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【今日の時事問題】ウクライナ戦争 始まって2ヶ月 周辺諸国の動きを整理

ウクライナの停戦協議が進まない。それどころか、ロシアが攻撃をさらに強めている。マリウポリの地下施設に閉じ込められている人々全員が何とか無事に救出されないものか・・・祈ることしかできないことにもどかしさが募るばかりである。

 

こうした中、周辺諸国にも様々な動きがあり、「国際」が苦手の受験生が多い中、「なぜ・・・」「へぇー、そういうことだったのか・・・」と関心を強めた者も多いのではないか。

侵攻開始から2ヶ月、以下、周辺諸国の動きを簡潔にピックアップしつつ、受験に必要な知識についても触れておく。

 

・トルコが調停役として存在感を示したこと。

 ※黒海を挟んでロシア、ウクライナと向き合うトルコは、両国と経済・観光で結び付きが強い。かつてクリミア戦争露土戦争と、南下政策をとるロシアと二度に渡る戦争をした歴史をもち、第二次大戦後は親米路線を強化、1952年にはNATOに加盟している。しかし、一方で近年はロシアとも軍事・経済で強く結びつき、現在も、対ロシア経済制裁に反対し、参加していない。そういう微妙な立ち位置の中、存在感を発揮し地位を高めるチャンスとの思惑もあり、調停役を買って出たのではないかとされている。

 

ポーランドルーマニアモルドバといった国々が難民を受け入れていること。

 ※最も多くの難民を受け入れているのがポーランド。かつてソ連の影響下にあったポーランドであるが、その民主化の動きが「冷戦終結を加速化させた」ことは受験生なら知っていなくてはならない基本的なところ。その後、ポーランドは、1999年にNATOに、2004年にはEUに加盟と、ロシアから離れ、「ヨーロッパ」の一員として歩みだし、そして、今回、多くの難民を受け入れ献身的な支援活動が行っている。しかし、その受け入れも限界に達しそうだという。

 

・「永世中立国オーストリアの首相が、ロシアを訪問し仲介外交を行ったこと。

※本来的にはヨーロッパの内戦であった第一次世界大戦、そのきっかけが、オーストリアの皇太子が暗殺されたサラエボ事件であったことは承知の通り。そして、ドイツやオスマン・トルコとともに、三国協商をむすんでいたイギリス、フランス、ロシアを中心とした国々との間で第一次大戦に突入するも敗戦、戦後、「帝国」は崩壊しオーストリア自体は中部ヨーロッパの小国に転落した。その後もナチス・ドイツによる併合等の苦難を経て、1955年に「共和国」として主権を回復、同時に「永世中立国」としてどの軍事同盟にも属さない国として再スタートをきった。1956年のハンガリーの蜂起、1968年のプラハの春では、多くの難民を受け入れるなど、これまた存在感をもっている国である。しかし、今回の仲介外交は、停戦へ向けての推進力にはならなかったようだ。けれども、こういう仲介にあたる国があること自体は、ある種の救いではある。

 

フィンランドスウェーデンNATO加盟の意向を示したこと。

 ※北欧で、ロシアと接するフィンランド、その西に位置するスウェーデンが、軍事的中立の立場を一転させ、NATO加盟を検討する動きが加速化してきたそうだ。

 ところで、受験生諸君は、フィンランドスウェーデンという国で、誰を想起するであろうか? スウェーデンなら、環境活動家グレタ・トゥンベリさんかな?君たちZ世代を象徴する行動家だ。今回も「STAND WITH UKRAINE」のボードを手に抗議の意思をインスタグラムに発信している。フィンランドはどうかな?サン・マリンという女性を知っているだろうか? 30代半ばというフィンランドの若き首相である。実はスウェーデンの首相もマグラデナ・アンデションという女性首相で、二人は共同記者会見で、NATOへの加盟入について展望を語ったという。ただ、もしその選択をした場合、当然ロシアとの間に緊張感が生じてくるため、難しい判断となろう。

 

・イギリス首相がウクライナを電撃訪問したこと。

 ※EUから離脱したイギリスは、アメリカと共同歩調で、ウクライナへの武器供給の中心を担い、ジョンソン首相はG7では唯一ウクライナ訪問を行った。その報復として、ロシアは、バイデン大統領に続いて、ジョンソン首相も入国禁止の措置をとった。プーチン大統領は、アングロサクソン系に対する敵愾心が強いという指摘をどこかで読んだ記憶があるが、この亀裂が拡大しないことを祈るばかりだ。

 

