【今日の時事問題】分断から合意へ ①臨時国会の召集
昨日から「臨時国会」が召集された。
受験生としては、「通常国会」だけでなく、「臨時国会」「特別国会」といったものもあるということは承知しているとは思うが、今回、内閣が必要と判断し召集した「臨時国会」、ここでどのような議論が展開されるのか、注目していきたいものだ。
種類 | 召集 | 会期 |
常会 | 毎年1回、1月中 | 150日間(延長1回まで) |
臨時会 | 1. 内閣の必要に基づく場合 | 両議院一致の議決による(延長2回まで) |
2. いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求 | ||
3. 衆議院議員の任期満了による総選挙、参議院議員の通常選挙後 | ||
特別会 | 衆議院の解散による総選挙後 |
当初会期は69日ということなので、12月10日までということになる。
この時期は受験生としては共通テストまで、いよいよラストスパートの1ヶ月ということになる。現代社会、倫政にいよいよ時間を費やすことになるので、このブログもそれに対応できるよう、整備していこうと思っている。
臨時国会の議論内容
・統一教会と自民党との関係
・国葬の検証
・第2次補正予算案
・衆議院小選挙区を「10増10減」する公職選挙法の改正
その際、私が注目したいのは、国会が「言論の府」として「再生」することができるかどうか、という点である。
近年、明らかに、国権の最高機関たる国会は、機能不全に陥っている。
与党は本格的な論戦を回避し、野党の追及、対案立案の力量に陰りが見える。また、内閣の国会軽視も甚だしい。安倍元総理、菅元総理もそうであったが、岸田首相も、国葬問題に関して国会を無視、「聞く力」がないことを露呈させた。国会は、しっかりと議論し、一方で、「合意」を目指した努力をしなくては、空中分解してしまう。また、徹底した行政監視の役割を果たすべきで、この点は躊躇してはならない。
分断から合意へ
で、なぜ、この点を注目したいのか言えば、現在、日本が分断国家への道を歩みつつあるのではないかという危惧のためだ。
国葬問題にしても、世論は二分した。反対の方が多数で、その判断とは逆の立場を譲らなかった岸田政権については、内閣支持率低下という波が荒立った。ただし、一方で、「多数決」が絶対だという訳ではない。多数派に対して、納得できる「説明」ができなかったところに問題がある。分断を分断のままに放置したことが問われるべきだ。
国葬問題については、シルバー世代と若者世代とのギャップも露呈した。今回のようなショッキングな蛮行により命が奪われたこと、長期にわたって日本の舵取りを担ってきたこと、こうした点から、若者からすれば、弔意の念を表すのは自然だということであろう。一方、シルバー世代からすれば、納得出来ないことが様々な面であり、国葬という形式自体は受け入れがたいものがあった。
ただし、「対立は悪くない」。そして、一見「対立」しているかのように見えても、どこかで折り合いを見つけることができるかもしれない場合もあるはず。要は、「合意」を求めて、粘り強く議論を積み重ねることこそが、肝要ではないか。
「分断」に関する専門用語
インターネット・SNSは、分断を加速化させる危険性があるとも指摘される。以下のことは試験にでるものではなかろうが、知っておきたい。
○フィルターバブル
インターネット上で泡(バブル)のなかに包まれたように「自分の見たい情報」しか見えなくなること ※ネット検索や動画サイトは、一度検索・視聴した情報を記憶し、次回以降も似たようなものを薦めてくる
○エコーチェンバー現象
自分と似た意見の人々だけのコミュニケーションが繰り返されることで、その意見が「正しい」と思い込んでしまうこと
○ポスト・トゥルース
「自分たちの信じたいもの」が「事実」→「客観的事実」よりも「感情的・個人的な意見」のほうが、より強い影響力をもつようになる
国会は仮想空間ではない。国民から信託された代表者が、「合意」を求めて、建設的な一歩を求めて、真摯に議論する「言論の府」だ。そういう国会を見たいものだ。与党、野党とも国民が注視していることを自覚しなくては、議員としての資格はない。隠蔽、はぐらかしなどはもっての外。ルソーの言う「一般意思」を求めた熟議を期待したい。