【共通テスト対策】フクフクちゃんの現代社会・倫理・政治・経済

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【今日の時事問題】世界経済の歩みを俯瞰してみよう

前回は日本経済を俯瞰した。

 

fukuchanstudy.hatenablog.com

 

 

今回は世界経済の歩みを俯瞰したい。
現在ロシアのウクライナ侵攻、アメリカと中国とのにらみ合い等で、国際的な経済協力、協調的な発展に向けての取組が後退しかかっている。今こそ、これまでの「先人たちの努力」を顧みて、将来に向けての「指針」を掴みたい。

 

世界経済の歩み

 

Ⅰ イギリスの経済学者(  )は、一国が必要な財貨のすべてを自国でまかなうより、それぞれの国が有利な条件のもとで生産できる財貨に特化し、貿易によって不足する財貨を手に入れたほうが、双方にとって有利になるという比較生産費説を唱え、自由貿易の推進を主張した。

 

Ⅱ その後、自由貿易の思想は世界的な流れとなり世界経済を発展させたが、1929年に発生した世界恐慌により、それまで採用されていた(  )制から各国は離脱し、金の保有とは無関係に各国政府が通貨量を管理できる管理通貨制度に移行するとともに、自国産業保護と輸出相手先の確保を目的としてブロック経済化を進めた。しかし、排他的な市場の形成によって世界貿易は収縮し、第二次大戦に至った。

 

Ⅲ 第二次世界大戦後の国際経済は、戦争中の1944年、連合国代表がアメリカで結んだ(   )協定に基づいて再スタートをきった。アメリカのドルを基軸通貨とした「(  )為替相場制」をとることで安定化を図り、貿易を再開・発展させようとしたもので、ある意味ではドルを媒介とした金本位制でもあった。為替の安定と貿易拡大を図るために設置されたのが IMF国際通貨基金)であった。もう一つの国際機関がIBRDで、これは世界銀行とも呼ばれ、戦災からの復興や経済開発を促進するために資金の融資を行った。また自由貿易を推進させるため、「(  )及び貿易に関する一般協定」、略称GATTも発効した。GATTは、自由・多角・無差別の三原則のもとで関税の引き下げ交渉を行うことになった。

 

Ⅳ ただし、あくまでGATTは協定であり、正式な国際機関になるのには時間がかかった。なぜか?それは、一つに、戦後すぐに米ソの対立が始まったからである。アメリカは西ヨーロッパを自陣営に取り込むためマーシャルプランと呼ばれた支援を実施、ソ連はこれに対抗して、経済相互援助会議、略称コメコンを設立し、社会主義諸国の結束を固めた。この結果、世界貿易は二つの経済圏に分断されたかたちとなった。

 

Ⅴ 資本主義諸国の屋台骨を支えたのがアメリカであった。1950年代は、アメリカが世界に積極的にドルを供給したため、多くの国々は順調に復興をとげた。しかし、1960年代になるとアメリカは、国際収支が慢性的に赤字となり、ドルの信用は低下していった。各国がドルと金との交換を求めた結果、アメリカ・ニクソン大統領は、自国の金の保有量、生産量では世界のドルと金を交換することができなくなるとし、1971年、ドルと金との交換停止を発表、国際社会に大きなショックを与え、通貨制度は大きく混乱することになった。1973年には各国が為替相場を市場の自由な取引にゆだねる変動為替相場制に移行し、ブレトンウッズ体制は崩壊、1976年、IMFもこれを追認し、キングストーン合意でこの移行が正式に承認された。

 

Ⅵ この間、(  )カルチャー経済に依拠せざるを得ない発展途上国にも動きが生じた。1962年にUNCTAD開催決議が採択され、特恵関税制度の導入、GNP1%の援助目標の設定、一次産品の価格安定などの目標が建てられた。1970年代になると資源ナショナリズムの動きが高まり、1974年(   )(新国際経済秩序)樹立宣言が出された。しかし1980年代、比較的工業化が進んだ地域、メキシコやブラジルなどでは累積債務問題が表面化した。