・フランス、ドイツの対応をポーランド首相が批判

 ※フランスのマクロン大統領が早い段階からプーチン大統領に停戦を呼びかけていたことは承知のことと思う。大統領選挙を控え、積極的に動いていたかのようには見えた。ドイツも、ショルツ首相が率いる「左派政権」が、当初は慎重な構えをみせていたが、一転してウクライナに武器を直接供与する等の動きをみせていた。ただし、脱原発を進めるドイツはロシアの天然ガス原油に頼っていて、ウクライナのゼレンスキー大統領が、他人の流血でロシアの原油を購入している国があると、暗にドイツ批判をしたこともニュースで取り上げられた。ウクライナの難民を受け入れているポーランドでは、首相が、マクロン大統領に対して「何を成し遂げたのか?」と、ショルツ首相に、「今聞くべきなのはドイツ企業の声ではない。罪のない女性や子どもの声だ」と批判したという。

 

アメリカが中国、インドを牽制しているが・・・

 ※世界の警察官の役目を自ら降りたアメリカ。ロシアに強い非難をするも第三次世界大戦を避けるためということで、直接介入せずに、大量の武器をウクライナに提供するとともに、中国やインドにロシア支援をしないように牽制することに躍起になっているようだ。しかし、両国とも経済制裁にはあくまで反対で、ロシアに対する経済的な制裁の効果は思ったほどあがっていない模様。

 なお、ロシアの軍事的な侵攻が長期化する中、この戦争はそもそもバイデン大統領が起こした戦争だという指摘をするなど、アメリカのこれまでの外交を批判する論者も出てきている。11月に「中間選挙」を控えるバイデン大統領にとって、支持率低迷の中、長引くウクライナ戦争は大きなジレンマとなっている。現在までのところ、アメリカがウクライナに対して実施した軍事支援は総額45億ドル(日本の人道的支援は2億ドル)。インフレの問題もあり、バイデン大統領にとってはいばらの道が続く。

 

・中国は様子見に徹していること。

※まず、中ソ(露)関係の推移を確認しておくと、かなり複雑に関係性が動いている。

冷戦時代は、中国とソ連は1950年に同じ社会主義の国として軍事同盟を結んでいたが、一方で、国境問題をもとに対立が激化すると、同盟関係は1960年代には事実上解消していた。

冷戦終結後になると国交が正常化、2008年に国境問題も最終的に決着すると、両国の結びつきは加速化するようになった。中国はロシアの協力で一気に軍事大国となった。また一方では、中国は欧米と経済的に結びつき、経済大国にもなった。

他方で、現在中国とアメリカとの関係が対立へと転じ、同じくアメリカとの対立が深まったロシアとは「戦略的パートナー」として、そして経済的にはロシアから支援を求められる関係に転じた。

 ということで、中国にとってロシアは、対アメリカのためにも友好関係を保ち続けたい関係だが、他方でウクライナも実は親中派で、中国にとっては大切なパートナー。かつてのシルクロードを彷彿させる中国の「一帯一路」構想を実現するためには友好関係を維持させたい国。その板挟みの中、今回のウクライナ戦争では、様子見に徹する以外にとる術がないというのが本音では・・・といったところが大方の見方だ。仲介役を期待する声もあったが、その動きも今のところはなさそう。

 

・インドに仲介を期待する声もあるが・・・

※インドは冷戦時代、東西陣営そのいずれの側にもつかない「非同盟」勢力の要であった。そして、現在も特定の勢力に与しない「戦略的自律性」を特徴とし、今回のウクライナ戦争に際しても、その延長線上に立ち位置がある。ただし、中国と同様にインドは軍事的にはロシアの協力に依存し、そのために、ロシアの侵攻を強く非難していないと言われている。しかし、BRICsの一員として経済的にも飛躍、人口もいずれ中国を追い抜くインドは、もはや「大国途上国」ではなく、「大国」への道を歩んでいるとされる。かつて「非同盟勢力の要」であった存在感を今こそ再び発揮してほしいという期待がかけられているが・・・

 

・日本、PKO協力法に基づく「人道的な国際救援活動」を計画しているが・・・

※現在のところ、国連でウクライナにおけるPKO活動を展開しようという動きはない。本来PKO安全保障理事会で検討される事項、ロシアがこれに合意するとは考えにくい。しかし、日本は、UNHCRの要請を受け、PKO協力法に基づく「人道的な国際救援活動」として、自衛隊による、避難民に対する救援物資の提供を実施することとした。

PKO協力法に基づく平和のための活動は「国連平和維持活動」だけでなく、「人道的な国際維持活動」と「国際的な選挙監視活動」の3つの柱からなる。

その一環としてUNHCRの備蓄倉庫があるインドへ自衛隊機を派遣して、そこの物資をウクライナ周辺諸国に輸送しようと計画していたが、インドから自衛隊機の派遣は拒否されたとのこと。これには失望した。

 

国連事務総長がモスクワへ訪問する計画とのこと。

※最後に、グテレス事務総長(元ポルトガル首相)が26日にモスクワを訪問し、プーチン大統領と面会するとのこと。停戦への動きが出てくることを期待したい。