【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【速修・過去問/創作問題】⑫紛争・難民・軍縮・領土問題(2)核兵器と軍縮

27 国連の安全保障理事会の常任理事国は、いずれも兵器の輸出国である。
  • ○正文である。残念ながら、武器は国際売買され、武器輸出の7割が安全保障理事国である。いわゆる「通常兵器」と呼ばれる火薬などの砲弾の輸出については、アメリカ(35%)、ロシア(20%)、フランス、ドイツ、中国、イギリスの順番である。輸入は、サウジアラビア、インド、エジプトなど。

 

28 日本政府は、ODA(政府開発援助)について、軍事目的への使用の回避をODA大綱4原則の一つに掲げている。
  • ○ODA大綱は1992年のものだが、(1)環境と開発の両立、(2)軍事的用途への不使用、(3)被援助国の軍事支出と武器輸出入の動向に注意、(4)途上国の民主化基本的人権の促進、市場指向型経済の導入への注意、などを掲げていた。従って正文ではあるが、ただし、2015年に従来のものを改定、「開発協力大綱」と名称を変更するなかで、「開発協力の軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避するとの原則を遵守しつつ」と「軍事目的への使用の回避」というスタンスは引き継がれているものの、ややトーンダウンしている。この点については経済学習のところで再び触れるが、ここでは「かつては軍事的目的への使用に極めてセンシティブであった」ことを確認しただけとしておく。

 

29 武器輸出三原則が、平和貢献や国際協力の推進と日本の安全保障に資する場合には武器の輸出を認めるとする「防衛装備移転三原則」へと2013年に改定された。
  • ○以前にも触れたが、日本は、武器については原則輸出禁止を転換した。武器から「防衛装備」、輸出から「移転」と言い回しを変えつつ、実質は武器輸出を容認したかたちとなった。もっとも、紛争当事国への移転は認めないなど、三つのケースについては制限はしてはいる。かつて、「日本は武器・兵器そのものだけでなく、軍事目的に転用可能な民生品の輸出も規制している。」という問題が出たことがあるが、かつては○、現在はどうか?と調べてみたが、この点はどうも堅持されている模様。曖昧で申し訳ないが、「安全保障貿易管理制度」とうものがあり、民生用途の製品であっても、軍事転用される恐れがあるものは規制の対象となり、「輸出許可」が求められている、とのこと。

 

30 2013年、通常兵器の輸出入や移譲を規制し、人道犯罪につながる不正な取引を防止しようとする武器貿易条約が採択された。
  • ○日本の「防衛装備移転三原則」に近いものと考えればよいかも。しかし、中国、ロシア、インドなどは非署名、アメリカも批准せず・・・ということで発効はしたけど、軍事大国の加入なしという状況。未出事項だが、効力が弱いので出題までには至らないか・・・

 

31 国防費は日本の場合GDP比1%以内に制限されているが、アメリカは3%を超えている。
  • ○これは正誤問題ではなく、「軍事費の表」を用いた問題が予想される。が、ここでは、国防費の対GDP比ではアメリカがトップで3%、ロシアもほぼ3%、中国は割と少なく1.25%、国防費の総支出はアメリカ、中国、サウジアラビアの順、正規兵力は中国、アメリカ、インドの順・・・といった情報だけ提示しておく。もっとも、これを覚えなさいと言っている訳ではない。ただし、「軍事費の表」を見て、一つか二つ、国名の穴埋めが問われても、斟酌して何とか判断できるようにはしておきたい。ぜひ、イギリスやフランス、ドイツ、そして日本の状況も含めて◎「フクフクちゃんの深める」で確認してほしい。なお、2010年を起点とし、以降の国防費の変化をグラフで問う問題も想定される。アメリカはほぼ横ばい、中国は右肩上がり、ロシアは特に2014年以降3倍に増加・・・現在のウクライナ侵略が計画的だったのではないかと思われるような増強ぶり。軍事オタクになる必要性はさらさらないが、世界の趨勢(すうせい)ぐらいは大雑把に知っておきたい。ちなみに、ドイツも国防費を抑えていたが、ウクライナ問題から増強にシフト、今後、日本も防衛費拡大をアメリカから要求される可能性も出てきた。国防費の世界標準がGDP3%になったら、とんでもないことに。世界には、環境問題や感染症問題等、様々な課題があるのに・・・

 

32 現在、世界が保有する核兵器数は冷戦時代と変わっていない。
  • ✕簡単な誤文を作ったが、当然削減されている。90%はアメリカとロシアが保有しており、以下に見るような両国の削減条約によって、減少してきた。しかし、一方で、イギリス、中国、インド、パキスタン北朝鮮核兵器保有数は増加しており、脅威は減少していない。以下、核軍縮の経過と課題を見ていこう。