 

Ⅶ 一方、社会主義諸国については1970年代以降、技術革新の遅れ、軍事費の拡大などにより、停滞が目立つようになった。そうした中、中国が、1978年以降、改革・開放政策を進め、海外からの技術や資本を積極的に導入するようになった。1978年日本とも「平和友好条約」を結び貿易も始まった。一方で、ソ連の経済的低迷は続いた。

 

Ⅷ アメリカとソ連という二大大国の経済的な低迷、それは必然的に(   )年の「冷戦の終結」という大転換をもたらすこととなった。と同時に、ソ連や東欧諸国では社会主義政権が崩壊し、急速に市場経済へ移行していった。

 

Ⅸ この間GATTが数次のラウンドにわたって交渉を行い、多くの成果をあげてきたが、世界経済が文字通り一体化・拡大してきたことを背景に、1995年にはGATTが改組され、世界貿易機関、略称(   )が設立され、貿易の自由化を一層推進していくこととなった。2001年から(  )・ラウンドの交渉が続いているが、このラウンドの特徴として、農業、鉱工業、サービスの自由化のみならず、貿易の円滑化やアンチダンピングなどのルールの策定・強化を含む包括的な交渉があげられる。この間、ヨーロッパにも大きな動きが生じた。1967年のECを母体として(  )年にEUが発足、1999年には単一通貨としてユーロが導入されるとともに、東ヨーロッパ諸国もEUに加盟することになった。

 

Ⅹ しかし一方で、経済の「グローバル化」は危うさを孕む。1997年(  )から発火した「アジア通貨危機」は、ロシアの通貨危機も誘引した。2008年には、アメリカで低所得者向けの住宅ローン、いわゆるサブプライムローンの焦げ付き問題からリーマン・ショックという世界的な金融市場の混乱が生じた。2010年には(  )で財政危機が生じ、EU全体に危機感が走った。

 

Ⅺ また、他方では、「ブロック化」の動きもある。EUだけでなく、東南アジア諸国連合ASEAN北米自由貿易協定NAFTAなど、地域経済統合が進んでいる。中には、域内の関税を撤廃し、域外については共通の関税を設定する関税同盟もある。

 

Ⅻ さらに、「多極化」も進んでいる。日本は、失われた20年あるいは30年とも呼ばれる長い不況のトンネルにあえぎ、一方で、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカが、その国名の頭文字を使って略称BRICSと呼ばれ、安価な労働力と豊富な資源などを利用して急速に経済成長してきた。リーマン・ショックによる金融危機に際しては、世界経済を管理・調整する協議体は、従来の先進国中心のG8から、発展途上国を含めたG20に移された。さらに、WTOでの交渉が進まない中、二国間あるいは多国間で自由貿易を進める「自由貿易協定」が網の目のように結ばれるようになった。貿易だけでなく、投資や人の移動なども含む「経済連携協定」、略称(  )の締結も進められている。21の国と地域からなるアジア太平洋経済協力会議(  )では、うち11カ国に限定されているが日本も参加して環太平洋連携協定(TPP)が発効し、貿易では、例外なき関税撤廃が進められることになる。

 

XIII このように、世界は緊密に結ばれてきたが、しかし、その屋台骨である超大国アメリカの苦難が続き、世界経済の発展には様々な難題が生じている。2001年の「(  )テロ」によりブッシュ政権はテロ対策に力を注がざるを得ず、2008年のリーマン・ショックに対して、翌年就任したオバマ大統領はその金融危機に対する対応に追われた。一方、共和党のトランプ政権はアメリカ第一主義を標榜し、TPPを離脱する等、貿易の自由化の進展は足踏みを余儀なくされている。

 

XIV この間、世界の工場として台頭してきたのが中国である。2008年オリンピック開催、2010年にはGDPで日本を上回り世界第2位となった。先に触れた環太平洋連携協定( TPP)も中国経済に対抗すべく発効したもので、現在、この中国とアメリカが経済戦争とも言われる覇権争いを展開、また、我が国も中国との関係を深めつつも様々な課題を抱えている。

 

XV 一方で、ウクライナ併合問題から2014年にG8参加資格停止処分となっていたロシア・プーチン政権が、今春、ウクライナを侵攻するという暴挙に出た。これに対して、国際社会の足並みは揃わず、分断が露呈した。また、日本では、日本の経済力への信頼が低下した結果として、購買力の低下を意味する円安が加速化した。今後、ポスト・コロナ時代、世界はどのような地政学を刻むことになるのであろうか?そして、日本はどのような立ち位置をとるべきなのか?

