【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【今日の時事問題】分断から合意へ  ③リベラリズム・リバタニアリズム・コミュタリアニズム

これまで政治と経済について触れてきたが、そろそろ「倫政組」のためにも、倫理的分野のことも加味していこう。

 

「合意」に関連した思想家

■「合意」に関連して、以下のような思想を展開したのは誰か。4択から選びなさい。

 

「人は、互いに合意に至ることを可能にするような理性をもっている。そのような理性を対等な立場が保障されて使用するならば、万人が同意することができるルールを発見できる」


アーレント  ②ハーバーマス   ③ホルクハイマー  ④ロールズ

 

 

答えは②のハーバーマス。ドイツ・フランクフルト学派の第2世代の考え方だ。現在93歳、ウクライナ侵攻に対して「戦争と憤激」というタイトルで論考を提示している、生きた知の巨人である。

 

③のホルクハイマーは、そのフランクフルト学派の祖で、「理性」が自然を支配するための「道具」として使用されていることを批判、「批判的理性」の復権を唱えた。これに対して、ハーバーマスは「対話的理性」こそが社会的統合の基礎となるとし、合意形成を目指すところに、理性の新たな可能性をみた。

 

ただし、ハーバーマス楽天主義者ではない。政治制度や経済制度という「システム」が我々の日常生活を支配していくという事態を批判、それを「生活世界の植民地化」と呼び、人々の社会参加の意識を弱めていることに危機感をもっていた。だからこそ、そこから脱するために、対等な立場で自由に討議し合意を形成するコミュニケーションを重視した訳だ。


ハーバーマスは、「真理性」「正当性」「誠実性」という三つの基準を掲げ、すべてを充たすことで、合意が形成されるとしている。このあたりも参考になるように思うが、いかがか。


なお、ハーバーマスは「倫政」だけではない。「現代社会」でも出題される可能性が強いのでインプットしておこう。

 

ともあれ、若者よ、議論せよ。理想論かもしれないが、互いに納得がいくまで、とことん意見をぶつけあっていこう。

 

リベラリズム・リバタニアリズム・コミュタリアニズム

ところが、当然、様々な立ち位置がある。現代の政治哲学で言うと、大きく三つぐらいに立ち位置は分かれる。

 

リベラリズム・リバタニアリズム・コミュタリアニズムがそれだが、この違いを説明することができるであろうか?

 

①「個人の自律」を重んじるとともに、平等の規範的な原理として「公正」も重視する、このような立場を一般的に「リベラリズム」(自由主義あるいは寛容主義)と呼ぶ。

 

②「正義とは個人を最大に尊重することである」とし、国家や慣習に制約されることなく、個人の思想・言論及び経済活動の自由を尊重する立場を「リバタニアリズム」(自由至上主義)と呼ぶ。

 

③個人の道徳性などは共同体の伝統や文化の中で形成される。共同体の持つ価値は「共通善」であり、個人に先立つものとして重視すべきだと説く立場を「コミュニタリアニズム」(共同体主義)と呼ぶ。

 

では、上記であげた「ロールズ」はどの立ち位置か、あるいは現在テレビでも視聴できるハーバード大学のサンデル教授はどの立ち位置か、分かるであろうか?

現役生は、まだまだここまで授業か進んでいないことであろう。でも、できるだけ全体をざっくりと把握しておいた方がいいよ。

「倫理」分野は、難しくないので、ぜひ満点をとりたいところ。となると、早めにざっくりと把握しておくとよい。

近日中に、とりあえず「現代社会」レヴェルについては資料を提示するので、活用してほしい。

 

なお、アファーマティブ・アクションを哲学的に基礎づけたロールズや、潜在能力(ケイパビリティ)という概念により福祉のあるべき姿を提示したセンは①のリベラリズム

②のリバタニアリズムの代表者はクーリッジ。「正義とは個人を最大に尊重することである」と説き、規制緩和、小さな国家という方向性を示唆した。

③のコミュニタリアニズムの代表者はマッキンタイア。個人の道徳性などは共同体の伝統や文化の中で形成され、共同体の持つ価値は「共通善」であり、個人に先立つものとして重視すべきだと説く。「白熱教室」で著名なサンデルも自らをここに位置づけている。人間を「状況の中に位置づけられた自我」と捉え、共通善(何がコミュニティにとって善いことか)という考え方に基づいて「対話」することを重視する。

 

立ち位置は違う。しかし、討議しつつ、共感できる部分を見つけ出し、合意する努力を続けることが大切。こうした姿勢が日本の国会にあるか、注視してみたいし、自分自身がコミュニケーションにおいて、そのような姿勢でいるかも、我が事として問いかけたい。

 

最後に、若者にメッセージを。

いろいろな立場がある。壁があり、垣根がある。ただし、壁は「超えていくな」。壁や垣根は「壊していけ」。誰もが通れるように、そう、「壊していけ」。