01 開発途上国と先進国との経済格差とそれに伴う諸問題は南北問題と呼ばれ、開発途上国間の経済格差とそれに伴う諸問題は、南南問題と呼ばれる。
- 〇南南問題も重要で、最貧国については相当な支援が必要である。
02 南北問題についての協議を行うために、UNCTAD(国連貿易開発会議)が創設された。
- 〇1964年に第一回総会。
03 プレビッシュ報告では、世界的な自由貿易体制の実現が、発展途上国の貧困問題の解決に寄与するとされた。
04 一次産品については、世界市場における自由な取引に委ねるのではなく、価格安定措置を講じるべきであるとの主張が発展途上国からなされてきた。
- 〇「特恵関税制度」の導入も認められた。
05 先進国と発展途上国とを比較した場合、慢性的な飢餓状態にある地域を含む発展途上国の方が、人口増加率が低くなる傾向がある。
- ✕むしろ貧困であるがゆえにそれから脱却するために子どもをたくさんもうけようとするため人口が増える。
06 低所得国などに対する食糧支援に取り組んでいる国連機関は、世界食糧計画(WFP)である。
- 〇1961年発足。
07 国連は、発展途上国への開発援助を活性化するために、DAC(開発援助委員会)を創設した。
- ✕DACはOECDの組織。1961年設立。
08 発展途上国への技術協力と開発のための資金援助を行うために、UNDP(国連開発計画)が創設された。
- 〇1966年発足。これが国連の国際協力に関わる中核組織。
09 一次産品に特化したモノカルチャー経済をとっていた多くの発展途上国では、戦後の貿易自由化により、交易条件が改善された。
- ✕依然としてモノカルチャー経済である国も少なくない。
10 資源ナショナリズムの動きを受け、資源を有する発展途上国は、石油や銅など資源関連の国営企業の民営化を進めた。
- ✕逆で「国営化」。
11 国連は、発展途上国の天然資源に対する恒久主権の確認を目的として、NIEO(新国際経済秩序)宣言を国連資源特別総会で採択した。
- 〇1974年。1970年代に資源ナショナリズムの動きが高まったことは頻出事項。
12 先進諸国は、OECD(経済協力開発機構)の中にDAC(開発援助委員会)を設け、国際的規模でODAの充実を図っている。
13 日本のODAは国連が設定した対GNP(国民総生産)比0.7%という目標を下回っている。
- 〇0.3%程度である。防衛費は1%から2%へと拡大するとのこと。
ただし、1989年からの10年余り、日本は世界一のODA(政府開発援助)供与国としての地位を誇ったことはあった。現在は低迷。
14 日本のODAは、被援助国の産業基盤の形成に寄与したが、その反面で住民の生活基盤や環境を破壊したという問題も指摘されている。
- 〇日本のODAも相当変容してきたので、このような文章が出されるとは思えないが、かつては、このような批判が強く出されたこともあった。
15 ODAは、国際社会に対するサービスとして位置付けられ、そのため国際収支統計では、貿易・サービス収支に算入されている。
16 ODAは展途上国に対する資金援助を目的としているため、専門家派遣などの技術協力は含まれない。
- ✕青年海外協力隊による技術協力もODA。
17 青年海外協力隊による技術協力は贈与として位置づけられる。
- 〇贈与には無償資金援助と技術協力がある。
18 日本のODAの贈与比率はDAC平均より高い。
- ✕日本のODAの贈与比率は50%をきって極めて低い。
19 ODAは発展途上国における経済発展の支援を目的としているため、資金の返済を必要とする円借款は含まれない。
20 貸付の金利や返済期間が厳しいと、グラント・エレメントという指標は低くなるが、日本は比較的緩やかな条件で貸し付けているため、グラント・エレメントは高い。
- ✕日本のグラント・エレメントは低い。返済条件は必ずしも厳しめということはないようだが、贈与が少ないことが関連している。なお、贈与の場合はグラント・エレメントは100%となる。
21 日本のODAは援助資金による物資の調達先などに条件をつけないアンタイド比率については、かつては低く、紐付き援助と揶揄されたことがあった。
- 〇現在はDAC諸国の平均を上回り、9割型はアンタイドである。
