【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【2023共通テスト】倫政(政治分野)の総括(解説と分析)

倫政を予想した者としての総括
倫政のうち、「政経分野」のみ取り急ぎ解説をする。問題は下記リンクなどから入手してほしい。政治分野は第5問題(140ページ)~。

www.47news.jp

mainichi.jp

残念ながら、安保理憲法改正社会保障なども出なかった。部分的には当たった問題もない訳ではないが、期待に反してしまった感は否めない。

100勉強して2、3しか出ていないので、あんなに勉強したのに・・・と思いをもった受験生もいるかも。でも、きっと将来役に立つはず。

以下、追試験受験生と来年の受験生のために、各問題に簡単な解説を加えておく。

★が勝負問題。

 

 17 日本の都市の過密化と地方の過疎化の経緯や現状についての■「知識」問題。①が明らかな誤りのため、易しい。
①過疎・過密の問題は高度経済成長期から生じていた。「日本列島改造論」あたりの知識があれば、即答で✕。
限界集落、④コンパクトシティあたりも頭に入っていたはず。
③の「まち・ひと・しごと創生法」については知らない受験生もいたはず。
でも、これは括弧に入れてしまい、明らかに誤っている①を選べば事足りる。

 

 18 地方財政についての■「知識」問題
これも、③の地方交付税は、国庫負担金と違って「使途を限定されずに交付される」という超頻出事項さえ頭に入っていれば、他の誤りをすべてしっかりと見つけられなくても正解として選ぶことができる。易しい問題であった。
①否定文はあやしい。財政再生団体は北海道の夕張市のみであるが、「ない」訳ではない。
ふるさと納税所得税の軽減。消費税ではない。この程度は気づきたい。
④これはやや悩むかも。ただ、地方のことは地方でという流れがあるなか、怪しいと判断したい。「認可制」から「事前協議制」に変わった。地方自治の正誤問題73に掲載してあった。
でも、あくまで③は正しいので、こいつは括弧に入れてしまい、ぶれないで③を。

 

 19 地方公共団体NPO、中小企業の■「知識」問題
bは〇、Cは✕。これは簡単に判断できるはず。ところがaについては普通公共団体と特別地方公共団体があることを私自身は触れたことがない。この「知識」を問うのは酷というもの。ただし、教科書によっては欄外に説明があるものがある。直近に欄外のみざっと読み込むという勉強方法もあり、これで目を透していた受験生は拾えたかも。ただし、問題文が「多様な主体」ということなので、地方公共団体にも複数あろう、となると間違いではないかも・・・といった大局観から〇と決断した受験生もいたかも。いずれにせよ、四択ではないので、正答率は低くなったかと思われる。正解は④。

 

 20 リサイクルの状況の■「計算」問題。政治経済の問題というより、算数ができるかどうかという程度の、肩透かしの問題ではなかった。地域A、地域Bともにリサイクル率は高くなっている。で、問題は国だが、当初、私自身は「国全体」については、どう考えてもデータがないので判断できない・・・ということで「国全体」というものを捨象して④を選んでしまったが、これは早とちりであった。国は「地域Aと地域Bの二つの地域から構成される」という規定が問題文にあるではないか。で、改めて計算してみると、国全体としてはリサイクル率がアップしていないではないか・・・地域A、地域Bいずれもアップしているのに・・・ということで、当初は、「高校生を少しおちょくった感が否めない」としていたが、案外と悩ませる問題であった。④。

 

 21 日本国債保有者の構成比と保有高のグラフを用いた■「知識」問題
日銀の保有比率が高まっていることに着目し、新規国債の日銀引き受けが禁止されているということと、金融緩和政策の買いオペによって日銀の国債保有高が増加しているという知識があれば簡単に答えられる。実はとても易しい問題。私のブログでもいろいろなところで何度も触れている。これを落としてはいけない。

 