 

XVI 大いなる「転換」が迫られている、今の世界と日本である。受験生諸君、世界は君たちを待っている。
「今」を掘れ。

 

■国際経済 基軸年号

 1945 IMF
 1964 UNCTAD
 1967 ASEAN
★1971 ドルショック
 1973 第一次オイルショック
 1974 NIEO
 1978 中国 改革開放政策
 1979 第二次オイルショック
★1985 プラザ合意
※1986~ウルグアイ・ラウンド
 1993 マーストリヒト条約 → EU
★1995 WTO
 1997 アジア通貨危機
※2001~ドーハ・ラウンド
     中国WTO加入
 2008 リーマンショック
 2010 ギリシア財政危機
 2019 TPP11発効(アメリカは離脱) 
 2021 RCEP

並べ替え問題

①並べ替え 合意

A プラザ合意
B キングストーン合意
C ルーブル合意
(   →   →    )

 

②並べ替え 危機

A リーマンショック

B ギリシア財政危機

C ブラジル累積債務危機

D アジア通貨危機
(   →   →   →   )

 

③並べ替え 統合

A EU発足

B TPP発効

C WTO発足

D ASEAN発足

(   →   →   →   )

 

解答・解説

①B→A→C

B キングストーン合意

A プラザ合意

C ルーブル合意

 

ルーブル合意現代社会の教科書・索引にはないものも、実はグラフの中には記載がある。プラザ合意とは反対に、ドル安に歯止めをかけるためのもの。プラザ合意の後の1987年のこと。このルーブル合意によって為替相場は総じて安定することとなるが、日本の場合は、円高不況に対する懸念から、低金利政策を継続し、低金利局面と金融機関による過度の貸出が過剰流動性を招き、不動産・株式などの資産価格が高騰するいわゆるバブル景気が起こることとなった。出題されない訳ではないので知っておこう。
 
②C→D→A→B

C ブラジル累積債務危機

D アジア通貨危機

A リーマンショック

B ギリシア財政危機


③D→A→C→B

D ASEAN発足

A EU発足

C WTO発足

B TPP発効

 

ASEAN発足は極めて早く1960年代。現在の地域的な包括的経済連携RCEPはASEAN諸国がリードして結成。署名15か国は、世界の人口とGDPの3割を占めているという巨大な経済連携。中国と韓国が入っていることも重要。

 

なお、EUについては、現在イギリスが離脱した訳だが、EUの流れの並び替え問題も出題されたことがある。

 

以下の流れもチェックしておこう。
※1993年 EU 発足 ← マーストリヒト条約
※1999年 ユーロ導入
※2009年 EU大統領・外相 ← リスポン条約
※この間 東ヨーロッパにも拡大
※2011年 ギリシア財政危機 → 欧州安定メカニズム創設
※2016年 イギリス 国民投票で離脱を決定

 

共通テストで「読解力」「思考力」「判断力」が重視されたが、一方で「知識」がないと解けない問題もある。知識問題を落とすと残念な気持ちになるので、これまで狙われことがある知識問題は射程に入れておこう。

なお、では、どの程度の知識が必要か?と言うと、むろん「教科書レヴェル」。教科書が出題の根拠。上記のEUの流れは、おおかたどの教科書にも記載がある。

 

一方で、「これまで狙われことがある知識問題かどうか」は君たちでは分からない。そのための教員・・・

 

私が提供している「3で括って覚える」は、まさにそのふるいにかけた、頻出事項をセレクトしたもの。ぜひ活用を。

 

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