【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【今日の時事問題】日本経済の歩みを俯瞰してみよう

 

現在「三つに括って覚える・経済編」をアップしつつある。

 

fukuchanstudy.hatenablog.com

 

これまでのコラムでは、日本の円の購買力が低下してきていることなどに触れてきたが、ここで受験生のために日本経済史を簡単に俯瞰しておきたい。最初に定期試験で作成してきたリード文を提示する。そこに簡単な穴埋め問題も入れておいたが、とりあえず読み、その後、重要年号を確認して、最後に簡単な「並べ替え」問題に取り組んでほしい。
既に政治史についても簡単な俯瞰をしてみたが、「並べ替え」問題は、差がつく。最後に付け焼きで覚えても間に合わないかもしれないので、この時期ぐらいから、少し意識して、政治や経済の大きな「流れ」をインプットしておこう。

 

日本経済の歩み

Ⅰ 戦争で国富の3分の1を失った日本は、GHQの指導で経済の民主化を図るとともに、基幹産業である鉄鋼や石炭などに、限られた資金や原材料、労働力を重点的に投入する(  )方式によって復興に着手した。また資本主義経済圏の一員として再出発を図るため、アメリカのテコ入れも含めて様々な体制整備が図られた。そうした時、1950年朝鮮戦争がおこり、日本はその特需景気により1953年には戦前の水準に復帰することができた。

 

Ⅱ いや、それどころか、以降、比類のない「高度経済成長」をたどることになった。この間、東京オリンピックが開催された1964年にはIMF14条国から8条国に移行するとともに、「先進国クラブ」とも呼ばれる(  )にも加盟するに至った。高度成長期後半の「いざなぎ景気」の時期、1968年には、国民総生産は当時の西ドイツを抜いて西側世界では第2位となった。貿易立国として、

 

Ⅲ その日本に、大きな試練が訪れた。アメリカが1965年から本格的に介入した(   )戦争が泥沼化し、その戦費により経済が疲弊すると、1971年いわゆるドルショックが生じた。そして、1973年からは固定為替相場制から変動為替相場制へと移行することになると、これまでは強いドルに支えられていた日本であるが、その景気にかげりがみえることとなった。さらに同年のOPECによる石油戦略もあり、日本経済は苦境に立たされた。

 

Ⅳ 1979年にもイラン革命の影響から第2次オイルショックが生じて、資本主義各国は再び景気が悪いのに物価が上昇するという(  )と呼ばれる現象に悩むことになった。しかし、日本は、技術革新や省エネで他の先進資本主義国よりもいち早くこのハードルを越え、「安定成長」を続けることになった。

 

Ⅴ 一方、アメリカが「双子の赤字」と呼ばれる現象に悩み、経済的な停滞状態に陥っていた。そのため、日米間の貿易摩擦はさらに経済摩擦まで高まった。ドル高を是正すべく、1985年、先進5か国が協調して外国為替市場に介入し、円高・ドル安を容認するという「(  )合意」が取り決められた。その結果、一時急速に円高が進んだが、その後為替相場も安定を取り戻し、平成景気と呼ばれる好景気となった。この平成景気では、余剰資金が投機され、いわゆる「バブル経済」が生み出され、1991年当初まで国内は好景気に沸いた。しかし、一方でアメリカとの経済摩擦は激しさを増した。日本は貿易ではなく、「投資立国」として、かじを切ることとなった。一方で、製造業を中心に、工場を人件費の安い海外へ移転する動きが加速化、国内産業の空洞化という問題を孕むこととなった。

 

Ⅵ バブル景気それ自体は、不健全な景気であった。そこで政府は過熱した景気に抑制をかけると、一気に景気はしぼんでしまった。株価や土地価格の下落は想定以上で、不良債権問題も発生し、政府は銀行の破綻を防ぐため、金融再生法を制定し公的資金を投入した。こうした混乱のため1990年代は「失われた10年」とも呼ばれるほどの長い不況のトンネルに入ってしまった。物価の下落と不況を繰り返しながら、経済全体が循環的に下降していく(   )現象に苦しむことになった。1989年冷戦終結という戦後政治の大転換が生じたが、このグローバル化の波に乗り遅れることとなった。

 

Ⅶ そこで、政府は1996年に日本型(  )による自由化の推進、2001年には「構造改革」をかかげて「規制緩和」を進めた。幸い、世界経済全体の伸びもあって日本経済も次第に景気を回復したが、都市部で長期の不況から脱出したものの脆弱な地方の経済は低迷、格差が拡大した回復感のない「いざなみ景気」であった。

 

Ⅷ その景気にストップをかけたのが、2008年の(  )ショックであった。経済のグローバル化が進んだが故に、世界経済自体に急ブレーキがかかり、「世界同時不況」という百年に一度と言われる暴風雨が吹き荒れた。日本経済も失速を余儀なくされた。その結果、政治的にも大きく変化、家計支援を打ち出した民主党政権となったが、有効な対策が打てないところで、東日本大震災が発生した。この危機的な状況の中、2012年12月、再び自民党が政権に復帰し、 第2次安倍内閣のもとで、様々な政策が展開されたものの、デフレから脱却は困難を極めた。

