さないが、現代思想については、たできるだけ早い段階で、自学自習でよいので触れておく必要がある。今後、倫理分野についてピッチをあげて掲載していくので、ぜひ、私のブログを活用してほしい。
３３ 最後にまた、しっかりと読み込まなければならないような■「読解力」問題が待ち受けていた。正解は④。4つも穴埋めがあり、一つ一つ丁寧にチェックしようとすると骨が折れる。その際、違和感を感じたものがあれば、一応、その時点で消していくという方向で、とりあえず解答案を絞り込む方法が合理的だと思う。これも解説はあえて加えないが、こうした読解・判断問題が、どうも5題前後ある。今後もこの傾向は続くものと思われる。これに対応するためには教科書でのインプット学習を12月までには終了し、それ以降、過去問や予想問題での読解・判断問題の演習に取り組む他はないということになる。 といってもそれは、解法のコツを確認する程度でしかない。 要は、公民科だけでなく、国語やその他の教科学習で、あるいは読書で、いかに情報処理能力や論理力を鍛えておくか・・・というところに帰することになる。
以上、倫理2023を簡単に確認してみたが、知識の必要のない■「読解力」問題もかなりの比重を占めていた。一方で、レアな部分についての知識も分かれ目となるような問題も少なからずあった。 まずは、教科書を読み込み、倫理分野を大雑把に鳥瞰したい。授業を待っていてもそれは無理。自分で眺め、そして分からないことがあれば教員に質問しよう。 少なくとも、倫理は決して難しくはない。スキマを利用しながら、また授業の前に「予習」することで、タイムパフォーマンスを意識しながら、かつ高得点を狙って学習したい。