22 援助額の対象地域別割合をみると、中南米地域に対するものが最大となっている。
23 近年、中国がアフリカへの開発支援、資金支援を急増させている。
- 〇ニュースで聞いたことがあるはずだが、アフリカの資源確保を目的としてで中国企業がアフリカにインフラ支援等を加速化している。無償援助額も多いが、貸付額も多く、アフリカ諸国を借金漬けにするのではないかという危惧さえささやかれている。
また、シルクロードの現代版「一帯一路」と呼ばれる中国主導の経済圏という動きも聞いたことがあるかと。「アジアインフラ銀行」を作り大量の融資を準備している。ただ、ロシアのウクライナ侵攻で部分的には頓挫している面もあろうが、いずれにせよ、今後は中国がさらに経済的に拡大してくる。
なお、こうした中国の対外的な支援はODAに位置づけてよいのだろうか?素朴な疑問をもつ受験生も多いハズ。しかし、これはODAとは一線を画すとされている。中国は、自国による援助を開発途上国間の相互支援(南南協力)と位置付けているとのこと。しかし、受け手にとってはどうであろうと、大量の資金を供給してくれる中国はありがたい国ということになる。
24 2015年に「開発協力大綱」が策定され、そこでは、開発協力は未来への投資として意義のあるものとされた。
- 〇「未来への投資」あたりの穴埋めができるように。意味が分かるであろうか?10年、20年先を見据えた、成長の糧になるようなものであるが、相手国だけではなく、日本の「国益」に資するものと捉えられている。
25 「開発協力大綱」では、開発途上国と日本が相互に成長し発展する双方向の協力をめざすとされた。
- 〇「国益」に叶うことも重視され、「双方向の協力」という言葉が打ち出された。また、最貧国への支援だけでなく、「成長した国への支援も可能に」。
26 日本は、アジア太平洋地域の経済交流を促進するため、APEC(アジア太平洋経済協力会議)に結成当時から参加している。
- 〇1989年というかなり早い段階での経済協力であることを確認しておきたい。
27 開発途上国のなかでも、一人当たりの所得が特に低く、最低限必要な栄養など基本的な生活水準が満たされていない国を、後発開発途上国(LDC)という。
- 〇アフガニスタンなどもこれに該当する。
28 国連児童基金(UNICEF)は、紛争や自然災害の発生した地域の子どもに対して、栄養補給や医療などの援助を行っている。
- 〇UNICEFと UNESCOの違いぐらいは分かるよね?
29 世界の食糧問題を解決するために設立された機関が国連食糧農業機関(FAO)で、栄養不足人口の半減などを目指し活動している。
- 〇Food and Agriculture Organization of the United Nations
30 1990年代には、国の開発の度合いを測る指標の一つとして、平均寿命、教育水準、失業率の三側面から算出される、人間開発指数(HDI)が用いられるようになった。
31 国際人口開発会議では、人口問題の対処には、女性の地位の向上が必要であることが確認され、リプロダクティブ・へルス/ライツ(性と生殖に関する健康・権利)の実現に向けた取組みが行動計画に盛り込まれた。
- 〇1994年に初めて開催。人口に関する問題を、経済、社会、政治、環境をはじめ、女性の健康等とのかかわりから、総合的に議論し、人口問題と開発問題は切り離せないことが示された転換点となった会議。
32 フェアトレードとは、発展途上国の人々の生活を改善するために、発展途上国産の原料や製品について公正な価格で継続的に取引することである。
- 〇フェアトレードも、我々が比較的楽にできる支援行為である。
33 マイクロクレジットとは、貧困層の自助努力を支援するために、低所得者に少額の融資を行うことである。
34 持続可能な開発目標(SDGs)では、貧困や飢餓の撲滅に加えてジェンダー平等の実現などの達成すべき目標が設定された。
- 〇SDGsの17の目標は、試験に出るとか出ないとかではなく、一つ一つ確認しておきたい。「誰一人取り残さない」という想いも共有したいものだ。多様性(ダイバシティ)を尊重し、インクルーシブな営みがある社会の創造を・・・若者よ。希望を抱いて。・・・以上、これをもって経済編の終了とする。お疲れ様。