 

Ⅸ こうした中、これまた百年に一度生じるか生じないかのパンデミックが生じた。新型コロナウィルスにより、日本だけでなく世界中が、感染拡大の封じ込めと経済回復という、難しい両立のアポリアの渦中に巻き込まれた。しかも、ロシアによるウクライナ侵攻という暴挙も加わり、民主主義国vs覇権主義国という分断が露呈するとともに、エネルギー危機、食糧危機の危惧も高まっている。冷戦終結後のグローバル化の波に乗れないまま低空飛行してきた日本経済、IT産業でGAFAという巨大企業に対抗するイノベーションを展開できなかった日本経済は、いよいよ失速、国際的な購買力を低下させるとともに、この30年間賃金がほぼ変わっていないという事態も露呈、エネルギー、食糧の海外依存も含めて、抜本的な経済の構造転換が迫られている。

■経済 基軸年号

 1955 高度経済成長 56経済白書「もはや戦後ではない」
 1960 国民所得倍増計画
★1964 OECD加盟
 1965 戦後初の赤字国債
 1966 建設国債の発行始まる
 1968 GNP西側で2位に
    ※コメ減反政策開始
 1973 変動為替相場制に移行(←1971ニクソン・ショック
    第一次オイルショック
★1974 戦後初のマイナス成長
 1979 第二次オイルショック
★1985 プラザ合意
 1989 消費税
    日米構造協議(~90)
 1991 バブル経済崩壊(~96)
    ※牛肉・オレンジの輸入自由化
 1993 日米包括経済協議
    ※コメの部分開放(ミニマム・アクセス
 1995 ※食糧法(コメの流通価格自由化)
★1996 金融ビックバン
 1999 初のゼロ金利政策
    ※コメの全面関税化
 2001 初の量的緩和政策  
★2008 リーマンショック
 2013 2%のインフレターゲット
 2018 ※減反による補助金廃止
 2020 コロナ禍による経済低迷

 

並べ替え問題

①並べ替え 長期スパン

A リーマンショック
B プラザ合意
C 第二次オイルショック
D 金融ビックバン
(   →   →   →   )

 

②並べ替え 短期スパン その1

A 金融機関が大量の不良債権を抱え,「貸し渋り」や大手金融機関の倒産が起こった
B 株式や土地への投資により資産バブルが発生した
C 金利の自由化、海外との債権・株式売買の自由化や持株会社の解禁などが進められた
D 円高不況を回避するために、政府日銀は公定歩合を大幅に引き下げる金融政策を実施した

(   →   →   →   )

③並べ替え 短期スパン その2

A 日本も参加した環太平洋経済連携協定(TPP)が発足した
B 東日本大震災が生じ、一時、サプライチェーンが寸断された
C リーマンショックにより世界同時不況という様相となった
D ゼロ金利政策が初めて実施された

(   →   →   →   )

 

解答・解説

① C→B→D→A

C 第二次オイルショック

B プラザ合意

D 金融ビックバン

A リーマンショック

  こういう長期スパンの並べ替えはできないといけない

 

② D→B→A→C

円高不況を回避するために、政府日銀は公定歩合を大幅に引き下げる金融政策を実施した

B 株式や土地への投資により資産バブルが発生した

A 金融機関が大量の不良債権を抱え,「貸し渋り」や大手金融機関の倒産が起こった

金利の自由化、海外との債権・株式売買の自由化や持株会社の解禁などが進められた

 

短期スパンの並べ替えも、「因果関係」という視点から捉えてやると見えてくる場合もある。今回もD→B、B→Aに加え、A→Cというグローバル化への対応という流れを読み取れば正解できるはず

 

③ D→C→B→A

D ゼロ金利政策が初めて実施された

C リーマンショックにより世界同時不況という様相となった

B 東日本大震災が生じ、一時、サプライチェーンが寸断された

A 日本も参加した環太平洋経済連携協定(TPP)が発足した

ここでのポイントは二つ。

(1)Dを起点にできたかどうか。ゼロ金利政策は、日本の経済的債権のための苦肉の策であり日本経済の地盤沈下の象徴でもあると考えると、ここからが苦難の道となったと捉えたい。1999年のこと。

(2)そして、環太平洋経済連携協定(TPP)の時代感覚があったかどうか。

 

次回、「国際経済」について触れるが、国内の流れだけでなく、国際的な流れも併せてインプットする必要性もある。

 

また、共通テストになってから、「経済」と「政治」を組み合わせた並べ替え問題も出題されるようになった。12月になったら、政経必携「戦後史・総合年表」のPDFファイルを公開するが、まずは、それぞれの分野の縦の流れをインプットし、その後、総合的に俯瞰すると、力がつく。

なお、今回は触れないが、「農業」に特化した並べ替え問題の出題も十分あり得る。できるだけ早めに全範囲をざっくりと把握し、最後の追い込みに備えよう。