 

33 ビキニ環礁での水爆実験を背景に第1回原水爆禁止世界大会が開催されたのは、アメリカにおいてである。

 

34 部分的核実験禁止(停止)条約は、大気圏内、宇宙空間および水中における核実験を禁止した。
  • ○1963年、キューバ危機を背景に部分的核実験禁止条約 Partial Test Ban Treaty ( Banが、「禁止(する)」という意味)。アメリカ・イギリス・ソ連との間で結ばれた。発効までに100カ国を超える国が調印。「PTBTが結ばれた背景には、米ソが核戦争寸前の事態に陥ったキューバ危機をきっかけに、平和共存の気運が高まったことがある。」、これは○。また、問題文も○。しかし、部分的核実験禁止条約は、核兵器国が「地下核実験」を行うことを禁止していない。従って、以降、地下実験は実施された。あくまで、「部分的」。なお、地下核実験の技術をもたないフランスや中国など、当時の非核保有国の核実験を制約しようとする意図もあったとのこと。フランスと中国は署名していない。フランスは1990年代にも実験を行い国際的な批判を浴びたが、現在は、包括的核実験禁止条約に調印している。中国は東トルキスタンに建設した核実験場で度重なる実験を実施、包括的核実験禁止条約には調印していない。アメリカ・イギリス・ソ連についても、後に触れるが、包括的核実験禁止条約には調印していない。

 

35 核拡散防止条約(NPT)は、アメリカ、中国、ロシアの3か国以外の核保有を禁止する条約である。
  • 核拡散防止条約(NPT) Nuclear Non-proliferation Treaty ( proliferationは拡散、増殖、まん延といった意味 ) は1968年に調印され、アメリカ、イギリス、ソ連、フランス、中国・・・つまり安保理5カ国以外は核保有を認めないという、安保理5カ国のある意味で特権を確定させるものであった。時代的には、ベトナム戦争の時期で、キューバ危機の後が部分的、ベトナム戦争の時核拡散防止・・・と国際情勢と結びつけてインプットしておこう。なお、当初はフランスと中国はともに条約に加わらず、加盟したのは、何と、冷戦が終結した後の1992年のこと。また、この条約にかかわらず、インド、パキスタン北朝鮮が核実験を行い、イスラエルも核を保有しているとされる。ちなみに、インド・パキスタンイスラエルは締結しておらず、北朝鮮も2003年に脱退したまま。NPT再検討会議は5年に1回開催され、約190の加盟国・地域が条約の履行状況を点検し、核兵器の削減に向けた取り組みの合意を目指しているが、ここのところコロナの問題で会議が開かれていない。

 

36 核不拡散条約(NPT)では、非核保有国には核兵器を持たないことを約束させ、核保有国には核実験を行う場合に、条約の加盟国会議に対して事前許可を求めることを約束させた。
  • ✕前段は正しいが、後段のような核実験への規制はない。「核拡散防止条約(NPT)は、非核兵器国が原子力の平和利用を行うことを禁止していない。」は○。原子力の平和利用を認めている。一方で、IAEAによる査察を受け入れる義務を課した。核拡散防止条約がこうしたIAEAの査察を義務付けていることは案外軽視されがちなので、併せてインプットしておきたい。

 

37 1969年米ソ間で戦略兵器制限交渉(SALT)が開始され、1972年調印された。
  • ○核弾頭の「運搬手段」、つまりミサイルの総数を現状維持とするもの。米ソ間の初の軍縮ではあったが、あくまで「制限」であって、「削減」ではなかったことに注意。並べ替え問題も想定されるので、Strategic Arms Limitation Talksは核拡散防止条約とほぼ同時期であったこともインプットしておこう。

 

