【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【速修】⑧政党・圧力団体・マスメディア(2)圧力団体とマスメディア

29 ★利益集団(圧力団体)は、みずから政権獲得をめざす。
  • ✕2021政経第2日程の問題。めざさない。

 

30 政党に対して、特定の利益の実現をめざし、要求を掲げて政府・官庁・政党に働きかける圧力団体も、国民の政治参加の一つとして考えられている。
  • 〇「政党は政権獲得を目的とするが、圧力団体はそれを目指さない。」「政党は包括的一般的利益を対象とするのに対し、圧力団体は特殊的個別的利益の実現を目指す。」といった基本的な特徴とともに、次のようなことを理解したい。「政党は有権者の利益を「集約する機能」が主で。利益を表出する機能は失われている。一方、圧力団体は、その団体に属する者の利益を「表出する機能」が主。そうすると、圧力団体は政党の機能をある意味では補完していると考えることができる。それ故、圧力団体もまた民主主義の徹底に資するものだといえる」。ただし、圧力団体はあくまで、特定の利益を追求、実現しようとするものであるため、全体の利益と相容れない場合もあり得る。特に揚力な圧力団体の利益を最優先にすると議会政治を歪める危険性があることには注意したい。主な圧力団体には、「経営者団体」としての日本経団連、「労働団体」としての連合、「職能団体」としての日本医師会やJAなどがある。なお、商工会議所なども圧力団体であり、地方自治において、例えば、原発再稼働の要望書を提出するなどの活動を行ったりもする。一方、再稼働に反対する市民運動家もいる。市民運動団体も場合によっては圧力団体として機能する場合もあるが、永続性はない。しかし、近年の例としては、横浜にカジノを導入しようとしたことに対して、市民団台が反対運動を展開、草の根運動で反対派のリーダーを勝利させたような事例もある。ちなみに、政党と圧力団体の結びつきで具体的にセンターで触れられたのは「自民党は、農業協同組合(農協)などの業界団体を支持基盤としている。」という一題のみ。〇。

 

31 圧力団体が選挙での集票に影響力をもたないよう、公職選挙法で、圧力団体の政治活動が制限されている。
  • ✕圧力団体の活動も政治参加の一つであるため、制限自体はない。しかし、圧力団体は選挙での集票に影響力をもつ。そのため、政党、政治家は圧力団体を後ろ盾にしようと、圧力団体に推薦依頼する。そうすると、選挙は個人の自由意志に基づくものではあれ、その団体に帰属する人々は、その政党を選ばざるを得なくなる。また、圧力団体が多額の政治献金をし、政治家がその見返りに全体の利益より特定集団の利益を優先させるということになると、資金のある人々だけが優先される、まさに金権政治という歪んだ事態に陥ってしまう。ここで想起したいのがルソーの論考。ルソーは「一般意思」を「特殊意志」と「全体意志」というものと対比して説明する。「特殊意志」は「利己的な意志」で、「全体意志」はその総和とされる。たとえば、「税金を払いたくない」という個々人の思いによって、多くの人が望む方向で「税金は廃止しよう」といった結論が出たとしたら、それが「全体意志」である。これに対してルソーが考える「一般意思」は、「公共の利益」を目指し、全人民が納得できる意思のことである。たとえば、「所得の格差を解消するために累進課税制度」を導入しようとか、「全員が負担する消費税も併用しよう」といった「合意」である。こうした「一般意思」のように、様々な意見を公共の利益、国益実現のために「集約」させる能力が、政党、政治家に求められていると考えるが、君はどう思う?

 

32 小政党の中に、特定の圧力団体や官庁と太いパイプをもち、特定分野の決定に影響力をもつような議員が多い。
  • ✕特定の圧力団体や官庁と太いパイプをもつ議員を「族議員」と呼ぶが、むしろ政権与党に多い。「圧力団体の中には、特定分野の官庁の政策の形成や実行に影響を与えるために、族議員と呼ばれている国会議員との結びつきをもつものがある。」は〇。アメリカの場合は、圧力団体の「代理人」として、「ロビイスト」と呼ばれる存在がある。様々な利益団体の依頼を受けて政党や議員、マスメディアに働きかけ、法案などの重要な政治的決定に影響を与える役目を負っている。上下両院事務局に登録することが義務づけられているとともに、活動内容を議会に報告しなければならないとのこと。透明化を図ろうという訳だ。これに対して、日本の場合、族議員・圧力団体・官僚が、暗黙の了解のように「鉄のトライアングル」とも言われるほど強く結びついているが、オープンにはなっていない。いつまでこうした古い態勢が残存するのか・・・。我々の代で終わりにしたいところだが・・・。

