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【知っ得】選挙にかかわる計算問題⑤アメリカの大統領選挙


オリンピック・イヤーは4年に一度のアメリカ大統領選挙の年でもある。

現在、共和党は銃撃を免れたトランプ元大統領が、民主党ではバイデン大統領が急遽撤退、ハリス副大統領が名乗りをあげ、急速に盛り上がりをみせてきた。来年の共通テストではアメリカの大統領選挙にかかわる問題が出題されるはず。今後、ニュースを追いながら、アメリカの大統領選挙のしくみについて、理解を深めていきたい。

で、今回は、その「勝者総取り方式」に焦点を当てておく。

前提知識

間接選挙

州ごとに大統領「選挙人」選挙を実施
全米で選挙人の総数は538人
基本的に、州ごとに、人口などに応じて定数が割り与えられる
例えば、カリフォルニア55  アラスカ3など

勝者総取り方式

州ごとに勝者が州の選挙人を「すべて獲得する」「勝者総取り方式

アラスカ州の場合
→大統領候補者を支持する大統領選挙人団
 選挙人3人の名前が記載された「選挙人団」名簿
 大統領候補者を支持する大統領選挙人団  
 選挙人3人の名前が記載された「選挙人団」名簿

※AかBを選び、支持が多かったほうがアラスカ州の定数「3」を全て獲得
そして州ごとの結果が「集結」されて、過半数の270人以上を獲得した候補者が、最終的な勝者、つまり、次期大統領となる。

※なお、アメリカ大統領選挙は「郵便投票」を認めているので、集計が長引く

問題 アメリカの大統領選挙について

※実際は全米で538人が大統領選挙人として配分されるが、簡略化して、アメリカが5つの州からなると仮定し、大統領選挙人選挙結果が以下のようになったとすると大統領選挙人獲得数A、Bはそれぞれ何人となるか?

①Aが[ ア ]人
 Bが[ イ ]人

この結果を踏まえ、以下の二択のうちどちらが適当か、選びなさい。

②この方式では
  A:総得票数が上回った候補が必ず勝利する
 B:総得票数が上回っても敗北する場合がある

③この勝者総取り方式には
 C:州としての考え方を一つにして示すという考え方が基底にある
 D:人口の少ない州の判断が尊重されるべきだという考え方が基底にある

④このアメリカの大統領選挙は
 E:死票が多い
 D:死票が少ない

⑤この制度であると、
  F:どちらの候補が勝つか分からない激戦区での勝利が、勝敗のカギを握ることになりやすい。
  G:できるだけ多くの州で支持を獲得するために全米各地に選挙活動するこ とは、無意味である。

解答・解説


①Aが12人
 Bが13人

②この方式ではB:総得票数が上回っても敗北する場合がある
 これまで実際4回あるとのこと

③この勝者総取り方式にはC:州としての考え方を一つにして示すという考え方が基底にある
 ※なお、「人口の少ない州の判断が尊重されるべきだという考え方が基底にある」というのは、勝者総取り方式自体とは直接の関係性はない。ただし、各州の選挙人の定数が人口だけで決定されていないという意味では、この考え方が生きている。しかし、ここでは論理的につながらない。

④このアメリカの大統領選挙はE:死票が多い
 これに対して、フランス大統領の選挙方法は、死票を少なくしようという趣旨がある。

⑤この制度であると、F:どちらの候補が勝つか分からない激戦区での勝利が、勝敗のカギを握ることになりやすい。
 激戦区を拾うか、落とすか、これがカギを握る。
 ※「できるだけ多くの州で支持を獲得するために全米各地に選挙活動することは、無意味である。」、否定文なので、×と判断したと思うが、これは無意味とは言えまい。「大票田で勝利する」とともに、「できるだけ多くの州で支持を獲得する」自体はやはり目指したいところ。
小さな州であろうとも、わが町で、大統領候補者が演説をすることは、国民の政治的関心をきっと高揚させるはず。
これに対して、首相を「公選」しない日本の制度は、わが町に、首相候補者が熱弁を振るうこともない。
現状を打開すべく、首相公選制に転換すべきでは?という意見も根強いが、受験生諸君は、どう思う?