【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【速修】経済の正誤問題 ⑥金融政策(3)銀行と証券会社

37 銀行の自己資本比率とは、市中銀行が中央銀行に預け入れる準備金の、預金に対する割合のことである。
  • ✕銀行の自己資本率は「リスクのある資産」に対する「自己資産」の割合。
    自己資本÷融資額(リスクアセット)×100という計算式で、リスク・アセットとは、資産(融資や債券など)に関する貸倒れの危険性の総量のこと。資産の種類ごとに一律のリスクウエイトを乗じて加算されるようで、政府向け融資(国債)は0%、銀行向け融資は20%、企業向け融資は100%などとリスクに違いをつけて計算するとのこと。ここまでの知識は求められないけれど、知っておくと思考力が問われる問題が出た時に対応できるはず。

 

38 個人から集める預金量が増えることによって、銀行の自己資本比率は高められる。

 

39 BIS規制では、国内業務のみを行う銀行は、国際業務を行う銀行よりも、高い自己資本比率が求められている。
  • ✕国際業務の方がより高い安定感が求められている。このあたりは常識的な感覚が問われる。国際的な業務を営む銀行の場合、自己資本比率の下限は8%、国内業務に限っている場合には4%。

 

40 銀行の自己資本比率の規制はグローバルスタンダードとは言えない。
  • ✕こんな否定文、誤りに違いない。グローバルスタンダードの一例。

 

41 金融の自由化で、アメリカを中心とする外国の銀行が日本へ進出するとともに、大手銀行どうしの合併など、金融業界の再編も進んだ。
  • 〇1979年が金融自由化の開始とされるが、1996年からの金融ビッグバンによって金融自由化がさらに進み、2000年代になるとメガバンクと呼ばれる巨大な収益規模や資産を有する銀行も誕生することになった。

 

42 預金金利規制が撤廃され、預金金利に銀行間格差が生じるようになった。
  • 〇と言っても、現在、預金金利なんてあってないようなもんだけどね。

 

43 特定の業務分野に活動が限定されてきた金融機関が、子会社を通じて他の金融業務に進出できるようになった。
  • 〇金融業には、銀行、信用金庫、保険会社、証券会社などがある。銀行については、基本的には「他業禁止の規制」が課されているが、「固有業務(預金・貸出・為替取引)」以外にも、顧客の金銭や土地を預かり、有価証券で運用したり、産業に貸し付けたりして、運用収益を顧客に配当する信託業務にも参入できるようになった。
    また、証券専門会社や保険会社等の子会社を持つこともでき、現在はさらに、コンサルタント、人材派遣などの分野にも事業拡大できるようになった。
    かなり変化が生じているので試験問題としては出にくいが、とりあえず金融業界では様々な規制緩和が進んでいると思っておこう。

 

44 銀行や証券会社などのさまざまな金融機関の業務に、製造業や流通業などの異業種からの参入が容易になった。
  • 〇2001年銀行法も改正され、異業種からの参入も織り込んだルールが確立された。その後、インターネット専業銀行などの参入が相次いでいる。

 

45 ある一定の大きさの資本を持つ企業であれば、銀行が行っている預金業務を自由に行えるようになった。
  • ✕さすがにこれはないよね。

 

46 銀行は、間接金融を行っている点では保険会社と同じであるが、要求払い預金を受け入れているという点で保険会社と異なる。
  • 政経の問題だが、「要求払い預金」なんて聞いたことがあるだろうか?
    実は、何のことない、 預入期間が決まっておらず、自由に出し入れができる、通常の普通預金がその代表的なものである。
    なお、保険会社はそもそも預金業務を行わない。前段の間接金融については、貸し手と借り手の間を金融機関が仲介して、間接的に資金調達する方法。銀行の融資は「預金」を銀行の責任で貸し付けるので、間接金融にあたる。保険も、加入者の資金を会社の責任で運用し、保険金・給付金を支払うので、やはり間接金融。
    こうしたことについては、教科書ではほとんど触れられないが、社会人の常識として、高校生なら知っておきたい。

 

47 証券会社は、有価証券の売買ができるが、その引受けはできない。
  • ✕引受業務は、企業が新たに株式や債券を発行する場合に証券会社がそれら有価証券を買い取る業務のことであり、証券会社の4大業務のひとつ。その買い取った有価証券を売ることになる。

