【共通テスト対策】フクフクちゃんの公共(現代社会)・倫理・政治・経済

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【速修】⑦地方自治(2)リコールと住民投票条例

20 地方議会の解散の請求があったとき、首長は住民投票に付さなければならない。

 

21 有権者の3分の1の署名があれば首長の解職を議会に請求できる。
  • ✕請求先はやはり「選挙管理委員会」。●2021現代社会第1日程で「1/3以上の署名」という基本的な問題が出題されたばかり。

 

22 首長の解職請求は、住民投票にかけられ2/3以上の賛成があれば解職される。

 

23 副知事や選挙管理委員、監査委員などの役員については、解職請求はできない。
  • ✕できる しかし、首長、議員と同様、1/3以上の署名→議会2/3以上の出席・3/4以上の同意とハードルが高い  

 

24 ●副知事・副市町村長の解職の直接請求は、イニシアティブと呼ばれる。
  • ✕「イニシアティブ」は「条例制定」。「解職請求」は言うまでもなく「リコール」。この名称も繰り返し問われているが、超基礎的な問題で、こんなところは早く卒業したいもの。なお、「イニシアティブ」 initiativeは、日本では「主導権」という意味で使われる言葉だが、本来的には「自発的」といったニュアンスが強い。条例制定は極めて自発的、積極的な行為であり、社会を導くものと理解しよう。ちなみに、リコールrecall は、「re(再び)」と「call(呼ぶ)」ということで、呼び戻すという意味だが、「国民・住民の意思により公職者を解職する請求をすること」と「欠陥製品を生産者が公表し、無料で回収・修理・製品交換をする」の二つの意味で使用される。レファレンダム referendum は、「referre」「運び戻す」という意味の動詞の動名詞形。政治についての重要事項の可否を国民の直接投票によって決める制度。 ferは運ぶといた意味で、confer = 共に意見を運びあう→相談する、defer = 遠くに運ぶ→延期するなどが類語。主権者たる住民に運び戻し、その意を表明するという意味である。若者よ、君らの思いを市政にぜひ「運ぼうよ」、そんな住民投票をぜひとも要求しよう。

 

25 ●副知事・副市町村長の解職を直接請求する場合は、その請求先は選挙管理委員会である。
  • ✕直接請求についてはいずれも「議会は請求先ではない」。この点をまずおさえておけば、「請求先」問題は比較的楽に解答できる。では、このケースは誰に請求できるのか?有名な言葉に「カエサルのものはカエサルへ、イエスのものはイエスへ」といものがある。これと同じ。選挙で選ばれた人は「選挙管理委員会」へ、首長が任命したものは「首長」へと覚えておこう。と言うことで、副知事は知事へ・・・ということになる。

 

26 議会については、住民は、議員の解職請求はできるが、議会の解散請求はできない。

 

27 条例の制定・改廃は50分の1の署名で首長に請求、住民投票において過半数の同意があると、当該条例が制定・改廃される
  • ✕首長が「議会」にかけ、「議会の出席議員の過半数で決定される。」「20日以内に」首長が議会に付すというきまりもある。なお、請求が有効な場合、市長は住民から提出された条例案に「意見」を付けて、議会に議案として提出することになっている。素通しではないということ。

 

28 直接請求制度に基づいて提案された条例案を、議会は否決できる。
  • 〇条例は議会が議決する。一方で、「議会が否決した条例に対して、首長は再議を要求できる。」

 

29 監査請求は50分の1の署名で、議会に請求する。
  • ✕「監査委員」に請求 既に触れたように直接請求についてはいずれも「議会は請求先ではない」。なお、大学入試レヴェルでは問われることはないかと思うが、監査請求には事務監査請求と住民監査請求の2種類がある。事務監査請求は1/50の署名が必要だが、住民監査請求は一般的な事務監査請求とは異なり、地方公共団体の長等が行った違法又は不当な公金の支出等に限定した監査請求制度で、一人でも請求できるもの。後者の例としては、巨額の事業費がかかる市役所の建て替えに対して、その支出は不当だとして公金支出の執行停止などを勧告するよう求めたものがある。しかし、監査委員によって請求が棄却され、監査が行われない場合もある。その場合は、さらに住民訴訟を裁判所に起こすこともできなくはない。

