【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【速修】経済の正誤問題 ⑧日本経済のあゆみ(5)2000年代

01 長引く不況と戦後最悪の失業率を背景に、政府は経済の活性化を図るために、規制緩和を推進したり、企業や大学と連携してベンチャービジネスを育成したりする政策を実施した。
  • 〇長引く不況の中、日本は「新自由主義政策」を推進することになる。2001年に「改革なくして日本経済の再生はない」と呼号して登場した小泉内閣(2001〜06年)のもと、構造改革規制緩和等の政策が推進された。後段もその一例。

 

02 規制緩和によって経済を活性化するために、規制の特例措置を定めた構造改革特別区域の創設が認められた。
  • 構造改革特別区域地方公共団体が当該地域の活性化を図るために地域の特性に応じた特定事業を実施したり、その実施を促進したりするものをいう。医療、教育、農業など、各分野の構造改革特区が設けられ、特区内において当該分野の規制緩和が行われた。ただ、これがどの程度の意義があったのかは疑問が残る。

 

03 高速道路の建設・管理を行ってきた日本道路公団など道路関係4公団は、累積債務や事業の非効率性などへの批判を受けて、民営化された。
  • 〇80年代に三公社が民営化されたが、公共サービスである高速道路も民営化が図られた。民営化でコスト削減を図るとともに、利便性の向上を図ろうとした。

 

04 郵政民営化法案が可決され、郵政三事業の民営化が決定した。
  • 〇「財政投融資」を想起したい。かつては「郵便貯金」と年金積立金を原資としていたため規模が大きく第二の予算とされていたが、現在は財政債を発行して規模が縮小したということ、頭に入っていただろうか。つまり、郵便貯金を政府の原資としていた訳だが、これを民間に開放し、また民営化自体でコスト削減と多様なサービスの実現をめざそうとしたもの。この「官から民へ」という大きな構造改革への期待感から、2005年の衆議院選挙では自民党が圧勝した。

 

05 衛星放送やケーブルテレビなど放送メディアが多様化したため、日本放送協会の特別の地位は廃止され、他の民間放送事業者と同等となった。
  • ✕こんなとんでもない問題が出題されても動じないように・・・

 

06 2000年代は、低成長ながら戦後で最も長い期間にわたる好景気となった。
  • 〇20002年から2008年まで「いざなみ景気」と命名された戦後最長の好景気となった。高度経済成長期は「いざなぎ」、今回は「いざなみ」と似たような名称で紛らわしいが、国造り神話の女神から命名
    しかし、都市部だけの景気回復であったことや、経済成長が緩やかであったことから実感なき好景気であった。「みえ」を張ったものと覚えておこう。

 

07 2008年に生じた世界金融危機の影響を受けて、経済成長率は戦後最大のマイナスとなった。
  • 〇「いざなみ景気」も終焉。1929年の世界恐慌以来、100年に一度の金融危機と言われた。その背景については別のところで触れるが、これまで試験ではほとんど取り上げられていないが、そろそろ触れられるのではないか。
    なお、政治的には自民党から民主党への転換の引き金となったことも併せてインプットしておこう。民主党は「コンクリートから家計へ」と公共事業の削減へと舵をきった。

 

08 2010年度、中国がGDPで日本を上回った。
  • 〇日本は42年間にわたって保てきた世界第二位の経済大国の地位を中国に譲ったことになる。

 

09 世界金融危機や東日本大震災の影響を受け、2011年貿易収支が赤字となった。

 

10 第二次安倍政権において、「財政出動」「金融緩和」「成長戦略」の「3本の矢」で、デフレと円高から脱却し、名目3%の経済成長達成のため強気な経済政策案が掲げられた。
  • バブル崩壊後に続く不況はデフレが原因と捉え、インフレターゲット物価上昇率の目標)を2%に設定、それが達成されるまで、無制限の量的緩和策をとることを決定するなど、大胆な金融緩和が推進された。
    また、東日本大震災からの復興促進・国土強靭化を軸として、老朽化した道路や橋、学校の耐震強化など、公共事業も拡大させた。

 

11 アベノミクスによって、物価の上昇とあわせて賃金も上昇し、景気が回復した。
  • ✕確かに数字上は、戦後最長だった「いざなみ景気」の73カ月には届かなかったが、「アベノミクス景気」は2012年~18までの71カ月と、高度成長期のいざなぎ景気の57カ月を超え、戦後第2位の長さとなった。ということで、景気が回復したのは確か。しかし、前段の「物価の上昇」は誤り。
    また無論「賃金の上昇」もなし。株式を保有する一部の富裕層にとっては実感はあったかも知れないが、大方は実感なき経済回復だったのではないか。

 

12 現在、総人口に占める65歳以上の人口の比率は、20パーセントを超える状態にあり、生産年齢人口の減少による経済成長の鈍化が予想される。
  • 〇2020年は29.1%。もう30%が近い。定年延長、定年後も働く、外国人労働者に依拠する・・・様々な対応が検討されているが、受験生諸君・・・どうすればよい?

 

13 ドル建てで示した日本の対外直接投資額が戦後一貫して最も多い地域は,アジアである。
  • ✕一貫といった言葉は疑ってかかろう。実は、アメリカ・ヨーロッパへの投資が主。教科書に推移のグラフがあるので確認しておこう。まだ出題されていないグラフなので、ぜひ目に焼き付けておこう。
    なお、アメリカからすれば、日本が最も投資している国だそうだ。貿易相手は中国だけども、投資は日本とのこと。

 

14 日本の企業や政府、個人が海外に持つ資産から負債を引いた「対外純資産残高」はマイナスである。
  • ✕日本は、30年間も、世界最大の対外淳資産国である。経常黒字というフローが蓄積された結果でもある。特に近年は「証券投資」より「直接投資」が増えているとのこと。このあたりも出題される可能性はある。「海外企業の買収」ということであるが、このあたり日本国内ではあまり報じられないので気づきにくいが・・・
    ただし、現在急激な円安で円の購買力が弱まったので、この動きはブレーキがかかるかも。

 

15 外国からの直接投資受入額は,EU(欧州連合)やアメリカより日本の方がかなり高い水準にある。
  • ✕日本の市場が小さいため、「受け入れ額」は当然アメリカに及ばない。

 

16 現在、急激な円安が進み、製造業の海外移転が加速化されている。
  • ✕逆である。国内回帰の動きが少し出てきた。と言ってもこれが定着するか不明であるし、来春の試験にはもちろん出題されないが、ただし、サプラ・チェーンの確保の面からも、半導体などは国内で製造する動きが強まっているので、こうした現在の方向性だけは知っておきたい。