 

48 証券市場間のグローバルな競争を背景に、東京と大阪の証券取引所が合併して、株式の取引が統合された。
  • 〇2013年のことである。これまで別々に運営されていたシステムが1つになることで、かなりの経費削減になている。世界的に見てもかなり大きな市場となった。

 

49 ノンバンクは預金を受け入れているが、企業や家計に対する貸付けを行わずに株式・公社債の購入を主要な業務としている点で、銀行とは異なる。
  • ✕ノンバンクというのは、信販会社・クレジット会社、消費者金融会社で、預金は受け入れず、貸付専門

 

50 株式売買の委託手数料が完全自由化され、証券会社の間では、とりわけインターネットによる売買取引において手数料の引下げ競争が起こった。
  • 〇ネット証券では売買手数料が無料のケースもある。

 

51 国内の銀行が、外国株式の売買の仲介業務を自由に行うことができる。
  • ✕「政経」のここまで聞いて委員会問題。
    証券仲介業は証券会社にしか認められていなかったが、銀行にも解禁された。ただし、銀行は提携した証券会社を通じたかたち(委託)でのみ仲介できるのであって、その意味では自由にという訳ではない。

 

52 金融自由化に伴って、銀行の役割が増大し、直接金融から間接金融へのシフトが進展した。
  • ✕前段と後段の論理的整合性がない。金融自由化に伴って、金融業の相互参入が進むとともに、従来の銀行による間接金融から、社債を発行したり、証券市場で資金調達する直接金融へとシフトしている。問題文は逆である。
    また、銀行以外の証券会社等、他の金融業の役割が増大してきたとも言える。ただし、逆に言えば銀行が生き残りをかけて、業務範囲を拡大しつつある。

 

53 外国為替管理法が改正され、デパートも外貨の両替業務に参入できるようになった。
  • 〇1997年の外国為替法改正により、銀行や証券会社以外の者でも、自由に外国為替の売買ができるようになった。 デパートなどと昭和の響きの残る言葉が登場して、思わず笑ってしまったが、誰でもできる。

 

54 金融制度の企画立案や民間金融機関の監督を行なうのは銀行の銀行としての日本銀行である。
  • 金融庁。2000年に金融監督庁等が統合して発足。

 

55 日本では、銀行が破綻した場合に、日本銀行が預金者に一定額の払戻しを行う制度がある。

 

56 バブル経済の崩壊後、経営破綻する金融機関が現れたが、ペイオフ制度の導入は見送られた。
  • ✕「導入が見送られた」のではなく「凍結された」。
    バブル崩壊後、多くの金融機関が多額の不良債権を抱え、信用不安を醸成しやすい金融環境にあったことなどを背景に、1996年から2001年まで、預金保険制度により「預金等全額保護」の特例措置が採られてきた。
    しかし、その後、金融システムの安定化等にともない、2002年に凍結が解除され、2005年にはペイオフが全面解禁された。

 

57 日本では、経営破綻した銀行への預金について元金1、OOO万円およびその利子を限度として保証するペイオフが、まず普通預金から解禁された。
  • ✕最も基本的なことは、ペイオフ自体の理解。
    ペイオフというのは、問題文にあるように、経営破綻した銀行への預金について元金1000万円およびその利子を限度として保証するというもの。金融機関が破綻しても預金は大丈夫・・・という時代は終わったということ。
    ただし、今回の問題は、ここまで聞いて委員会問題。
    実は、ペイオフは「定期預金」から始まった。その後「普通預金」も対象に。利子のつく預金、合算して1000万円を超えると、超えた部分は返ってこなくなる可能性が出てきたということだ。一方で、利子のつかない当座預金は今でも全額保護。なお外貨預金は保護対象外。こうした細かな知識は「迷わせる」ためだが、別の問題に高校生レヴェルの明らかに正しいか誤っているか判断できる基礎的なものが併記してあるのが普通。でも知っておくと安心だし、今後人生100年時代のためには必須の知識かも。
    なお、ペイオフ対策としては、一人の一般預金等の額が1000万円を超える場合、金融機関を分散することが基本となる。むしろ、このあたりの知恵が今後は問われるかもしれない。