 

33 政党への企業、圧力団体からの行き過ぎた政治献金は政治腐敗に結びつくことが多いため、政治資金規正法が改正され禁止された。

 

34 企業や個人が政治献金する上限は法律では定められていない。
  • 駄作かも知れないが、もちろん✕。制限がある。企業の政党への献金は上限が年間1億。個人の政党への献金の上限は2000万。覚える必要はないが、とりあえず上限が定められていることぐらいは、当然だと直感的にも判断したいところ。それにしても否定文の問題は簡単に作れてしまう、それ故に嘘が多い訳だけど。

 

35 無党派層とは、政治に無関心な層や政治的知識の乏しい層のことを指している。
  • ✕かつてはそのような層であったが、現在の無党派層の多くは政治的知識や関心がない訳ではないが、特定の支持政党はもたない、というくくり。期待に応えてくれる政党や政治家をみいだせず、無力感と政治不信を深めていると考えられる。「投票しても何も変わらない」という諦めか・・・。しかし、それで本当にいいのか。今、日本、世界は様々な課題に直面している。適切なリーダーが必要だ。それなのに、日本の投票率は、先進国の中でも突出して低い。センターの問題に「相次ぐ政治腐敗の報道に接して、国民は政治家あるいは政治そのものに対する嫌悪感や失望感を増大させたこと」がその一つの理由として挙げられていたが、この他、リーダーシップの欠如、国民と政治家の意識の乖離、党議拘束の問題、特定集団の利益のみを優先する風潮等、政治家・政党の側に大きな課題があることは言うまでもない。一方で、国民に課題がない訳ではない。私の好きな言葉に次のようなものがある。「我々は、我々に見合った政治家しか生み出せない」。我々が、成熟していかなくてはならない。若人よ、君等にも期待しているよ。我々が、政治の主権者であるという「当事者意識」が高まると、きっと政治も変わる。政治が変われば、生活が変わり、世界が変わる。

 

36 近年、特定の支持政党をもたない無党派層は減少しつつある。
  • ✕近年、日本では無党派層がどの政党支持者よりも多くなっている。半数を占めるという説もある。なお、特に都市部に無党派層が多く、1990年代には東京、大阪でタレント出身の「無党派知事」が、無党派層を取り込んで当選。東京が青島幸男氏、大阪府横山ノック氏。教科書にもちろん出ていないし、受験生は知らない名前かと思うが・・・、無党派知事は、かつてセンター試験に何度か出題されていたので補足しておく。

 

37 既存の政治・経済体制に異議を唱え、大衆の希望や利益を叶えることを全面に押し出し、支持を集めようとする政治姿勢を特にポピュリズムと呼ぶ。
  • 〇一般的に、ポピュリズムとは、「エリート」を「大衆 populace/mass」と対立する集団と位置づけ、「大衆の権利こそ尊重されるべきだ」とする政治思想を言う。「大衆迎合」「大衆扇動」と訳される。その手法の一つが「劇場型政治」で、単純明快なキャッチフレーズを打ち出し、マスメディアを通じて広く大衆に支持を訴えるもので、小泉政権以降、劇場型ポピュリズムが幅を利かせてきたという指摘もある。もちろん、こんなことは試験には出ないが・・・ただし、今後も、無党派層を取り込むためにこのような政治姿勢をとるケースもあり得よう。前項で触れたように日本では無党派層がどの政党支持者よりも多くなっており、また候補者や争点次第で投票態度を変える可能性を秘めているので、無党派層を取り込めるかどうかが大きなカギを握るからである。なお、実際の試験問題としては「政治指導者が大衆迎合的な政策を掲げて世論を動員しようとすることを、直接民主制と呼ぶ。」→✕ といった簡単な問題が出題されている。

 