38 中距離核戦力(INF)全廃条約は、米ソの間の初めて本格的な核兵器の削減に成功した条約である。
  • ○中距離核戦力(INF)全廃条約 Intermediate‐range Nuclear Force Treaty (Intermediate‐rangeが中距離  正式名称に 廃止を意味するElimination という言葉が用いられている ) は、冷戦終結前、1987年にレーガン大統領と、ゴルバチョフ書記長との間で調印された。「第二次世界大戦後、軍備管理・軍縮交渉は国連によって主導されており、初の核兵器削減条約である中距離核戦力(INF)全廃条約も国連軍縮特別総会で締結されたものである。」は✕。あくまで米ソ間のものだが、軍拡競争を転換する画期的なものとなった。米ソ本国よりもその中間にあるヨーロッパ地域に配備され中距離各線力の全廃を求めたもので1991年には全廃。ただし、米ソ国境間の距離5500kmを超えて飛ばす大陸間弾道弾 ICBM は対象外。ソ連崩壊後はロシアが継承し、2001年に完全履行を相互に確認しあい、2007年には、他の核保有国へも条約参加を呼びかけるなどの動きを見せていたが、2018年トランプ政権が破棄、現在は失効している。中国がINF条約に拘束されないので、中国の軍事的脅威に対抗するため、新たに中国を加えた枠組みを模索しようとしたものであったが、中国は軍縮への参加を拒否した。INF全廃条約の失効は、ロシアとの緊張だけでなく、中国も含め、東アジアの緊張をより高めることになるのではないかと危惧されている。と言うことで、INF全廃条約は冷戦終結の象徴ではあったが、今や、その失効が、「21世紀の新冷戦」の予兆であった・・・と言うことにならないように祈るばかりだ。

 

39 旧ソ連が崩壊すると、核保有国がロシア、ウクライナ、カザフスタン、ベラルーシに分散されて現在に至っている。

 

40 包括的核実験禁止条約は、爆発を伴わない実験を含むあらゆる核実験の禁止を定めた。
  • ✕1996年、国連総会で採択された包括的核実験禁止条約(CTBT)Comprehensive Nuclear Test Ban Treatyは、これまで許容されていた地下での実験は禁止されたが、「核爆発を伴わない」未臨界実験は対象としていない。未臨界実験とは、爆発を伴わない核実験のこと。核爆発はプルトニウムやウランなどの核物質を連鎖的に分裂させて引き起こすが、その分裂が始まる状態を臨界といい、その直前にいたるまでの段階を実験するもの。「爆発を伴わない実験」として禁止対象から外された。オバマ政権、トランプ政権でも未臨界実験を実施。

 

41 包括的核実験禁止条約(CTBT)を日本は批准したが、未発効である。
  • ○日本は批准した。一定レベルの原子力施設を持つ44ヶ国全ての国の批准を発効要件とする。核保有国のロシア、イギリス、フランスは批准。アメリカ、中国、エジプト、イラン、イスラエルが批准していない。北朝鮮、インド、パキスタンは署名すらしていない。

 

42 1990年代には包括的核実験禁止条約が結ばれたので、この条約の締結後、核実験は行われていない。
  • ✕署名していないインドとパキスタンが1998年に核実験の応酬を断行したことを想起したい。また2000年代には北朝鮮が度々実験を行っていることも承知の通り。なお、その他の核保有国の最後の実験は以下の通り。ソ連1990年、イギリス1991年、フランスと中国が1996年、アメリカは1993年が最後の爆発を伴う実験、しかし以降未臨界実験を何度か実施。発効はしていないが、核実験を抑制している面もある。

 

43 非核地帯を設定する条約は、ラテンアメリカ、南太平洋、東南アジアなどの各地域で採択された。
  • キューバ危機をきっかけに、中南米から核戦争の脅威を除こうとした1967年のラテンアメリカを先駆けに、南太平洋、東南アジア、1996年にはアフリカも加わり。「南半球」はほぼ全域が非核地帯で覆われることになった。それぞれ条約名があり、私立大学では出題されるかも知れないが、共通テストで問われることはまずないと思われる。かつて以下のような出題あり。「過去に複数回の核実験が行われて被害を受けたことのある北太平洋地域に関して、非核地帯条約が締結されている。」、世界史でもそうだが、「方角」に誤りが含まれていることがある。✕。「南」太平洋が正しい。なお、敢えてここで触れるが、実は2009年に、「中央アジア」が非核地帯に加わった。中央アジア5か国(カザフスタンキルギスタジキスタントルクメニスタンウズベキスタン)である。また、1992年の国連総会でモンゴルが自国領域を非核兵器地帯とすることを宣言し、2012年に5核兵器国がモンゴル一国非核の地位を尊重し、これを侵害するいかなる行為にも寄与しない旨の共同宣言に署名したとのこと。こうした近年の動向、あるいは「日本が位置する東アジアは非核地帯として設定されていないこと」、これらの現状認識を問うような問題の出題を期待したい。

 

44 戦略兵器削減条約(STARTⅠおよびⅡ)は両国の保有できる戦略核弾頭数の上限を設定した。
  • ✕「削減」という言葉があるように、START Strategic Arms Reduction Treaty は、「配備済みの戦略核弾頭」を「削減」するもの。STARTⅠは冷戦終結後1991年に締結され、大陸間弾道ミサイルICBM)も対象とされた。ただし、1993年に調印されたSTARTⅡはNATOの東方拡大やユーゴ空爆にロシアが反発して審議が遅れ、結局発効せず。

