【速修】経済の正誤問題 ⑤経済成長と景気変動(1)ストックとフロー・GDPとGNP
01 経済循環を形成する生産活動において必要とされる三つの生産要素は、資本・土地(資源)・貨幣である。
- ✕貨幣ではなく「労働力」。
02 ある年の住宅着工戸数はストックを表す数量である。
- ✕「一定期間」なので「フロー」になる。
03 「日本の家計部門が保有する金融資産は、2000年には約1、400兆円に達した」、この数値はストックを表す。
- 〇累積したものであるから「ストック」。
04 GDPはフロー、国富はストックについての指標である。
- 〇GDPは「一定期間」なのでフロー。
05 国富は一国の資産の総計を示し、工場や機械などの生産設備のほかに、公園、学校などの生活関連の社会資本や住宅も算入されている。
- 〇 国富は、
・個人資産(土地・住宅など)や、
・企業資産(工場・機械設備・製品など)、
・社会資本(道路・港湾・図書館・病院・上下水道など)と、
・対外純資産
06 国富に土地は算入されていないので、地価が下落する時期に国富が増加することがある。
- ✕そもそも「土地」は国富に含まれる。それで簡単に✕と判断できるが、この問題文はなかなかこむずかしい。何となく〇と判断しそうな雰囲気のある問題。でも、結局は知識問題だという、妙な問題。
07 国富は実物資産であって、金融資産は含まない。
- ✕国内の金融資産は+-ゼロと考え含まないが「対外純資産」は含む。
08 GDPとは、ある国の国民が一定期間に国内で生み出した最終生産物の価額を合計したものである。
- ✕最終生産物を足していくと、様々なものを重複して計算することになる。 GDPとは、国内で活動する経済主体が供給した財やサービスの総額から、「中間生産物」の価額を差し引いたものである。
09 GDPとは、NNP(国民純生産)に、機械設備や建物など固定資本の減価償却分を加えたものである。
10 国民純生産から国民所得を算出する時、政府の補助金を引き、間接税を加える。
- ✕政府の補助金は企業のもうけになるので「プラス」にする。
間接税は企業のもうけにならないので「マイナス」にする。
11 GDP(国内総生産)とは、GNPから輸入を引いたものをいう。
- ✕GDPもGNPもあくまで「生産」。従って輸出は当然含むが、輸入は含まない。
12 GDPとは、ある国の一定期間におけるGNPに、同じ期間における海外からの純所得を加えたものである。
13 企業が国内の工場を閉鎖して、海外に生産を移転することは、国内総生産(GDP)を押し下げる効果がある。
- 〇海外で生産するから国内総生産には入らない。
14 ある国で海外から受け取った純所得が増加すれば、その国のGDPは増加しないが、GNPは増加する。
- 〇上記計算式を変形させると
GNP=GDP +[海外からの純所得]
ここからも〇と判断できるが、GNPが国内だけにとどまらず日本人の海外での生産も含むものということが頭に入っていれば判断できるはず。
15 国内で外資系企業の生産した財・サービスの価値総額が増加すれば、その国のGDPは増加しないが、GNPは増加する。
- ✕外資系企業の生産はGNPに入らない。
16 ある国で輸出額よりも輸入額が増加すれば、その国のGDPは増加しないが、GNPは増加する。
- ✕上記で触れたように輸入は「生産」指標であるGDP・GNPとは関係なし。
17 日本のGDPはおおむね1980年代前半から国民総生産(GNP)より大きくなったが、これは日本の海外資産が増加し、利子・配当などで国外からの受け取りが国外への支払いより大きくなったためである。
18 対外投資が盛んな国はGDPよりGNPの方が大きい。
- 〇日本のように、対外投資が盛んな国は「海外からの純所得」は黒字。
それ故、GNP > GDP。
19 自分の家で自分が食べる料理を作るという行為は、国民所得を算出する上での「生産」とは言えない。
- 〇家事労働はGDP・GNPに含まれない。
20 医療や介護は生産に直結しないため、医療費や介護費用が増大しても、国内総生産は直接には増大しない。
21 自宅で行う家事労働や地域で行うボランティア活動は、無償の活動であるため、これらの活動が増大しても、国内総生産は直接には増大しない。
22 NNWは、GNPやNIの概念を修正し、補完するものであり、例えば、環境汚染などの貨幣的評価額は差し引かれ、家事労働や余暇時間などの貨幣的評価額が加算されている。
- 〇逆に言うと、環境汚染がGDPの拡大に寄与しているということでもある。
23 市場における付加価値額で豊かさを測ることに限界があるとの考えから、環境負荷などを考慮した指標の一つとして、グリーンGDPが提案された。
- 〇後段は分かり易いが、前段の「市場における付加価値額で豊かさを測ることに限界があるとの考えから」部分は読解力が要求される。
「付加価値」のうち、実はそれが実質はマイナスになっているものもあり、そのうち「自然資産の減耗」などを「差し引いて」計算しようというもの。で、全体としても〇。