 

30 事務の監査の請求は、監査委員に対して行われ、議会に付議されて、議員の過半数の同意があると、監査委員による監査が行われる。
  • ✕事務監査については、請求書の受付後、監査委員が住民監査請求の要件を満たしていると判断した場合は、請求書を受理し、監査を行う。議員の同意は必要なし。

 

31 首長は選挙管理委員会の委員を選任する。
  • ✕とても細かいが、選挙管理委員会だけは議会で選ばれる。監査委員や教育委員、公安委員は議会の同意を得て、首長が任命。なぜ選管だけそのようなしくみになっているのか、調べてみたが不明。解職にかかわる機関であるため、複数の目で選挙ということか・・・?この問題はやはり「括弧つけ問題」で、首長の権限を問い、「地方議会の議決が必要な議案を地方議会に提出する。」を選ばせるものであった。これは当然首長の権限なので、これを選べば事足りるが・・・それにしても、「そこまで聞いて委員会」問題だったような気がする。なお、選挙管理委員は議会の選挙によって選ばれているから、そのリコールについては選管・・・となりそうだが、さすがに、選管に選管のリコールはあり得ないので、他の主要公務員と同様に、首長に。

 

32 教育委員会や人事委員会などの行政委員は、母体となる行政部門からある程度独立した執行機関として、その所管する特定の行政権を行使する地位を認められている。
  • 〇国と同様に地方にも「行政委員会」が首長から独立して設置されている。なお、教育委員会などは「執行機関」とも称されるが、「議決機関」の決定に基づき「行政事務を執行する機関」という程度の意味。「諮問機関」というのは、行政庁の意思決定に際して、専門的な立場から特別の事項を調査・審議する合議制の機関。地方自治でも審議会、協議会などが設置される。

 

33 都道府県単位で公安委員会、市町村単位で農業委員会も置かれている。
  • 〇国にも公安委員会が設置されているが、地方にも公安委員会が設置される。都道府県の委員は原則3人の委員で組織され、民主的運営と政治的中立性を確保するため警察を監督している。

 

34 地方公共団体は、住民投票条例を定めて重要な政策の是非を住民に問うことができる。
  • 憲法で保障している「住民投票」ではなく、地方自治法が保障している「条例の制定・改廃」に基づくもので、特定の課題について住民の賛否を問うために実施するもの。先に触れた沖縄県の「日米地位協定の見直し及び基地の整理縮小に関する県民投票条例」に基づいた住民投票等、様々なテーマで実施されている。外国人住民や中・高校生も参加するという幅広く住民の意思を問うかたちをとった地方公共団体もある。こうした住民投票の先駆けとなったのが1996年の新潟県での原発建設計画の是非を問う住民投票。反対が多数を占め、計画は撤回された。一方で、現在、島根県では島根原発2号機の再稼働について、周辺自治体から原発の再稼働の是非をめぐる住民投票条例案がいくつかの市から出されたが、首長、議会がこれを拒むという事態が起こっている。これを君はどう考えるか?「賛成か反対かだけの単純な住民投票よりも、住民の代表による責任ある議論に信託してほしい」。「住民投票の法的拘束力はない。だから、投票結果を踏まえつつも、代表者が堂々と議論すればよい。なのに、なぜ、そもそも住民の意思を聞こうとしないのか」。議論は平行線のまま、そして君たち若者の意見が拾われないまま、物事が決まっていく。これでいいのか?

