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●民主主義とは? ①国民主権の原理に基づき、国民の意思に従って行われる政治 →話し合うことが大事 ※ハーバマスの言う「対話的理性」、アーレントが求めた「活動」を通じた公共性の復権 ②満場一致とはなりにくいので「多数決」の原理をとることもあるが・・・ →これまた話し合うこと そして「少数者の意見」も尊重することも大切 ※J.Sミルは「多数者の横暴」の危険性に警笛を鳴らす ③公正な選挙こそ民主主義の源である・・・ →選挙も大事だが、「市民が当事者意識をもって主体的に政治参加すること」こそが民主主義だ ※アメリカの民主政治に感動したトゥクヴィルはこのことを強調 |
★思考問題に対応するため 民主主義と三権分立 ①民主主義の本質を国民代表たる議会が万能の権力をもつことと考えると、 権力の抑制と均衡をねらう三権分立制は、民主主義の理念と適合しない。 ②民主主義の本質を個人の権利を擁護することと考えると、 国家権力の集中化と絶対化を防ごうとする三権分立制は、民主主義の理念と適合する。 |
●議会制民主主義の3つの原理 民主主義の原則からすれば直接民主制が望ましいが、現代国家では間接民主主義が現実的 その議会を通じた間接民主主義が意義をもつためには ・国民代表の原理 一部の人々の利害を代表するのではなく、国民全体の意思を代表 ・審議の原理 十分な審議を積み重ねる ・監督の原理 行政をチェックして権利の濫用を許さない |
●政治体制の三類型 ①大統領制 ②議院内閣制 ③権力集中制 ※フランス、ロシアは首相はいるが、大統領が強い権力をもつ半大統領制 ※ドイツ、イタリアは大統領はいるが、首相に強い権限かある議院内閣制 ※中国は権力集中制 三権分立は否定し、権力集中による円滑な政策決定を優先 中国では「人民民主主義」と称する |
●大統領制の特徴 それぞれが行政、立法を「国民に対して」責任をもって推進するしくみ。 たとえ同じであろうとも、お互いをチェックしあい適度な緊張関係をもった運営がめざされる。 |
●議院内閣制の特徴 ①政治的最高責任者が、「議会によって選ばれる」しくみ。内閣の国務大臣については日本は過半数、 イギリスは全員が国会議員から選ばれる。議会の信任よって選ばれ、選ばれた首相及び内閣は 「議会に対して」連帯して責任を負う。 ②議会が内閣に対して不信任決議を採択して内閣総理大臣を辞めさせることが可能。一方で、総理大臣 も解散権をもっており、議会を相互に干渉することができる。最低限度の緊張関係はある。 ③内閣と議会が密接に協調しているので、政権運営が安定する。しかし二院制で両院が対等の場合、 ねじれも生じ得る。 |
●アメリカの大統領制 ①間接選挙 任期4年 3選禁止 ②法案提出権はないが、議会が可決した法案への拒否権をもつ ③大統領令は法と同等な効力をもつ ※大統領と第一党がねじれる場合もある ※弾劾裁判には付される |
●アメリカの大統領選挙の流れ ①ニ大政党それぞれで、統一候補者を選ぶ「代議員」を選出する予備選挙・党員集会からスタート 正副大統領候補が絞り込まれ、それぞれの政党の全国大会で、代議員が「候補者」を選ぶ。 ②州ごとに各政党から「大統領選挙人」が選出され、党の大統領候補者を支持する「大統領選挙人団」 を組織→そのどちらの選挙団を支持するかという選挙を実施。 過半数の獲得した候補者・・・これで実質的に大統領が決まるが ③形式的ではあれ、選ばれた選挙人団による投票を実施 |
●アメリカの大統領選挙のしくみ アラスカは3、カリフォルニアは55など・・・全米で538人 |
●アメリカの議会 その1 ①二院制 人数が少なく任期が長い(6年)のが上院 各州から2名ずつ 「州の代表」 人数が多く任期が短い(2年)のが下院 各州から人口比率で 「国民の代表」 ②二大政党制 共和党と民主党 ③大統領が拒否した法案を再可決することができる →2/3以上の賛成が必要 |
●アメリカの議会 その2 ①上院、下院は「対等」 ←上院はアメリカが「連邦制」であることから、下院の単なるチェック機関ではない ②一方で、それぞれだけに認められている権限あり 上院 → 上級公務員任命同意権 条約承認権 弾劾裁判権 下院 → 弾劾裁判の発議権 ③解散もなし |
●イギリスの議院内閣制 ①下院が優越 任期5年 直接選挙 解散あり 上院は選挙なし 内閣不信任案の提出権なし ②二大政党 保守党と労働党 野党は「影の内閣」を組織 ただし、今日二大政党体制は崩れつつある ③第一党の党首が首相 = ねじれはない |
●フランス ①大統領選挙は直接選挙 ※過半数なければ上位2名による決戦投票 ②議会は、下院のみ国民の直接選挙 上院は選挙人団による間接選挙 ③首相は大統領が任命するが、議会選挙で大統領の対立政党が多数となった場合、敢えて対立政党 の党首を首相にするという保革共存路線(コアビタシオン)をとる |
●ドイツ ①議院内閣制。4年に1回の下院の総選挙後に連邦政府の首相が選出される。 ②儀礼的な存在である大統領も置く。 ③「連邦制」で州に様々な権限があるが、アメリカと比べると連邦政府の分限が多い。 |
●法の支配・違憲立法審査に関する対応 ①アメリカは「法の支配」重視 憲法には明記されていないが、判例によって裁判所に「違憲立法審査権」が認められている。 ※具体的な事件に関してのみ審査 付随的違憲審査制 ②法の支配の発祥国イギリには「違憲立法審査」はなし ※上院に司法機能があったが、近年、最高裁判所を設置 ③ドイツは戦後「違憲立法審査」導入し、基本的人権を重視する「実質的法治主義」≒法の支配に ※違憲立法審査はアメリカや日本と違って、抽象的違憲審査制・・・フランスも |
●中国 三権分立は否定し、権力集中による円滑な政策決定を優先 ①全国人民代表大会が最高機関=三権分立ではない 行政・司法を任命・決定 ②それを中国共産党が指導 → 一党独裁 ③中国共産党の最高責任者が「総書記」 =「国家主席」(元首)と「中央軍事委員会主席」も兼務 任期5年 再選制限撤廃 |
●様々な政治形態 イランでは、イスラーム法学者(現在ハメイニ師)が最高指導者として最終決定権 |
★思考問題に対応するため 多数決について ★2021現社第1日程で思考問題 ①少数者が「勝ち組」で、多数者が「負け組」であれば多数決も意味があるが、 少数者が「負け組」で、多数者が「勝ち組」であれば、多数決は「多数者の横暴」の危険性あり →多数決が正義とは言い切れない ②多数決の基本は「過半数」 しかし「過半数」に達しなかった場合、上位二つで判断すると、順番が逆転することもあり得る ※自民党総裁選挙などを想起 →判断の仕方で違う結論が出る場合もある 裁判員裁判も過半数だが・・・一方でそこに少なくとも1人の裁判官が含まれていることが必要 ③多数決の中には「特別多数議決」が必要に場合がある ・・・より慎重に判断しなくてはならない時 2/3→再可決など 3/4→地方自治におけるリコールなど |