【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【コラム】令和7年度共通テスト試作問題 公民科目の注目ポイント

昨日、共通テスト試作問題「公共」について簡単に触れた。

fukuchanstudy.hatenablog.com

 

2022年度から「現代社会」に代わって「公共」の授業が始まった。今回は、「政治経済」と「倫理」を垣間見たい。問題や解答は以下からダウンロードできる。

www.dnc.ac.jp

 

★「公共・政経

 「公共」については、政経あるいは倫理と組み合わさった場合、前回見た大問4つのうち、2つがセレクトされた形となっていて、問題量としてはわずか8問。

 これに対して、付加された「政経」は大問4つ、計26問。現在の受験生は、直接関係がないので気にする必要はないが、公共が1/4、政経あるいは倫理が3/4というバランスのようだ。その「政経」であるが、難易度は高くない。むしろこれまでよりも簡単かなという印象。

○注目したい問題①

 [ 13 ](第3問 問5、17ページ)

 最高裁を「小法廷」で開催できるか否か等に関する「規定」を読み込んで、論理的な判断ができるかどうかについての問題。

 「規定」がなければ単純な知識問題であるが、このような知識など誰も持ち合わせていないので、難問・悪問となる。ところが、それを避けるため「規定」自体は提示される。しかし、問題はこの「規定」がまどろっこしいこと。結局、最終的には「読解力」が問われる問題となる。確かに現在でも、分かりにくい「規定」は多い。それを「読解する力」程度はもっていてよ・・・といったことか。正解は②。

 

○注目したい問題②

 [ 25 ](第5問 問5、31ページ)

 「インターネット時代の世論」に関する文章を速読即解して、「そのような主張をしているかどうか」を問う、読解力問題である。実は、私は、「インターネットと人権」をテーマに研修会を実施することを一つの業としている。ここで触れられたエコーチェンバー、フィルターバブルといった言葉は承知しているし、講義の中でも触れている。要は、知識があるかないかではない。「そのようなことを言っているかどうか・・・」という、これまた論理的な読解力の問題。ある意味、楽といえば楽だが、逆に足元をすくわれかねられない怖さもある。正解は⑤。

 今後は、こうした「読解問題」が一定数占めることになるであろう。知識の有無は問われていないので、ある意味、楽に対応したい。

では、次に「倫理」。

 

★「公共・倫理」

 「倫理」自体は25問。かなり易しい。ただし、青年期に関する心理学者は現社では扱われていない人名群が列挙されたり、またノージックあたりの現代政治学者が登場したりと、いささかマニアックなところもある。

 

○注目したい問題①

 [ 30 ](第6問 問2、39ページ)

 「倫理」というより「論理学」。ただ、こうした論理的な「ずれ」に関する感覚は必要不可欠なので、意識して身につけておきたい。論理的に導かれない意見は②

 

○注目したい問題②

 [ 33 ](第6問 問5、43ページ)

 これも読解力。この問題の落とし穴は、前の問題の文章を手がかりにしないといけないのに、それを外してしまい、資料文でもって判断するという、基本的なミスを犯しかねないというところ。前の文章と照応すれば、③が解答だと判断できるはず。

 

 なお、「公共」の問題の中で、「合成の誤謬」にかかわる問題があったが、「論理的な誤謬」に関して、具体例を整理して示すといいかなと思ってみたりした。現在の受験生は、この点はあまり意識しなくてよいと思うが、かなり「ロンリ」が重視されているような印象をもった。

 

以下、「公共」の注目したい問題を再掲しておく。

 

★「公共」

○注目したい問題①

 [ 9 ](第3問 問1、62ページ)

 行為の動機となる「公正さ」からその行為が正しいかどうかを判断する考え方Aと、「結果や効果」から行為が正しいかどうかを判断する考え方Bとに分けたとき、考え方Bに当てはまるものを具体的に選ぶ問題。カントが「動機」を重視、功利主義者が「結果」を重視したことは承知のとおりだが、具体的な考え方に対して、それが「動機」重視なのか、「結果」重視なのかを判断する「思考力問題」。正解は②であるが、これに納得できるかどうか。

 なおこの問題は、まずは、道路の使用に対して料金を徴収する行為である「ロードプライシングという施策」を具体的な例として引き合いに出しながら判断させている。「渋滞しそうな時間帯やルートの料金を高く設定したり,利用者数を増やしたい時間帯やルートの料金を低く設定したりする方法などが採られる取組み」と説明した上で、これが「公正」を重視したものなのか、「結果」を重視したものなのかが問われる。結果としての渋滞の緩和が目的であって、その結果として料金がある意味では不公正になるということになる。なお、「公正」という考え方もロールズあたりとも絡めたり、あるいは「合理的配慮」を端的に理解できる「野球場のファンスの前にいる子どもたち」に関するイラストなどを通じたりしながらもその意味合いを理解しておきたい。最重要キーワードの一つである。

 

○注目したい問題②

 [ 10 ](第3問 問2、63ページ)

  「合成の誤謬」に当てはまる事例を選ばせる問題。受験生は初めて目にした言葉かも知れないが、問題文中にあるように、「自分だけ,あるいは,一企業にとって合理的で正しいと思う行為が, 全体としてみた場合には正しいとは限らないことがある。」という意味で、「経済学では,その現象を合成の誤謬として説明する」と、かなりポピュラーなものだというニュアンスで取り扱っている。正解は①で事例3つとも該当するという、解答としては比較的たどり着きやすいものではあったが、初見だと自信がもてなかったのではないか。

 このように、教科書には出ていないけど、経済学では結構大切な考え方に関連して思考力を図ろうとする問題が最近定着しつつある。

 次の共通テストでは「合成の誤謬」は出題される訳はないが、「トレードオフ」や「限界効用」「インセンティブ」あたりは狙われる可能性がある。特に「インセンティブ」あたりがまだ問われていないので、予想問題を作って、「深める」コーナーに貼り付けておこうかと思う。

 

○注目したい問題③

 [ 16 ](第4問 問4、72ページ)

 ここでは「公正」とともに「効率」という重要なキーワードからの判断がどのようなものとなるか?という問いがなされた。社会課題を解決するための具体的な対応策に関する文章から判断するもので、良問である。