 

45 核兵器の不拡散に関する条約(NPT)について、1990年代に、その効力を一定期間に限って延長するとの決定がなされている。
  • ✕「1990年代に無期限に延長された。」が正しい。教科書にも記述がなく、とても細かい問題のように思うかも知れないが、実は、延長には意見の対立があったことが出題の背景。日本などは核不拡散体制維持のため無期限を主張したが、「この条約は核保有国と非核保有国との区別を恒久化するもので、期限を切るべきではないか」という主張もあり、意見が割れた。結局、核軍縮を進めるという合意的なものと組み合わせることで投票することなく無評決で無期限に。しかし、後者を主張した国々とNPOが中心となって、これだけでは核廃絶は進まないと、連帯して後の「核兵器禁止条約」へと集結していったものと思われる。

 

46 今日、軍縮の対象となっているのは核兵器だけではなく、その他の兵器も対象となっており、例えば1990年代には、神経ガスなどの化学兵器の禁止などを定めた化学兵器禁止条約が採択されている。
  • ○「化学兵器は、第二次世界大戦で初めて使用され多数の死傷者を出したため、第二次世界大戦後に使用を禁止する条約が結ばれた。」という出題もあり。これは✕。第一次世界大戦で既に生物兵器化学兵器が製造使用されたが、禁止条約の締結は大幅に遅れた。生物兵器は、天然痘ウィルス、コレラ菌等の生物剤や、これらを保有・媒介する生物を使用して、人、動物、又は植物に害を加える兵器で、1970年代に禁止条約が締結・発効。化学兵器サリンなどの化学剤を含む弾薬等を爆発等させることにより、一度に大量の人を殺傷するもので、1990年代になって禁止条約が締結・発効。湾岸戦争での使用が条約締結を加速化させた。化学兵器の開発、生産、保有等を包括的に禁止し、約国が保有する化学兵器を一定期間内(原則10年以内)の全廃が義務付けられている。ロシアは批准しているが、北朝鮮、エジプト、南スーダンは署名すらしていない。

 

47 大量破壊兵器以外の兵器についても、例えば対人地雷全面禁止条約が結ばれたが、これには非政府組織(NGO)の働きかけが大きな役割を果たした。
  • ○対人地雷全面禁止条約は1999年に発効、クラスター爆弾禁止条約は2010年に発効、いずれもNGOの主導により制定された。しかしアメリカ、ロシア、中国、韓国、北朝鮮、インドなどは両方とも批准していない。

 

48 2010年 米ロは、長射程用の核弾頭と大陸間弾道ミサイルなどの削減を定めた新STARTに調印した。
  • ○再掲したが、New Strategic Arms Reduction Treaty、○と判断できたであろうか?現在のところ、米ロ間の唯一の軍縮条約である。ただし、「配備から外して備蓄に回した核弾頭は削減対象になっていない」。あくまで「配備済み」の削減でしかないことには留意したい。なお、削減した核弾頭のプルトニウムは、長期保存するか、発電用原子炉燃料として変換して使用することも可能だが、いずれにせよ莫大な費用がかかる。人類は、莫大な費用をかけて核兵器をつくり、それを上回る莫大な経費をかけての廃棄を余儀なくされ、しかも、この負の遺産を未来の世代に先送りしているのである。我々の代で解消しなければならない、責務である。

 

49 日本政府は非核三原則(持たず、つくらず、持ち込ませず)を表明してきたが、核兵器の脅威にはアメリカの核抑止力に依存する政策を採っている。

 

51 核兵器禁止条約が採択されたが、まだ発効されていない。
  • 核兵器禁止条約(TPNW) Treaty on Prohibition of Nuclear Weapons は2017年に国連総会で採択され、2021に発効した。ここでは禁止を Prohibition という単語で表示している。核兵器を「非人道兵器」として、その開発、保有、使用あるいは使用の威嚇を含むあらゆる活動を例外なく禁止した。非核国のノルウェー、メキシコ、オーストリアが中心となり、市民運動国際連合体である核兵器廃絶国際キャンペーン ICANがその活動をあと押ししたことで成立。ただし、承知の通り、核保有国は批准せず、日本も批准せず。なお、1990年代から、核兵器核分裂性物質生産禁止条約、「カットオフ条約」締結の動きがあったが、これは中断。核兵器及び「NPT非締約国」(特にインド、パキスタンイスラエル等)の核能力の凍結のため、核兵器その他の核爆発装置のための核分裂性物質(高濃縮ウラン及びプルトニウム)を生産禁止にしようというものだが・・・。残念ながら出題の可能性は低いが、そのような動きもあることは希望として知っておこう。