 

35 地域の重要課題に関する政策への賛否を問う住民投票は、主に団体自治を保障する観点から正当化される。
  • ✕団体自治ではなく、「住民自治」。なお、監査請求、条例の制定改廃の請求、解職請求、解散請求は「直接請求制度」だが、住民投票自体は「直接請求制度」ではないことにも注意。そのような点に着目させた出題の実績もあり。

 

36 ★住民投票は、特定の争点をめぐる投票を通して、首長と議会に対して住民の意思を直接示すことで、間接民主制を補完できる
  • 〇2021政経第2日程。この問題は二人の生徒の、住民投票の是非をめぐる会話を使い、思考判断させる良問であった。正誤問題ではないが、「間接民主制の補完」あたりが、「なるほど、そういう意義もあるよね」と、理解できるであろうか?一方で、会話文の中には、二元代表制のよさとして、「住民が首長や議員を選出し、首長と議会による慎重な議論が期待できる」という視点も組み入れられていた。これも確かにあり得る。だが、争点が何かによって違いはあるのかも知れないが、こうしたジレンマを踏まえつつ、住民投票という形にならなくても、二元代表者間だけでなく、広く主権者も交えた「対話」が必要であることは言うまでもない。

 

37 産業廃棄物処分場建設に対する賛否を問う住民投票を実施した地方公共団体があるが、建設が中止された例はない。
  • ✕こんなストレートな否定文、さすがに怪しいと思おう。岐阜県で実施され中止された。なお、吉野川可動堰の建設についての住民投票も出題実績あり。これも中止された。

 

38 ★地方公共団体がその条例に基づいて独自に行う住民投票において、永住外国人の投票が認められた事例はない。
  • ✕2021政経第2日程 これもストレートな否定文。ある。なお、同じ4択の中に「国による情報公開法の制定より前に、地方公共団体が情報公開条例を制定した事例はない。」という否定文もあり。これも✕。承知のように、新しい制度は地方から導入開始が多い。

 

39 住民投票条例に基づく住民投票は法的拘束力がない。
  • 〇前項で触れたように、法的拘束力はない。しかし、たとえそうであろうとも私は意義のあるものだと考える。なお、大阪都構想に関する住民投票は、「大都市地域における特別区の設置に関する法律」に基づいたもので法的拘束力あり。「市町村の合併の特例に関する法律」に基づく「 合併協議会の設置に関する住民投票」も法的拘束力あり。ただし、条例に基づく市町村合併の是非に関する住民投票は法的拘束力がない。この点は注意が必要。

 

40 一つの地方公共団体のみに適用される特別法の場合、地方議会の承認に加え、住民投票でその過半数の同意が必要である。
  • ✕「地方議会の承認」は必要ない。住民投票のみ。ところが、後段の文が長く、しかも正しいものだから、「地方議会の承認」のところが頭の中から消えてしまって〇と判断しがち。センターでは、こうした「隠し玉」問題もあるので、込み入った文章は細心の注意力でチェックすること。

 

41 前項の住民投票により同意が示されると、地方公共団体の議会が法を成立させる。
  • ✕あくまで国の法であり、国会が制定。ただしこの特別法は1949年から2年程度の制定だけで、国家による地方自治への介入のおそれがあるという批判もあり、以降実績なし。なお、18都市で行われており、否決されたものはないとのこと。

 

42 前項は法として成立した場合、当然法的拘束力をもつ。

 

43 特別区にかかわる住民投票には法的拘束力がない。
  • 大阪都構想住民投票もその一例で、先に触れたように、法的拘束力をもつ。「大都市地域における特別区の設置に関する法律」は、政令指定都市と周辺市町村の総人口が200万人以上の地域を対象とし、複数の特別区に再編する手続きを定めたもので、大阪以外でも特別区再編の可能性はある。

 

44 大阪都構想は、政令指定都市の大阪市を廃止し、4つの特別区に再編しようとするものであった。
  • 〇これで大阪府大阪市の「二重行政」を解消しようと目論んだが2度否決。広域行政を大阪府に一元化し、福祉や子育てなど身近な住民サービスを特別区に担わせる構想だったが、一つには、特別区に移行した後、行政サービスはどう変わり、どれだけの負担を求められるのか、疑問と不安から、否決されたとされる。