38 マス・メディアは政治権力の行動を監視し、批判する役割を果たす、第四の権力と呼ばれる。
  • 〇三権を監視する役割を「マスコミや報道機関」が担っていることから、このように言われることがある。一方で、これが国民を抑圧する権力であってはならない。事件や事故が起こった際に、被害者や容疑者とその関係者に多数の取材陣がどっと押し寄せ、過熱した報道を行なう「メディア・スクラム」が問題視されることも。

 

39 マス・メディアが選挙の際に候補者の当落予想を行なうことは、有権者の投票行動に影響を与えかねないので禁止されている。
  • ✕「アナウンスメント効果」があるとされるが 禁止はされていない

 

40 イデオロギー的対立が希薄化した結果、有権者は政策上明確な相違点を見いだしにくくなり、マスメディアの影響を受けやすくなった。
  • 〇現社の改題だが、やや問題としては難があるか。本題は「日本で有権者がマスメディアの影響を受けやすくなっている状況の説明として適当でないものを選べ」というもので、「地縁・血縁に縛られない有権者が増えた」「終身雇用制の動揺などにより、会社への従業員の帰属意識が一層低下した結果、企業や労働組合の投票を組織する力が弱くなった。」とともに挙げられた観点。4択の一つに明らかな誤りがあるため問題としては簡単だが、その文以外は「括弧つけ問題」で判断は難しい。しかし、共通テストでは、かなり判断が難しいものも意識的にたくさん取り入れられてきているので、こうした問題も掲載しておいた。マスメディアとの結びつきがいま一歩ピンと来ないかも知れないが・・・あいだに「マスメディアによる分かりやすい解説を求めて」といったニュアンスを付け加えれば、ある程度納得できるかも。なお、今日では、若者は、マス・メディアよりSNSの方の影響が強いか・・・SNSも偏った情報により操作される危険性が強く、注意が必要。現代社会では、メディアリテラシーが本当に大切。

 

41 新聞メディア、放送メディアはともに、客観的報道に努めなければならないが、政治的に中立であることまでは法的に要請されてはいない
  • ✕現社の問題だが、難問である。新聞は、政治的中立が求められていないことはわかると思うが、放送には実は政治的中立が求められているのだ。これはNHKだけではなく民法も。放送法では放送番組の編集に当たっては、・公安及び善良な風俗を害しないこと、・政治的に公平であること、・報道は事実をまげないですること、・意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること、を定めている。このあたりを活用した判断問題も作れそう。で、では、なぜ放送に政治的中立さが求められるのか? これまでは「社会的影響力や電波の希少性」を根拠としてきたようである。実証されている訳ではないが、新聞・雑誌等より社会的影響力がある、現在は電波の稀少性は薄れてきているが、従来は電波資源が限られていた、そのため公共的利用を優先させ、そのため公正が重視された、といった理由のようだ。しかし、この放送法については改正すべきという意見もある。このような規制が逆にメディア自身をがんじ搦めにしているとか、「ネットもテレビも同じ」なのに、ネットとテレビで規制の在り方が違うのは合理的ではないといった意見から、見直しが議論されているようだ。なお、アメリカもイギリスもこうした「公平原則」という縛りはないとのこと。この問題は2000年に出されたものだが、今後、議論が進めば再度出題される可能性もある。

 

42 世論調査では支持政党や内閣を支持するかどうかを問うことは許されるが、首相候補者を具体的に尋ねるような質問は禁止されている。
  • ✕駄作であるが、世論(public opinion)調査も「民意」をはかる大事なものである。首相候補者についても調査されることがあるが、無論決定力をもつ訳ではない。なお、世論は、政党やマスメディアによって形成されるが、いわゆる知識人と称されるオピニオン・リーダーによっても影響を受ける。しかし、現代ではそうしたオピニオン・リーダーがやや影が薄くなってきているように感じるのは私だけであろうか?ただし、若い世代の中に、なかなか鋭い論考を展開する人もいることはいる。おって、ブログでも紹介していくことにする。

 

【速修・過去問/創作問題】まとめページ

⑧政党・圧力団体・マスメディア(全42問)

(1)政党・圧力団体・マスメディア(1)政党の歴史

(2)圧力団体とマスメディア