 22 ★民間最終消費支出と民間企業投資の増加に関連した■「判断力・思考力」問題
一見難しそうに思うかも知れないが、それぞれの意味合いを理解していて、論理的に考えれば間違うことはなかったはずだが、案外、できなかったかも。要は、増加額としては「消費」より、「投資」の方が少し多い。でもそれぞれの母体の大きさが違えば、増加率も同様になるとは限らない。もし「投資」の母体が「消費」より一桁数値規模が大きければ、増加率は「投資」の方が大きいとは言えない。・・・このように考えてやり、では、どちらの規模が大きいかと言うと、知識として消費>投資を知っていれば問題ないが、知らなくても「感覚」としてそのようにも判断できるのではないか?無論、「消費」が大きく投資は少ない。となると、正解は①。消費より投資の方の増額が大きいが、母体自体は投資は消費より小さいから、投資の増加「率」の方が高いと・・・論理的に言いえる、ということである。
数値を解釈する論理的「誤謬」にかかわる力、あるいは「推測する力」をみようとしたもので、今後、同様な問題が作成される可能性もありそうだ。

 

 23 ★ロシアの侵攻に関する問題を期待したが、パレスティナ問題だった。これも一時激化していたので出題の可能性は予想していたが、政経で出るとは意外であった。
イが、ヨルダン川西岸か、ゴラン高原かが悩ましかったか。アのオスロ合意、イはイスラエル政府。典型的な■「知識」問題で、正解は④。勉強量で差がついたかも。

 

 24 安全保障の考え方に関する■「知識」問題
国際連盟が「勢力均衡」政策の失敗を反省し「集団安全保障」をとったこと、また、ケロッグ・ブリアンの「不戦条約」が第二次大戦前にできたけど、第二次を防げなかったこと。このあたりの基本的な知識があれば③を選ぶことができたはずである。
イは「戦争の放棄を目的とした」とあるから、国際人道法というよりやはり不戦条約かな。

なお、ロシアのウクライナ侵攻が2月末。このころブログの時事問題コーナーで不戦条約について「日本、ドイツ、ソ連も批准したが、「自衛のための戦争は可能である」という道を残してしまい、また「侵略」をどこが認定するのか規定がなく、「違反に対する制裁」についても触れられていなかった。このため理念的規範にすぎないと考えられ、結局、第二次世界大戦の勃発を防ぐことができなかった。」という文章を掲載しておいたが、まさにロシアのウクライナ侵攻を意識した、ある意味「時事問題」であった。

 

 25 ★直近に、これまでほとんど触れられていなかった日本の安全保障が出題される予感がするとして、受験生に注意喚起しておいたが、拾えたであろうか?■「知識」問題
①日本の周辺地域「のみ」から、一定の条件下、自衛隊が地理的な制約なしで海外どこでも米軍などを支援できるようにした(重要事態安全確保法)。
自衛隊員の防衛のため「のみ」から、武器をもっての「かけつけ「警護」」も可能に。
③逆(よく常套手段として使われる手法)で、武器輸出三原則から防衛装備移転三原則。
④は正しい。いずれも安部元首相時代のもの。
この問題あたりで差がついたかも。

 

 26 「委任の連鎖」「責任の連鎖」といった聞きなれない言葉や、フローチャートが掲載されているが、何のことはない、簡単な問題である。難しそうに装っているだけ。bの収入支出の提出は「内閣」の責任。Cの弾劾裁判所の設置は「国会」の責任。実はとても基礎的な■「知識」問題であった。

 

 27 時事的な■「知識」問題。18歳成人に伴って、犯罪についてはどう考えるかということで、18歳と19歳については「特定少年」とし、成人だけれど引き続き少年法を適用するという知識があったかどうかが分かれ目。かりになくても、ウが14歳だとすると、「引き続き」少年法を適用するという、「引き続き」が意味不明になる。・・・意味が分かるであろうか?言い換えれば、18歳・19歳だから「引き続き」ということになる・・・ということである。アとイについては常識で、大学入試問題とは思えないようなもの。正解は⑥。

 

 28 判例の読解問題。■「判断力・思考力」問題。判例1は「表現の自由」は特に重要な権利。判例2は「報道の自由」については保障されていることに触れたもの。正しいのは③。「国民が国政に関与する上で必要な判断資料の提供に寄与するため」という部分も正しい。①「個人の利益のために」ではない。②確かに「公共的事項に関する表現の自由」を重要視はしているが、個人の主義主張の表明を否定してはいない。④「事実の報道の自由」も明記している。易しい問題だった。

 

 29 ★1972年の国連人間環境会議から50年。予想していた環境問題が出題された。ただし、これは環境と開発にかかわる会議の「並べ替え問題」で■「知識」問題だが、cの「持続可能な開発に関する首脳会議」とdの「国連ミレニアム宣言」の前後関係がややつまっていて間違えたかも。bの1972年のストックホルムでの国連人間環境会議が一番古いので③か④。aの1992年のリオでの国連環境開発会議は判断しなくてもよいことになり、結局cかdかの問題。

ここで「ミレニアム」という言葉の意味を知っていたかどうかが分かれ目となる。1000年の区切りということだから2000年のこと。で、ヨハネスブルクは10年単位の会議の2002年のもの。成果はさほどなかったのでインプットされていなかったかも。

なお2012年は再びリオで開催、環境と開発に関する国連会議(地球サミット)から20年目にあたるため、「リオ+20」とも呼ばれた。cとdの順を聞くのはやや酷。1992年のリオでの地球サミットを中心とした問題が王道だが、点差を出すためか、いささか細かな問題となった。

 

 30 京都議定書とパリ協定の■「知識」問題。パリ協定は予想が的中と言うより、出題されないとおかしいほど、これまで不問にされていた重要な問題。文章が長いが、これは④を選びたい。おそらくほとんどの受験生が正解したと思われる。

 

 31 ★国際機関の仕組みについての■「知識」問題だが、勝負問題の一つであった。これはぜひ拾いたかった。
①はとりあえず括弧にいれる。
③は「二者」じゃなかったはず。第三者もでは・・・と判断し、とりあえず✕。
④は明らかな✕。米英仏中ロ。ロシアが安保理に入っているため、今回のウクライナ侵攻に対して安保理が結束できなかった。

で、問題は②の判断。実は、まさに時事問題で昨年4月国連の総会が、ウクライナでの「重大かつ組織的な人権侵害」を理由に、人権理事会での理事国としてのロシアの資格停止を決議したこと・・・このニュースを知っていたかどうか、これが分かれ目であった。私のブログでは国際刑事裁判所のことは詳しく取り上げたが、どうも、この点は触れそびれていたようだ。

なお、①は日本は批准していない。そのため選択議定書で示された人権侵害を受けた時の「個人通報」については保障していない。個人通報制度は国家による人権侵害を国連に訴えることができるというもの。「司法権の独立を含め、司法制度との関連で問題が生じるおそれがある」との政府見解だが、OECD諸国では日本だけが唯一、何らの個人通報制度をもたない国だそうだ。と言うことで、かなり知識をもっていないと一つ一つの〇✕は難しいが、今回の場合、忙しい中「時事」を追っていたかどうかが分かれ目であった。

 

 32 対外債務に関する■「判断力・思考力」問題。「指示」を読み、意味を理解し、表をしっかりと見ながら判断する「我慢強く情報を処理できるかどうか」が問われた問題。実は聞かれていることは大変易しい。一番大切だったのは「あせらないこと」。あせるとcあたりを〇と判断してしまう。⑤を選んでしまった受験生もいたのではないか。

 

以上、16問のうち12問が■「知識」問題。8割近い。現社より知識問題の比重が高い。逆に言うと、知識を固めると何とかなるということでもある。